「無駄なプライドは捨てて、人生好きなことに必死になった方が良い」夢の舞台を追い求めるモデル・濱田茉奈の揺るぎない想い

初めて濱田茉奈に出会ったのは2年前、東京コレクションのショー会場の外だった。自ら製作したビラを配り自分を売り込む姿が、気取った人間が多いこの業界の中で新鮮に映ったのを今でも覚えている。その後、モデルとしての活躍の場を広げ、日々進化し続ける彼女。F-MAGAZINE2度目のインタビューとして、彼女の内なる強さに迫る。

読者モデルから一般人を経て、モデルとして再始動するまで

―まず始めに濱田さんのこれまでの経歴について教えて下さい。

小さい頃は何も喋らないような子で、写真を撮られることも嫌いでした。けど『Popteen』を読み始めてから人生が凄く変わって。読者モデルに憧れを抱きました。私も服を着て写真を撮られたい、モデルになりたいって。それが高校2年生の時です。それで18歳の時に、ギャル事務所に所属するために東京に来て。最初はバッグ2つで来て、東京に住むつもりじゃなかったんですよ。漫画喫茶に少しの間泊めればいいやくらいの感覚で。そうしたら、たまたま同じ事務所の子が「一緒に住んで良いよ」って言ってくれて。そこから1か月くらい、読者モデルとしてのスナップのお仕事やフリーペーパーの撮影をしていましたね。それで1か月くらい経って、東京楽しいなって思い始めた頃、突然事務所の社長が飛んだんです(笑)

―そのため、モデルをやられていない時期があったのですね。その後はどのように過ごしていらっしゃったのですか?

モデルを辞めて何をしようって思った時に、家を提供してくれていた子がダンサーをしていたんですよ。だから私もダンスチームに入ってクラブで踊っていたんですけど、向かなかったですね。セクシーに踊るみたいな感じで。だからダンスも辞めて、ほぼニート状態。その後、派遣で仕事もしていたんですけど、何も楽しくなくて。当時、ギャルやっていて、クラブで遊んでいても満たされなかったんです。そこで、1か月ぐらい家に籠って。出した答えが、もう1度モデルをやることでした。そこで、オン眉の黒髪パッツンにガラッと変えたんですよね。それが2年前くらい。

―実は2年前、東京コレクションの会場の外で関係者に自分のビラを配っている濱田さんを見かけたことがあります。それが、ちょうどモデルを再開しようと思った頃だったということですね?

そうなんです。モデルとして自分を売り込むために、当時とにかく何かしなきゃって思って。日本のモデルでこんなことをする人って、居ないじゃないですか。パーティとかに行っても、ツンとした態度の人が多いし。私はモデルを本気でやりたかったからこそ、根性見せてやるしかないって思ったんですよね。

―最初は自分の売り込みから再開したモデル活動だったと思うのですが、現在のように活躍されるまでにはどのような活動を?

最初は完全に被写体のお仕事ですね。色んな人に撮ってもらってInstagramに載せることによって、また撮らせて下さいっていうDMが来て。私、「いつか絶対ヌード撮影がしたい」って思っていたんですよ。自分のヌード姿はエロじゃなくて、アートだと思っていて。それに同じような黒髪パッツンの女性はファッション系に沢山いるけど、ヌードをしている子っていないじゃないですか。それで脱ぎ始めたら、色んな人が見てくれて仕事が沢山来るようになって。パーティとかにも呼ばれるようになりましたね。

ただ反対に、ヌードモデルっていう扱いを受けたりとか、ヌードのお仕事以外が来なくなったりして。私がやりたいのはあくまでファッションで、ファッションとしてアートとしてのヌードなら未だしも、これじゃ意味ないなって思ったんです。だから、今はヌードのお仕事は基本的にお断りしています。ヌードのお仕事を切ったら、1時期お仕事がゼロになっちゃったんですけどね(笑)

日々変化する魅力

―昨年まで黒髪パッツンというスタイルを貫いていらっしゃいましたが、今年金髪に染められてガラリと印象を変えられましたね。それは何故なのでしょうか?

ヌードを辞めたときに黒髪パッツンなんて沢山いるんですよね。それに身長は低いから、他のモデル達に埋もれちゃってお仕事はなかなか来なかった。そうなった時に私は何が好きなんだろうって考えて、ファッションが好きなんだって思い出したんですよ。だから、染めようって思って。金髪にしてから、周りからの評判が良くなりましたし、カラーメイクも映えるようになって相当気に入っています。ビューティ系のお仕事も多くいただくようになりました。

―前回取材させていただいた時と比べるとファッションも少し変わりましたよね?

あの時はヴィンテージが好きって言っていましたよね。ギャルからヴィンテージを経て、今はモード。モデルを再開する前、黒髪にするか悩んでいた時にちょうど『MODE et MODE(コレクションを中心としたファッション情報誌)』を読んでいたんです。そこで、私こういうファッション好きなんだって気付かされて。ブランドの価値とか、デザイナーさんのヒストリーとかは、直感で選ぶ人なので正直分からない。でも、カチッとしたのが好きなんですよね。

―ファッションもヘアも自分のスタイルを確立されている濱田さんだと思いますが、自分の好きなところや、自分にしかない魅力はどんなところでしょうか?

好きなところは全部なんだと思います。多分ナルシストなんですよ(笑) 自分ではあんまり分からなくて、1回Instagramのストーリーで聞いたことがあって。みんなからは、目とか黒髪って言ってもらうことが多かったですね。あとは自我ですかね(笑) モデルの仕事が好きだから、好きな気持ちは多分出てる。そこは、他のモデルとは違うかもしれません。

濱田茉奈が持つ独自の恋愛観

―濱田さんと言えば、レズビアンを公言されている点でも有名かと思います。自分のセクシャリティについて、最初に認識されたのはいつ頃からでしたか?

最初に認識したのは中学2年の時でしたね。小さい頃は男の人を好きになったことがあったし、青春で恋愛とかに悩む時期でもあるじゃないですか。だから勘違いかもしれないって思って周りには公言しなかったんです。でも大人になるにつれて女の人が好きなんだっていう意識は強くなって。特に好きな子ができて、男の人にはここまでの感情を抱いたことはないなって気がついたんです。最初の方は、自分の恋愛の話を友達にも話してなかったんですけど、自分だけ話せないのって辛いなって思いました(笑) なので私も話したいって思ってからは、みんなに公言しています。

―濱田さんが好きになる女性は、どんなタイプの方なのでしょうか?

ロジカルな思考を持ちながらも女々しい感じの子が好きです。しっかりと話し合えるんだけど、内面には乙女な心を持っていて、自立しているように見せかけてみたいな。「可愛い可愛い!」って愛でたくなるんですよね。友達とかとは違って特別視しちゃうと思います。私が依存タイプなので、気をつけないとって感じですけどね(笑)

 

―濱田さんの中で、仕事に集中している時期と恋愛に走っている時期があるということでしょうか?

そうなんです。恋愛をしている時って、仕事に全力になりきれないんです。だから、少し前まで恋愛恋愛な時期だったんですけど、これじゃいけないって思って切り替えている最中。恋愛したいけど、しちゃだめなんですよ(笑)

やりたいことに対して信念をもって

―モデルとしてなりたい姿や今後の目標を教えて下さい。

身長が高くないので、なかなかショーに出させていただくことがないんですけど、モデルとしての1番の目標はやっぱりパリコレなんですよ。他のブランドももちろんなんですけど、中でも大好きなドルチェ&ガッバーナのランウェイを歩きたい。そのためには、“モデルとして”というよりも“私として”自分をもっと魅せていかないといけないなって思っています。

―美貌はもちろん、内面の格好良さから濱田さんに憧れを抱く女性も多いと思います。最後に、そんなファンの方々にメッセージをお願いします。

無駄なプライドは捨てて、人生好きなことに必死になった方が良いです。何かをし始めると批判も出てくると思うんですけど、興味を持ってくれる人は必ず出てくるし、いずれ支持してくれる人も出てくる。だから負けないで欲しい。生きていくためにはお金とかも必要だけど、好きなことをするのが1番なんですよ。悩んでいる時間なんて勿体ない。どこかで見てくれている人って居るはずだから。

 

他の人にはないモデルへの熱い想い、それこそが彼女を少しずつ理想の仕事へと近づけている。自分らしい魅力を再認識し、選ぶべきものに気が付いた今、濱田茉奈の魅力はより一層増していくばかり。いつか海外で彼女の姿を見られる時を、私たちは楽しみせずにはいられない。

 

濱田茉奈(はまだ・まな)

BEYOND TOKYO所属。18歳の時モデルに憧れて大阪から上京し、ギャル系雑誌の読者モデルとして活動。その後、事務所倒産によりダンサーや派遣の仕事を経て、2016年よりモデルとして再始動。現在はマガジンやミュージックビデオ、ビューティ撮影などで幅広く活躍している。

Instagram:@manahamada0222

BEYOND TOKYO HP:beyondtokyo.co.jp/model/mana

 

 

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