日本の人気アニメ、「新世紀エヴァンゲリオン」が2019年今春からNetflixに初登場すると、昨年11月Netflix Japan Animeなどが一般公表した。世界中100万人以上を越える熱狂ファンが、要約訪れたこの機会を待ち遠しく待っている。海外でも大人気の日本のアニメシリーズ。海外誌でこのニュースが異常に騒がれている現象が起こっているほどの大人気ぶり。さらに興味深いことに、取り上げられている媒体が以外にもアート系やライフカルチャー系をメインとしたものが多いのだ。
今回は、「エヴァ」がなぜここまで海外のアートトピックで話題になるのかを解読してみたいと思う。
余談になるが、私が個人的にエジプト旅行に行った時、現地で知り合ったエジプト人が「新世紀エヴァンゲリオン」の大ファンでそのオタクぶりを熱烈に語ってくれたと言う経験がある。「エヴァ」の人気はまた、アメリカやヨーロッパのみだけではないようだ。
全世界で「エヴァ」がNetflix配信。この春から
人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のテレビシリーズ全話が、この春から「Netflix」で配信される。全世界独占配信で、世界各国約190ヵ国で視聴が可能になるという。
配信となるのは、TVシリーズ26話のほか、劇場版である『EVANGELION:DEATH (TRUE)²』『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の2作。ぜひとも期待したい。
イタリアのアート雑誌「Artribune」がこの知らせを代々発表
-アニメは商品
アートの国イタリア。イタリアのアート界を鋭い視点でとらえる、アート誌「Artribune」。今回のこの話題がきっかけで、「新世紀エヴァンゲリオン」について絶賛して語られた記事が発表された。
1990年代世界で最も影響力のあるアニメーションだ。1960年山口県宇部市で生まれた華麗で天才的演出家Hideaki Annoの思いから生まれた素晴らしい商品。「新世紀エヴァンゲリオン」はその作品自体がすでに、太陽が昇る国の歴史を表している。
(Artribuneより)
アニメを商品と提唱している辺りが、まさにイタリアらしいが確かに納得。イタリアは、セクハラなど問題の多い前首相ベルルスコーニ氏が創業したメディアグループが、90年代初頭に日本のアニメを大量放送したことがきっかけで、日本のアニメが大人気になった。彼のテレビ局はまた、フランスやドイツ他のヨーロッパ諸国にもアニメ文化を流行らせたという経歴があり、ベルルスコーニ氏は「新世紀エヴァンゲリオン」のヨーロッパでの人気ぶりに多大に影響を及ぼした人物の一人でもある。
-「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクター構成
「新世紀エヴァンゲリオン」が海外でも人気がある理由の一つに、キャラクター設定の綿密さが取り上げられる。同誌「Artribune」では、「エヴァ」のユニークなキャラクター構成についてをこう述べている。
NGE(Neon Genesis Evangelionの略らしい)のキャラクター設定とストーリー構成は、非常に高度な技術を使ってリアルに作り込まれている。それぞれの登場人物の個性が心理的にとてもよく描かれ、まるで視聴者に密接して関係しているかのような錯覚を生み出す。このようなテクニックは他のアニメーション作品では決して見ることができない。
(Artribuneより)
西欧哲学の深いリサーチ
「新世紀エヴァンゲリオン」の作品からは、作者、庵野秀明の「非常に深い西欧哲学のリサーチが見受けられる。」と同誌「Artribune」は続けて紹介する。
彼は、ジブリ映画「風の谷のナウシカ」の巨神兵シーンの原画を担当したことでも有名だ。ナウシカ作品のように西欧のおとぎ話に出てくるような不思議な世界観は、彼が元々得意とする分野なようだ。「新世紀エヴァンゲリオン」が生み出される背景には、西欧哲学、宗教、神話についての随分と深いった研究が隠されている。
-フロイトやユングなど、ヨーロッパの心理学者からの影響
「新世紀エヴァンゲリオン」に登場してくる「ゼーレ」や「ネルフ」と言う用語はヨーロッパの心理学者ユングの著者で頻繁に登場してくる用語だ。登場人物シンジやアスカなど、思春期のつかみ所の無い精神や優柔不断な心理は、フロイトの心理学の研究から基づいてキャラクター設定がしてあるようだ。
-哲学者ハイデガーの実存主義
ドイツの哲学者ハイデガー、実存主義の研究を続けた元ナチスの哲学者。彼の著書「存在と時間」では、「新世紀エヴァンゲリオン」の登場人物シンジが思い悩む「僕がここに居て良いのか悪いのか。それとも本当に存在しているのか。」と言うあいまいで、かつ人間の根本的な問いと同じ内容が記されている。
-ニーチェの格言を起用
「新世紀エヴァンゲリオン」では、哲学者で小説家のフリードリヒ・ニーチェの格言をそのまま引用している節がしばしば見られる。また、当時のニーチェが捕らえるキリスト教への概念は、この作品で登場する「ゼーレ」の概念などに非常に影響を与えている。
人間は己を乗り超えなくてはならない。虚無主義という否定的な現実から目を背けるな。
(フリードリヒ・ニーチェ)
海外アート誌などで、「新世紀エヴァンゲリオン」が高く評価されている理由は、作者庵野氏の西欧文化への深いリサーチ結果が大きく影響しているようだ。
1990年代、日本アニメの大名作、この春からNetflixで私たちが視聴するのを待っている。