元ディオールのクリエイティブディレクターとして神的に降臨した、ファッション界の大海賊ジョン・ガリアーノ。人種差別発言のスキャンダルで一時は業界から追放されたと思われた彼だが、現在は、90年代に一世を風靡した同じくファッション界の帝王マルタン・マルジェラのクリエイティブディレクターとして就任中。新たな話題を再び呼んでいる。今回は、今後の動きが特に気になるジョン・ガリアーノの知っておきたい10の事を特集する。

1:大海賊のような、異質なオーラ

ジョン・ガリアーノと言えば、まるで映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」に登場してくる大海賊のような、浮世離れした独特のワイルドなオーラを醸し出している事で人気がある。彼自身のミステリアスで謎めいたルックスとスタイルはもちろん、その作風にも影響を及ぼしている。エキセントリックで一目をハっと思わせるような大胆なスタイルが、他のファッションデザイナーとは全く異なる異質なオーラを提供させる。一見、激しくワイルドに見える彼のデザインは、デリケートで繊細な仕立てで一点一点作られており、特にオートクチュール界から大変高い賞賛がなされている。

2:ファッション界の天才、ジョン・ガリアーノ

ジョン・ガリアーノ

1960年、スペインの南に位置するイギリス領土ジブラルタル出身。6歳の時イギリス、ロンドンに移住している。セントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインのモード科を首席で卒業。卒業制作コレクション「アフガニスタンとヨーロッパの理想」が早速ロンドンのブティックで好評を得る。ロンドン・コレクションで卒業後すぐにデビュー。瞬く間にファッション界から注目されるようになった。

3:ロンドンからパリへ

話題のロンドンデビューを果たした後、1989年からは、パリ・オートクチュール協会の招待で活動をパリに移している。彼が当初得意としていた、オーダーメイドのテーラードスーツとバイアスカットの繊細なドレスがロンドンで高い評価を得た結果が功をなした。1991年、正式にパリ・コレクションデビュー。

4:ジバンシィのデザイナーに抜擢

1995年、オードリー・ヘプバーンのデザイナーとして世界に名を残す高級ブランド、ジバンシィの生みの親でもあるファッションデザイナーのユベール・ド・ジバンシィの跡継ぎとして新デザイナーにジョン・ガリアーノを抜擢。しかし、ジョン・ガリアーノはコレクションを2回発表したのみ、ジバンシィの後を絶っている。

5:クリスチャン・ディオールの新デザイナー

1996年、ジョン・ガリアーノはクリスチャン・ディオールの新デザイナーとして就任。2011年まで15年間、彼の功績を堂々と見せる活躍ぶりを発揮することになった。

6:人種差別発言のスキャンダル

2011年、ユダヤ人に対する人種差別発言問題のため、ジョン・ガリアーノはフランスの警察当局に拘束されている。また、その後すぐにクリスチャン・ディオール及び、自身のブランド、ジョン・ガリアーノのデザイナー職を解雇された。

パリ市内のカフェで酒に酔ってカップルに対しユダヤ人差別的な暴言を発したことが原因だったようだ。ジョン・ガリアーノはユダヤ人差別を強く否定したが、被害を受けたと言う別のユダヤ人女性もあらわれ、彼の人種差別スキャンダルは当時のパリで波乱を呼んだ。

7:マルタン・マルジェラにて再復帰

人種差別問題でファッション業界からほぼ追放されてしまったかと思われたジョン・ガリアーノだが、さすがファッション界の天才、2014年マルタン・マルジェラのクリエイティブディレクターとして再度業界復帰を果たした。

アントワープ王立芸術アカデミー出身のマルタン・マルジェラと、セントラル・セント・マーチンズ出身のジョン・ガリアーノ。2校の全く異なるファッション教育を受けた2人の新たなコラボレーションで再び注目の的となった。顔すら明かすことが滅多に無いマルタン・マルジェラと、その秘密めいた姿とは打って変わってスキャンダルの多いジョン・ガリアーノのコントラストの効いたダブルコンビが今後のファッション界に新たな波を提案させる。

また、ジョン・ガリアーノはカルト的人気を誇るマルタン・マルジェラを、より幅広く、さらに多くの顧客を呼び寄せる事に成功させた。ジョン・ガリアーノは、パリにあるマルジェラ本店を新しく新装させ、さらにパリに2店目もオープンさせた。

8:公にはもう出ない

以前は、コレクションやプレスに強烈なキャラクターとして頻繁に登場していたジョン・ガリアーノ。スキャンダル後ジョン・ガリアーノは公の場に出ることがあまりなくなってしまった。まるで、謎めいたファッションブランド、マルタン・マルジェラのコンセプトに合わせるような秘密めいた魅力が逆に功をなしている。

9:神なりのカリスマ性

インパクトのある神的な彼のデザインは、神秘的なカリスマ性を醸し出している。彼がディレクトするファッションショーは、メイクやヘアも他のデザイナーとは全く異なる方向性を持っている。

10:ジョン・ガリアーノの得体の知れない創造力

ジョン・ガリアーノの世界観は、得体の知れない強烈なパワーを常に持っている。その圧倒的で威圧感のあるスタイルはジバンシィ、クリスチャン・ディオール、そしてマルタン・マルジェラのクラシックなスタイルに新たな火を燃やした。彼の名前は今後ファッションの歴史に必ずしも残るに違いない。