「安心感を捨てて、得意なことから好きなことにシフトしました」イラストレーター、foxco(渡邉香織)が選んだフリーランスという道

「私めっちゃ凹みますよ」とクシャッとした笑顔で話すのは、イラストレーターのfoxco(フォクスコ/渡邉香織)さん。日常生活で目にする景色を彼女の色で表現し、その等身大で描かれるイラストは多くの人を魅了している。明るい笑顔の裏側にある日々の努力とイラストにかける想い、そして飾らない姿に迫りました。

-高校時代はカナダ、大学時代はパリに留学されてたと伺っています。どのような経緯で留学をされたのでしょうか?

小学生の頃にオーストラリアで2週間ほどホームステイした時に、とても楽しかったのでもっと長くいたいと思い、高校時代はカナダ、大学では1年間パリの芸術学部に留学していました。

 

-イラストは学生時代から描かれているのでしょうか?

絵は好きで幼い頃から描いています。“イラスト”になったのはパリ留学中に、学校の授業とは別で息抜きがてら自由にイラストを描き始めました。

作品の裏側

-以前foxcoさんのイラストで表参道駅をハイジャックしていたのを拝見しました。あの時はどのような心境だったのでしょうか?

ポスターが本屋に貼られるのは聞いていましたが、まさか表参道駅までジャックしているとは知らなかったのでとても驚きました。人生で一番のサプライズだった思います(笑)周りからは「イラスト見たよ!」という反応もあったので嬉しかったです。

 

-これまで沢山の作品を残されてきたと思います。イラストを描く際はどのようなところからインスピレーションを受けているのでしょうか?

日常とは違うものを見るとイラストを書きたいと感じるので、旅行が一番のインスピレーションです。それ以外にも、写真からアイディアをもらうこともあります。

-作業をする上で集中力を高めたいときは、どのような工夫をされているのでしょうか?

場所変えると集中力が高まるので、最近は外に出ることが多いです。他人の目があると「私も仕事をしなきゃ!」という気持ちになります。あと、お洒落して渋谷のカフェで自分に酔いながらやってみたり(笑)締め切りが迫っていて外に出られない時は、キャンドルなど香りを変えて集中力を高めています。

 

-フリーランスで活動されていると1人作業が多いと思います。常にポジティブでいられるために心がけていることはありますか?

今が大変だと思うと本当に大変になってくる気がするので、意識的に気持ちを切り替えています。

-同世代のクリエイターや他のイラストレーターさんの活躍が気になることもあるのではないでしょうか?

以前ゼミの教授が「自分がまっすぐ好きなことに打ち込んでいることが周りへの嫉妬を駆逐してくれる」みたいなことを言っていて、他人を羨ましく思いそうになったらそれを思い出しています。

安心感を捨てて

-フリーランスに至るまでは、どのような活動をされていたのでしょうか?

以前はコンサルティング関係の仕事をしながら、個人でイラストの仕事も受けていました。コンサルティングは得意だと思えていたし、金銭的にも安定していたので安心していたのですが、だんだんとイラストだけでも生活ができそうになってきたので安心感を捨てて自分の「得意なこと」から「好きなこと」にシフトしました。

-転身後の生活で、何か大きな変化はありましたか?

自分で時間を自由に使えるようになったので、8時くらいからアトリエでイラストに集中→14〜17時に打ち合わせ→帰宅して一旦昼寝→忙しければまたアトリエに戻る、みたいなスケジュールにしています。昼寝すると集中力が高まるし、気持ちをリセットできます。今までと違って、自分の気分や体調に合わせて働けるようになったのが、一番大きな変化です。

 

-これからの目標やビジョンを教えてください。

街で見かけた絵がfoxcoが描いたとわからなくても「あ、これあの人の絵だよね」とわかってもらえるような確立したイラストレーターになりたいです。

foxco(フォクスコ/渡邉香織)

東京都出身。高校時代をカナダで、大学ではパリの芸術学部に1年間留学。パリ留学中に趣味でイラストを描き始め、卒業後はIT系企業に就職しながら副業としてイラストの仕事を両立。2016年より、本格的にフリーランスのイラストレーターとして活動を始め、現在は多くの女性ファッション誌やブランドとのコラボレーションを果たす。

INSTAGRAM:https://www.instagram.com/foxco_kaori/?hl=ja