ストリートカルチャーがホットな今、5分ネットを漁れば30件はストリートブランドがヒットするような時代だ。

しかし、今回ご紹介する、YOUTH OF PARIS(ユース・オブ・パリス、以下YOP)というブランドは、売り方もプロモーションの仕方も一味違うと断言できる。

デザイナーはAlexandre Lopez(アレクサンドル・ロペス)。とにかく顔が広く、A$AP ROCKY、Pharrell Williams、Rick Owens、Kanye West、そして特にVLONE(ヴィローン)を手がけるA$AP Bari(エイザップ・バリ)との親交が深い。

パリジャンらしくモードから古着漁りまで好きという彼のブランドと人がらを見てみたいと思う。

「ゲリラ」な販売スタイル

YOPは実店舗を持たない。もともとウェブマガジンからスタートした自身のサイト上のみでの販売で、基本的にいつ見てみても全商品がSOLD OUT、サイトは一時クローズにされている。実際に著者が見た際には人気のパーカは数時間、キャップなどは3日ほどで売り切れていた。

1シーズンの中で何度か商品がアップデートされるが、全く同じカラーリングはあまり発売されない。おそらく購買者の多いものだけ再販がかかる形になっているのだろう。発売予告は常に実際の発売の前日にインスタグラムでされるといった、まさにゲリラ戦法だ。

2018年11月の初旬に発売された最新のカラー。同年の2月に発表されたHOUSE BURNコレクションの物だ。公私混同した彼のインスタグラムは非公開。是非ともフォローしてアップデートを待ってみてほしい。

Alesandre Lopezのカリスマ性

アンダーグラウンドにおけるYOPの人気を不動のものとさせるのはエイザップ・バリとの濃い親交だけではない。何よりロペス本人のファッション的なカリスマ性によるものが大きい。

Alexandre Lopez

2016年のHYPEBEASTによるインタビューでは、自身のファッションセンスを開花させたのはフレグランスショップオーナーだった祖母だと話す。

“I think I was just 13 years old. I started to play in a basketball team and I increasingly became interested in style more. I started looking up to all the latest kicks and reading 5 Majeurmagazine (a magazine about the basket ball that I loved), where I was able to check out all the latest releases. Music was also fundamental to me. I was heavily influenced by the U.S. hip hop and rock culture. Do you remember the style of Ja Rule, Fabolous, Jagged Edge with all these Pelle Pelle, Sean John, Phat Farm and Akademiks stuff? That was the best era — so inspiring to me! But my first real interest in fashion was thanks to my grandmother. She was an owner of stores and worked with many brands too. She showed me the way. She is my mentor.”

「13の時かな。バスケを始めて、俺が大好きだった5 Majeurっていう雑誌でバッシュのリリースをずっとチェックしてたんだ。それにUSヒップホップとロックも俺のバックグラウンドだよ。Ja Rule、Fabolous、Jqgged Edge、Sean John、Phat Farm、それにAkademiks。最高の時代だったよな。でも俺にとって最初の、リアルなファッションへの興味っておばあちゃんの影響だよ。彼女はショップを経営しててさ。俺に道を示してくれた人だ。」(HYPEBEASTより)

その影響は今あらゆるものを見つける「センス」に開花している。

「シェア」し「発見」するプラットホームから

YOPの始まりは2011年、Tumblrからのブログだった。ロペスはTumblrから自身のサイトを作ることにした当時の考えを振り返った。

“it was a REVOLUTIONARY platform where people can discover new things and share their vision at the same time. It was great, but I wanted more, I wanted to make things in a more structured way, … So I decided to start my own website. The website was a very good platform to share my ideas and connect with people around the world.”

「(Tumblrは)みんなが自分のヴィジョンをシェアしながら新しいものを発見できるプラットホームだった。でも俺はなんていうかもっと道筋がはっきりしたものをやりたかったんだ。それで、俺のアイデアをシェアして、世界中の人たちとコンタクト出来るようにサイトを作った。」(HYPEBEASTより)

ロペスは続けて、ネット時代のド真ん中である現代で、他との差別化に成功しているブランドはほんの一握りだと話した。

ちなみに真ん中の段左端は今年の新ロゴで、これを作成したのはYuta Kawaguchi、別名GUCCI MAZE(グッチメイズ)と呼ばれる日本人だ。

YOPが他のブランドと一線を画せているのは、ミレニアル世代らしいネットの利用と、フランス人らしい人とのコネクション作りにあるだろう。設立されて2、3年のブランドとは思えないそのインスタグラムにはその二つに恩恵を受けた素晴らしいブランディングが映えている。

著者は彼とショートメッセージで何度か連絡を取ったが、動詞の活用をしないなどを含め単語の綴りを一切気にしないフレンチユースにありがちな文章と、インディペンデントなブランドらしいホスピタリティが記憶に残った。

美肌と高身長、飛び抜けたファッションセンスが遠目からでも彼本人だとわかってしまう。彼のクリエイションの勢いはこれからも止まらないだろう。