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近年、中国人がデザイナーを務めるブランドへの注目度が高まっている。中でもFeng Chen Wangに対する関心は群を抜いていると言えよう。

デザイナーはブランドと同名の北京出身の女性。2015年にロンドンの名門Royal Collage of Art在学中に立ち上げたメンズウェアブランドである。2016年にNewYork Fashion Weekにてファーストコレクションを発表。また、同年にはLVMHプライズのファイナリストに選出された。

テーマは「One Two Three」

2019年1月7日、London Fashion Weekにて2019年秋冬のコレクションが公開された。コレクションのテーマは「One Two Three」。母親と2人の兄弟からインスピレーションを受けているという。コレクション内でも特徴的であった2人のモデルを繋ぐダウンジャケットは、兄弟愛を連想させるテーマを象徴するようなアイテムであった。

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蓮の花

家族との関係性をテーマにしたコレクションであるが、思うに彼女の家族との思い出が「幸せな記憶」だけであったわけではないのかもしれない。人口増加を抑えるために中国では1979年から一人っ子政策が施行されていた。2人目3人目の子どもを産むことになった母親は、人里離れた川岸で隠れて産むこと強いられるほど、その圧力は強かったという。淡い水彩で描かれた蓮の絵がプリントされたアイテムがいくつか見受けられるが、この絵が意味するのはそういった運命を辿った母親を川辺に咲く蓮になぞらえている。Wang自身も3人兄弟であることから母親に対するメッセージであると思われ、そのストーリーを踏まえると美しくもどこか儚い印象を受ける。

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このコレクションを彼女がどんな想いで作り上げたかを推し量ることはできないが、そういった中国国内の政治的背景や時代性をデザイナーの目を通じて反映したコレクションになっているとも言える。

日本での関心も急増中

すでに2019年秋冬のアイテムのデリバリーが始まっている。今季より新たに、菊信やDover Street Market Ginzaといった都内有数のセレクトショップでも取り扱いが始まっていることから、その注目度の高さが伺える。デザイナーのバックグラウンドやコレクションへの想いを知った上で、実際にその作品を手に取ってみてはいかがだろうか。