1946年創立の長い歴史の中で、「Dior(ディオール)」が初めてクリエイティブディレクターに抜擢した女性、それがMaria Grazia Chiuri(マリア・グラツィア・キウリ)だ。これまでに数々のヒットアイテムを生み出し、レッドカーペットの演出にも影響を与え、多くのモデルやハリウッド女優、ファッション関係者もその手腕を絶賛するマリア・グラツィア・キウリとは?

彼女の生い立ちや、これまでの輝かしい経歴にもせまりたい。

*60%では、韓国をはじめとしたアジアのファッションブランドを多く取り扱っている。
取り扱っている中には、日本未上陸のファッションブランドも多く存在するので、ぜひ公式ページをチェックしてみてほしい。

60%公式ページへ

 

生い立ち

Maria Grazia Chiuri(マリア・グラツィア・キウリ)は、1964年、イタリア・ローマで生まれた。

針子である母親を持ち、幼少の頃からファッションは身近な存在であったという。10代の頃のキウリは、自分らしい個性的なスタイルを見つける為に、ヴィンテージバッグなどを求めてマーケットへ通っていた。イタリアのIstituto Europeo di Design(ヨーロッパ・デザイン学院)を卒業すると、ラグジュアリーブランド「Fendi(フェンディ)」に入社。アクセサリー部門を担当、デザイナーとしてのキャリアをスタートさせた。

ピエールパオロ・ピッチョーリとの出会い

ファッション・モード界で知らない人はいない、キウリとピエールパオロ・ピッチョーリの名コンビ。Istituto Europeo di Design(ヨーロッパ・デザイン学院)で出会った2人は、1980年代後半から仕事仲間としてタッグを組んできた。キウリが自身のいた「フェンディ」のアクセサリーデザインチームにピッチョーリを加え、2人はよきビジネスパートナーとして長い年月を共に歩むことになる。

やがて「フェンディ」を離れた2人は、共に「Valentino(ヴァレンティノ)」に入社。新しいアクセサリーラインの立ち上げを任されるようになる。彼らはあらゆる仕事を分担し、「ヴァレンティノ」創立者であるガラヴァーニの下、10年に渡りシューズとバッグのデザインを手がけてきた。

Valentino 2016-2017 autumn/winter Haute Couture fashion show  in Paris/AFP

2008年、キウリとピッチョーリは「ヴァレンティノ」のクリエイティブ・ディレクターに就任。

実験的なことが好きなピッチョーリと現実的なスタイルを好むキウリはまさに名コンビで、2人がもたらす化学反応は「ヴァレンティノ」成功に大きく貢献した。

ロマンチックかつエネルギッシュで、スタッズを代表するエッジ―なスタイルを打ち出した「ヴァレンティノ」は、過去7年間で売り上げを4倍以上へと跳ね上げ、10億ドルブランドとなった。

特にキウリが手掛けるフェミニンでエッジ―、魅力的なアクセサリーは、「ヴァレンティノ」セールスの50%にものぼる。

キウリとピッチョーリの手掛けるクチュールでのアプローチは、レッドカーペットにも大きな影響をもたらし、クリスティン・ダンストやルーニー・マーラ、ナオミ・ワッツ、キーラ・ナイトレイなど多くのハリウッド女優を魅了した。

ヴァレンティノを離れDiorへ

2016年、「Dior」はかねてより噂されていたラフ・シモンズの後任者について、キウリを新クリエイティブ・ディレクターに迎えると正式に発表した。

「Dior」の長い歴史の中で、女性がクリエイティブ・ディレクターに抜擢されるのは初の快挙。

当然「Dior」にとって重大な決定であったが、それは同時に「フェンディ」時代から26年もの間共に仕事をしてきた、キウリとピッチョーリのコンビ解消を決定づけた瞬間でもあった。(ピッチョーリはそのまま「ヴァレンティノ」に残り、現在は単独でクリエイティブディレクターに就いている)

DIOR 2017SSコレクション

キウリのデビューコレクションは、パリ・ファッション・ウィークで披露された2017年春夏ウィメンズコレクション。

キウリが選んだテーマは「フェンシング」で、そこには男女が同じユニフォームを着用するフェンシングの特性に、男女の性差別を縮めたいという自信の強い思いを重ねた。

スポーティーなフェンシングの防具にフェミニンな雰囲気を加え、モードなオートクチュールへと昇華。また、デニムパンツやTシャツといったカジュアルウェアも多く取り入れ、これまでとは異なるキウリ流の「Dior」スタイルを印象づけた。

最新コレクションのテーマは「ダンス」

https://www.instagram.com/p/BoLiXZmFvF9/?utm_source=ig_embed

2018年9月24日にフランス・パリで行われた2019年春夏ウィメンズコレクション。

「世界で一番美しい競馬場」とも言われるパリ16区・ブローニュの森の中にあるロンシャン競馬場内に、ランウェイショーのための特別な会場が設営された。「ダンス」がテーマの今シーズン、幕があがり現れたのは、ランウェイモデルではなくダンサーたち。色とりどりの花びらが降りしきる中、躍動感あふれるパフォーマンスを披露した。

実はダンスと「Dior」は縁が深く、ブランド設立者のムッシュ・ディオールもダンスを好み、イギリスの偉大なバレエダンサー、マーゴ・フォンテインを顧客に持っていたという。キウリは過去の資料、クラシックなダンスに加えて、コンテンポラリーダンスからも強いインスピレーションを受けて今シーズンのデザインを手がけた。

「Dior」クリエイティブ・ディレクター就任直後、チームのスタッフたちと「我々は女性であることを表現しなければならない」と話し合ったというキウリ。女性の社会的地位向上を重要なテーマとして掲げ、コレクションを見ている人々に訴えかけるスタイルは、「女性の在り方」を重要視しているキウリだからこそできるデザインだ。

まさに、現代が求めるデザイナーといえるマリア・グラツィア・キウリ。彼女の「Dior」での挑戦は、これからも多くの人々を惹きつけることだろう。

*60%では、韓国をはじめとしたアジアのファッションブランドを多く取り扱っている。
取り扱っている中には、日本未上陸のファッションブランドも多く存在するので、ぜひ公式ページをチェックしてみてほしい。

60%公式ページへ