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話題のバンクシーの出身地でも知られるイギリスは、ストリートアートが盛んだ。今回は特に観光しやすいロンドンの中で、注目のストリートアートスポットを紹介する。一般的には壁の落書きの多い場所は治安が悪いと言われがちだが、ストリートアート文化が広く浸透しているロンドンでは必ずしもそうとは限らない。

現地から見た実際の感想も交えて紹介しよう。

ショーディッチ(Shoreditch)

ロンドンのストリートアートの聖地と言えば、ショーディッチ。

ロンドン地下鉄マップのゾーン1内に位置する活発的なエリアで、流感に敏感な若者が集まるクラブ、カフェやマーケットが多数存在する。時間帯によっては混雑しているのでスリに気を付ける必要があるが、街の雰囲気自体は明るく楽しんで歩けるだろう。

オールドストリート駅にもほど近いリヴィングトン・ストリートにあるバー「Cargo」では、バンクシーの作品も見られる。特に見ごたえがある注目スポットは、ショーディッチ・ハイストリート駅から南東に位置するブリック・レーン通り。壁という壁を埋めるようにグラフィティーで溢れ、思わず足を止めて見入ってしまうような大作もあちこちで目にする。ショーディッチ・ストリートアート・ツアーも開催されているので、観光を極めたい人はぜひ利用してみよう。

リーク・ストリート・トンネル(Leake Street Tunnel)

ウォータールー駅そばにあるトンネル。別名「バンクシー・トンネル」。2008年にバンクシーによるイベント「The Cans Festival」が開催され、この300メートルのトンネルを世界中から集められた30人のアーティストがグラフィティーアートで埋め尽くした。それをきっかけに世界有数のストリートアートスポットとして知られるようになり、以後もこの場所でグラフィティーアートを作成することは正式に許可されるようになった。

天井までぎっしりと埋め尽くされたグラフィティーは一見の価値あり。ロンドン・アイからもアクセスしやすい抜群の立地と、安心して歩ける治安の良さも特徴だ。

カムデン(Camden)

ロンドンでもトップクラスの人気を誇る観光スポット、カムデン。複数のマーケットやライブハウスがあるカムデンは、ショッピングやコンサート、屋台の食べ歩きなどエンターテイメントも豊富だ。

地下鉄ゾーン2に位置するカムデン・タウン駅を降り、カムデン・ハイストリートをマーケットのある方向へ歩いていくと色とりどりのストリートアートを目にするだろう。グラフィティーだけではなく建物のデザインも凝っていて個性的なものが多く、歩くだけで非常に目を楽しませてくれる。エイミー・ワインハウスが暮らしていたゆかりの地ゆえに、彼女をモチーフにしたグラフィティーも複数見られる。

昼間ならスリに注意している限り楽しく歩き回れるが、ヒッピー文化を象徴する街でもあるカムデンは、マリファナなどのドラッグ売買を秘かに行う者も少なからずいる。酔って大騒ぎする若者も多いので、深夜に出歩くことはあまりお勧めしない。

https://zabou.me/2017/12/20/amy-in-camden/

フランス出身の有名アーティストZabouによって描かれたエイミー・ワインハウス。

ハックニーウィック(Hackney Wick)

ハックニーウィックには個性的な若手アーティストが多く暮らしており、ロンドンの中でも異彩を放つエリアだ。
ハックニーウィック駅から出るとすぐに、街全体がキャンパスのようにストリートアートに溢れていることに気づくだろう。

エリア全体の芸術的感性の高さは第二のショーディッチとも言われるほど。しかしながらハックニーはロンドンの中でもあまり治安が良くないエリアとして悪名高い。ハックニーウィック駅周辺はショップや飲食店もあまりなく、昼間でも人通りが少ないので、地域慣れしていない人が歩き回るには少々不安に感じることもあるかもしれない。

パークランド・ウォーク(Parkland Walk)

https://www.flickr.com/photos/martinhearn/33268797523/

ロンドンのゾーン2に位置するフィンズベリー・パークから北部郊外のアレクサンドラ・パレスまで続く緑豊かな散歩道。繁華街を避けて通る散歩道なのでグラフィティーをメインに楽しむには物足りなさを感じるかもしれないが、自然とグラフィティーが融合した独特な光景が楽しめるのはこの場所ならでは。

特にクラウチ・エンドやハイゲートあたりは高級住宅街で治安も良く、カメラ片手にゆっくり歩くには最適だ。

 

ストリートアートの姿は日々変わっていく。迷惑な落書きとみなされ消されたり、他のアートが上書きされたり、価値を見出されて保存されたりと、それぞれのアート毎に物語があるのだ。ロンドンでこれらのストリートを訪れた際には、その日その場所でだからこそ見られる芸術の魅力を存分に楽しんでいただきたい。