南アジア(スリランカ)出身の両親を持つ、ノルウェー生まれの20歳Jeenu Mahadevan (ジヌ・マハーデーヴァン)。彼のモデルとしてのキャリアは、2016年3月に、ノルウェーの首都オソロのバスの中でスカウトされたことから始まった。彼はこの時の様子を以下の様に語っている。
「家に帰るための公共バスで、ある日ある女性が、バスの中でずっと見つめてきた。それは、3か所のバス停を通り過ぎるくらい長い間で、本当に変だと思ったんだ。」
その女性は、ノルウェーのファッション・デザイナーのIda Falck Øienだった。彼女は、「オソロのランウェイで自分のブランド『HAiKw/』のモデルにならないか」と彼を誘ったという。彼女は、日本の舞踏家の吉本大輔ともコラボレーションするなど真の国際的なデザイナーなのだ。そんな彼女が発掘した20歳のジヌは、ロンドン、パリ、ミラノ、ニューヨークで大活躍するトップ・モデルとして今もっとも注目されている。

幼い頃は、スペース(宇宙)オタクで、コンピューター・サイエンスや天体物理学に興味があり、ファッション・モデルになるとは決して思わなかったという。
ノルウェーのオソロ・ランウェイから始まり、2017年にパリコレでデビュー、現在はVersace, Givenchy Alexander McQueen そしてBurberryのショーで活躍している。ランウェイ・モデルだけでなくアディダスの広告などでも高い評価を受けている。
南アジア(インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュなどのエリア)のモデルはまだまだ珍しく、彼をパイオニアと呼ぶメディアもある。そんな数少ない南アジア系のモデルとして、今のトップモデル界で感じたカラリズム(colourism)をBBCで明らかにした。

同じアジア人からのネガティブなコメント
彼が輝かしく活躍する陰で、彼のインスタグラムや広告などネット上で、「肌がダークすぎ」、「色黒がランウェイを歩くべきでない」などの差別なネガティブのコメントも多々あったようだ。
そして彼は、ネガティブなコメントのほとんどが、同じアジア人、特にインド人からのものだったと述べた。近年辞書に加わった新しい言葉、カラリズム(colourism)というもの。
意味は、ダークな肌の人に向けた特に同じ人種グループからのネガティブな発言などの差別だ。人種差別はもう古いと思っている人も多いが、カラリズムとは、他の人種の差別ではなく、同じ人種やエスニック・グループ内での差別が近年増えているという。

ヨーロッパとアジアの『ファッション』と『美』の違い
日本や韓国を含め、南アジアのインドやスリランカでも美白商品が続々販売されるほど、肌のトーンを気にしている人が多い。映画スターやモデルは、色白の方が良いというイメージがアジア全体で広がってしまったという。
多くのアジア諸国では肌の色がこんなにも重要で、アジアのファション・デザイナーも同様だと感じたという。一方欧米では、白人が小麦色の肌に憧れ日光浴を欠かせないなど、無い物ねだりなんだと感じさせられる問題だ。
しかし、実際、彼が得た多くのチャンスは、ヨーロッパ系のブランドからだったと言う。彼の長身でスタイルの良さは勿論、若さが残るインパクトのある表情とセクシーな眼差しに多くの人が魅了させている。