POSTED ON 2019年1月17日 1 MINUTE READ BY SIXTYMAGAZINE TEAM
フォトグラファーのyuria、彼女は耳が聞こえない。「ハンデを持ちながら活躍するのは難しいのではないか?」と思う人も多いかもしれないが、彼女はむしろそれを武器に変え、自分の表現方法として独自の世界観を示している。そこで今回、音が聞こえないyuria、彼女だからこそ生み出せる作品の魅力に迫る。
耳が聞こえないフォトグラファーyuriaとは
ーまず初めに簡単なプロフィールを教えて下さい。
yuriaと言います。生まれも育ちも東京で、フリーランスのフォトグラファーとして活動させていただいています。
ーカメラを始められたのはいつ頃ですか?
カメラに興味を持ったのは、2016年の12月ぐらいでした。趣味みたいな感じで始めたんですけど、試行錯誤を繰り返して被写体の良さを引き出せるように頑張って。そしたら、だんだん自分らしさみたいなのが意識できるようになったんですよね。なので、2017年の4月ぐらいからは本格的にフォトグラファーとして活動しています。
ー自分らしさを意識できるようになったことに何かきっかけはあったのでしょうか?
小松菜奈さん主演の映画『溺れるナイフ』を観て、あんな風に人間特有の哀しくも激しい感情の一部を切り取れたら素敵だなと思ったことですかね。写真というのが感情表現の一つだと思えるようになったんです。私自身、繊細な性格で、普段から無意識に他人の表情を目で深く汲み取ることが多くて、そういった心情から写真にも感情を求めるようになりました。写真って言葉よりも生々しい感情が直に伝わるものだと思ってます。
yuria独自の写真の撮り方
ー写真というもの自体に興味を持ったきっかけは何だったのでしょう?
写真をコミュニケーションのツールとしてフォーカスするようになったんです。そこから、失われた音と声を探しに行くために写真を撮り始めました。
ーyuriaさんの写真からは、独自の色や世界観的のようなものを感じるのですが、写真を撮る時に何か意識されていることはありますか?
あまり意識はしてなくて、ありのままの気持ちで素直に撮ってます。私にとって写真は感情表現の一部なので、自分の心情がミラーリングしているんだと思いますね。私自身、退廃美が好きなんです。少し難しいのですが、耽美的であり儚く、また哀愁と孤独さ達が共存しているようなもので。孤独な感情を抱くことが多いので、そこが影響しているのかもしれません。
ー被写体になるモデルさんは、どのように探しているのですか?
昔から基本的には、自分の友達を撮ってます。ちゃんとフォトグラファーになってからは、友達の知り合いを紹介してもらってっていう形が多いですかね。自分が撮りたいと思った人しか撮らないので、普段依頼とかは受け付けていないです。
ーモデルさんとのコミュニケーションはどのように取られているのですか?
基本筆談です。スマホのメモとかに打ってもらったりしていますね。モデルの方とは写真に撮ったときありのままの表情をおさめられるよう、丁度良い親密な距離感や空気感を保つことを大事にしてます。
ーyuriaさんの写真では、ポートレートをよくお見かけします。撮影は、ポートレートが多いのでしょうか?
そうですね。人も多いのですが、綺麗な色の空を取ることも多いです。特にこれといった特別なこだわりはないのですが、雨天も晴天もそれぞれ良さがあると思います。撮影場所も場面場面で探しているので、自然に見つけて撮っています。
ーyuriaさんの写真の空の色味や表現が素敵だなと感じています。花もyuriaさんのお写真によく登場すると思うのですが、色味等を意識していらっしゃるのでしょうか?
衣装に合わせた色彩や存在感で、バランスよく選んで買っています。私の写真は、空、花、光の使い方で、自分の色を表現してるのかもしれないです。
yuriaが今、注目するものとは
ーyuriaさんの気になる人についてもお伺いしたいです。最近気になっている人、注目されている方はいらっしゃいますか?
RenHangさんのInstagramはいつも拝見していますね。彼の独自の世界観がとても好きです。それから、個人的に俳優の菅田将暉さんと女優の小松菜奈さんが好きで、よくチェックしています。
ー他のフォトグラファーの方々と交流することもありますか?
他のカメラマンさんとの交流の機会はあまりないですね。作品に限らず他人からの干渉や影響に流さずに、自分の表現したいものを常に試行錯誤して作り上げていきたいと思っていて。私としてはあまり意識はないのですが、世界観みたいなものが強く感じる作品になるのかもしれません。
フォトグラファーとしての“想い”と“これから”
ーそれでは最後になりますが、yuriaさんの今後について教えてください。
私のように生き辛さや孤独を抱えている人間でも、色んな人に元気を与えられたり、勇気付けたりできる事を伝えていきたいです。それから障がいや病気は問わず、自分自身の望んでいることや好きなことを諦めずに続けていきたいと思いますね。それと、「障がいを持っているのに、凄い」という賞賛よりも、私自身の写真で賞賛していただけるような、色んな人の胸に刺さる写真を残す写真家になりたいと思っています。耳が聞こえないことが私の武器なんです。
ちょうど1年前、私と似た境遇で生きている途中で障害を持った子供達や、様々な事情を抱えた人間がいる中で、そういった人達も懸命に生きているんだという存在を世の中が忘れない為に何か力になりたい、ハンディキャップを持った人間にもっと配慮を配れる世の中に近付けたいと強く思ったんです。筆談の経験の無い人に筆談を持ちかけると、露骨に嫌な顔をされることが多々あります。皆きっと声に頼りすぎているんだと思うんですよね。声や音があるのが当たり前ではない。私をきっかけに無音の世界の美しさに触れてもらって、なお相手の気持ちを丁寧に汲み取ったり感じ取ったりする手伝いが出来ればなと思います。
耳が聞こえないということを自分の弱みだと捉えず、自分の武器として作品を作り上げる姿勢が、yuriaさんの素晴らしい作品を作り上げているのであろう。ただの才能だけでなく、コツコツと積み上げる努力がそこにはあった。これからどんな作品を私たちに届けてくれるのであろうか。他のフォトグラファーの作品にはない無音の美しさを持つyuriaさんの写真から、今後も目が離せない。
yuria(ユリア)
Instagram:@yuria62121
東京都出身。1歳から耳が聞こえない。2016年より写真を撮り始め、2017年よりフォトグラファーとして本格始動。主に女性のポートレート写真を主軸とし、日常の風景や景色などの撮影も行なっている。淡い色合いの写真が特徴的で、その世界観が若い世代を中心に多くの人から支持されている。
[yuriaさんの作品]