【21Questions】「サイサイらしさは自分たちが一番よくわかっている」SILENT SIREN ひなんちゅに聞いた21の質問

2020年にバンド結成10周年を迎えるSILENT SIREN。アーティストとしての一面だけでなく、ファッションアイコンとしても平成から令和のサブカルチャーを彩ってきた彼女たちは、様々な”可愛い"や”女子の挑戦"を具現化してくれるアーティストでもある。メンバーの音楽やファッションに対する思いは、SILENT SIRENを”可愛い"という場所だけにとどまらせない着火剤の1つ。
「女版TOKIOになりたい」と語るリーダーひなんちゅの目は、虎視眈々とその場を見据えていた。彼女たちのビジュアルだけでは見えてこない、SILENT SIRENというガールズバンドが目指す頂点をリーダーひなんちゅと共に見据えてほしい。

Q1:本格的にバンドをする前はコピーバンドや楽器を演奏していたと。音楽に興味を持ったきっかけは?

音楽雑誌ですかね。インドネシアに住んでいたのですが、当時は日本の文化が何も入ってこない状況でした。日本の雑誌が船便で1~2か月遅れで届いてて、周りはセブンティーンや二コラをよく読んでいて会話の中心だったんです。私は大人数が苦手で、おばあちゃんに日本の音楽雑誌を送ってくれるように頼んでそれを読んでいました。

Q2:もともとファッションモデルもされていて、ファッションシーンでも活躍をされていましたが、ファッションと音楽という2つの軸でいうと、音楽に最初に興味を持たれたということでしょうか?

ファッションはファッションで、当時ナルミヤ・インターナショナルのエンジェルブルーやデイジーラバーズ、メゾピアノとかが好きでしたね。インドネシアは夏しかないので、いとこが夏に着なくなった服を日本から送ってもらって、エコな方法でおしゃれを楽しんでいました(笑)。もともとファッションは好きだったのですが、インドネシアは肌を露出するのもダメだったので、実際に自由に服を着ることはできなかったんです。だから、音楽の方がすぐに実践できて楽しいなという感じでした。

Q3:今日のファッションポイントは?

スタジオ練習が多いと、ドラムなのでタイトスカートやヒールが履けなくて。撮影する日はドラムを叩く事を気にしない服を着るようにしています。今日は、タイトスカートにニーハイ。でもアウターはちょっと個性的。きれい目にまとめるというよりは、個性的な部分を出しつつ女性らしい感じにしました。
でも昨日はジャージだったし…。オン、オフは激しいです(笑)。

Q3:今のひなんちゅさんを形成するにあたって、インドネシアでの経験というのはやはり大きいのでしょうか?

インドネシアが青春時代なのでかなり大きいですね。とにかく日本の文化があまり入ってこないので、近くにいる友達とのコミュニティが全てという感じでした。

Q4:インドネシアのストリートカルチャーやユースカルチャーはどうでしたか?

そういうカルチャー自体が無かったんですよ。危険なシーンが多く、あまり外も歩けなかったので。どちらかというとファッションの流行とかも無かったし、もう着れればいいみたいな。当時はそんな感じでした。

Q5:モデルとしてデビューされて、そこからバンドとして活動される中で心境の変化などはありましたか?

そもそも私は、モデルとして活躍していたとかデビューした記憶がなくって、モデルをやっていたっていう自覚が無いんですよ。編集部から連絡をもらって、旧GAP前へ行って、スナップを撮って交通費をもらってというようなアルバイト感覚でやっていた部分があります。自分がモデルだと思ったことは一度もなくて、たまたまCUTiEという雑誌の専属読者モデルに入れてもらったんですけど、当時は読モとモデルの違いが顕著にあった時代だったので。

当時デビューするにあたって、「読者モデルのバンド」をキャッチコピーとしてさせてもらっていますけど、自分たちは「おこがましい」と思っていましたね(笑)。

Q6:ひなんちゅさんが思うファッションと音楽の関連性は何でしょうか?

当時は原宿によく行っていたので、目立ってなんぼという感じでした。奇抜なファッションやギャルのように分かりやすいファッションが流行ってたし。アーティストの方は突拍子もない髪型とかファッションをするじゃないですか。でも、それもちゃんと意味があって。そのことを雑誌のインタビューとかで読むとすごくおもしろくて。そういう面ではファッションと音楽は自己表現という点では同じだなと思います。
ファッションが必ずしも大事というわけではないけれど、音楽をやっている人の音楽にさらに説得力が増すのがファッションなのかなと思います。

Q7:SILENT SIRENではファッションに音楽をどのように落とし込んでいるのでしょうか?

もともとデビューした頃は、みんなが真似しやすいファッションにしていましたね。WEGOやSPINNSとかで揃えて、CDのジャケット撮影とかも自分たちで2万円くらいで全身コーディネートしてましたね。ラフォーレとかでみんなが買いやすいブランドを買ってたので、ライブに同じ服で来てくれたりする女の子も多かったです。

わたしたちはモデルではなく読モだったので、みんなのお手本になりやすいファッションを心がけていました。みんな思っているのは「自分らしさ」というものをどうファッションで表現するかですね。

Q8:ミュージックビデオなども、みなさんの意見を反映されて世界観や曲の色といったものを表現されているのでしょうか?

世界観などは100%自分たちの思い通りにいくことはありませんが、自分たちの意見は最大限伝えます。ファッションもそうだし、セットとか構成とか演出とかについて意見を伝えています。

Q9:意見が一番反映された、みなさんの色が一番よく出ていると感じる作品を教えて下さい。

「ジャストミート」ですかね。この曲は初めてミュージックビデオの監督さんが女の方だったんですよ。女性の方から見たSILENT SIRENというのを意識してもらいました。衣装も男受けはしないけれど女子の好きそうなブランドを着ています。今まではみんなが真似できるおしゃれな服を着ていましたが、この作品ではSRETSISとか、みんなが憧れる服を着ています。それとはギャップのあるパジャマのシーンもあって、サテンのパジャマを着て、女子が思う「かわいい」を表現しています。他にもジャムを顔につけたりだとか、女性監督ならではのセンスのよさが出ているなと思います。このミュージックビデオはメンバーみんなお気に入りだと思います。
やっぱり世界観や衣装も拘りたいから、MVで着た衣装のブランドは100%今でも覚えていますね。

Q10:バンドとしてデビューされる前とされた後で、音楽の聴き方は変りましたか?

変わりました。デビューする前はバンドが大好きだったんですけど、デビューしてからは、当時ほどはバンドを聴かなくなりましたね。
制作するにあたって、自分たちの音楽を聴くじゃないですか。なので色んなバンドを見たら、私はドラムばかりを見てしまうし、ドラムの音ばかりを聞いてしまう。それは音楽としての楽しみではなくて、「ここでそういう感じのドラムパターンになるんだ」とか調査みたいなっちゃって、純粋な音楽の楽しみ方ができなくなってしまったんです。もちろんバンドも好きですし、ライブとかに行くのも大好きなんですけど、プライベートではラップ系とかK-POPとかゆったりした感じの曲とかを聴くことが増えました。バンドを全く聴かなくなったわけではないんですけど、前は、逆にバンドしか聴いていなかった。バンドが全てみたいな。

今まで聴いてこなかった曲を聴いたらめちゃ新鮮な気持ちで、「えっ、Aメロから急にサビにくるんだ!」とか、今までの自分たちが思っていたバンドとしての概念を音楽という枠で見るとすごく小さなものに感じて、可能性がもっと広がると思えるんです。意識的にバンドの曲じゃない曲で流行っている曲とかを可能性を広げるために聴いています。

Q11:ちなみに、今のマイベストソングやアルバムはありますか?

うーん。ベタにK-POPなんですけど、TWICEさん好きです。サブスクとかで聴くと関連していろいろ出てくるんですよ。そこからK-POPのラップとかも聴いています。
K-RAPだと、「PENOMECO」さんはライブを観てから聴いてますね。

Q13:音楽以外で、ハマっている事などありますか?

いっぱいありますね。今サウナにめっちゃはまってます。
あと、オラクルカードにもはまっています。タロットみたいなやつなんですけど、オラクルカードは自分が尋きたいことを考えてカードをシャッフルして引くと、今の自分に必要な言葉が出て来るんです。それが超おもしろくて当たるんですよ。「今日、休みだけど何しよう」って時にカード引いて「自然を見た方がいい」と出たり、友達が「今の彼氏とどうしよう」と思ったときに見ると「結婚」のカードが出たりします。携帯の待ち受けもオラクルカードで(笑)「Be yourself」というカードです。

Q14:日常で刺激を受けるものはありますか?

友達と話をする時ですね。音楽関係以外の友達との時間も大切にしています。そういう人と話すと、自分が当たり前と思っている世界とは違う世界で生きている人達だから、価値観も全然違っておもしろい。他には一般職に就いている友達とか。その人達にも届く音楽を作るためには、自分の当たり前を音楽にすることが正しいわけじゃないと思うことが出来るんです。色々な人を知るのが面白い。休みの日にはできるだけ人に会うようにしています。

Q15:ファッションや好きなバンドなど元々共通点も多かったSILENT SIRENの皆さんですが、バンドをやっていくうちに皆さんの中で変化はありましたか?

大人になったかな。あいにゃんとかは、もともと自分の意見を言わなくて「何でもいいよ」っていう感じだったけれど、今は自分から「これどうする」とか「これ、こう思うんだけどこうしない?」とか意見を言ってくれるようになりましたし。
楽器に対する意識もみんな高くなりました。バンドを組んだ最初のころは「練習しなきゃだめだよ」といった少し強制的な空気があったんですけど、今は好きだから練習をやっている自発的な空気に変わりましたね。練習をすることが生活の一部になっているので、それ以外のことも考えることが出来るようになったのかな。曲作りのときに自分の楽器だけでなく他の楽器についても「もっとこうしたら」といった意見が言えるようになったので、4人で一つという想いが前よりも強くなったと思います。

Q16:リーダーであるひなんちゅさんから見て、SILENT SIRENは音楽性やビジュアルも含めどういうグループだと思いますか。

サイサイはポップでかわいいというイメージが強いと思うんですけど、わたしたちはそんな認識が無いんです。逆に、自分たちはどこのバンドよりも男っぽいと思います。世間のイメージとは違うからこそそのギャップを自分たちで理解して活動ができていると思います。

Q17:男っぽいとは意外です!どういう面で現れるのでしょうか?

結構ストイックで、まじめで、意見の違いをぶつけあったりもします。ふわふわしたイメージがあるかもしれないんですけど、実は芯がすごくあるんです。サイサイらしさは自分たちが一番よくわかっていて、何がサイサイっぽいとか、初めてサイサイを観る人がどんな気持ちで観て楽しめるか、いつも話し合ってますね。常に初心を忘れずにやっています。ライブはもう1000回以上は絶対やっていますが、いつも「初めての人に向けて」という気持ちでやっていますし。

みんな疲れたと思うときがあったとしても、「疲れた。でも、仕事があるってありがたいね」って、ポジティブに考えを変換出来ていて。青春ヤンキー映画みたいな「お前がいるから俺がいる」という感じ(笑)。「お前がいないとサイサイじゃない」って部活っぽい感じです(笑)。

Q18:部活っぽいと言うと、リーダーとしての役割は大きいのかなと感じます。

それは全然ないんです。私はリーダーですけど、先陣を切って進んでいくタイプじゃなくて。あまりリーダーらしいことはして無いんじゃないかな(笑)。それも皆さんから「しっかりしているよね」と言われますが、わたしは遅刻しないくらいで(笑)、みんな意識している所は平等です。わたしが「こうしよう」といってもみんなから「それ違わない?」と普通に言われるし(笑)。

Q19:リーダーとして意識していることは?

SILENT SIRENはメンバーみんながボケやツッコミをその場に合わせて担当する、細分化されていて会社みたいなんです。今はわたしが仕切るけど、ここはすぅが仕切る場面だな、自分はここではボケに徹しよう、とかいうのはこれまで積み上げてきた年月があるから言葉にしなくても分かりますね。
実は結構まじめなバンドだと思います。みんながサイサイをもっとハッピーでかわいいと思っていることも知っているので、まじめな部分は出さないようにしています(笑)。そこも含めてサイサイはすごいと思います。

Q20:苦労しているところを見せずに、そこを楽しく変えるってすごいですよね。

楽しく変える才能はみんなすごいですね。リハとかがつらくても、みんな「リハでした」って笑顔で自撮りしてます。あんなに死にそうだったのに、その写真だけで楽しそうに感じるじゃないですか。ツイッターで「今日はリハで死にそうでした」という文だけが載っているのと、その楽しそうな写真が載っているのとでは、全然雰囲気が違うし。その辺りの自己プロデュース力はみんなすごい。

Q21:今後、挑戦したいことはありますか?

レコード会社をユニバーサルミュージック/EMI Recordsに移籍して、日本一のガールズバンドになるぞという意味で「フジヤマディスコ」という曲を作りました。でも、日本一というと定義が曖昧なので、何が一番かを日々話しています。来年に富士山の麓の山中湖でライブをするんですけど、一番やてっぺんを目標にしています。CDを出したらオリコン1位を目指したいし、ライブをするならSoldoutさせたいし。完璧をもとめてプロフェッショナルでいたいとみんな思っています。

バンドを組んでワールドツアーしたときに、「なんでワールドツアーをしようと思ったんですか?」と結構質問されて、私は海外で育ったので「日本人は何でワールドツアーをしないんだろう?」と逆に不思議に思ったんです。「音楽をやるからには世界に行かないと意味がないんじゃない?」とずっと思ってましたし。世界に行くには日本でも知られていないと意味がないので、認知度をあげるためにTVにもっと出たいし、紅白にも出たいです。ミュージックステーションには1回出させてもらいましたが、もう一度出たい。音楽だけでなくファッション性やバラエティー性もある、TOKIOさんの女版みたいになれたらいいなと。

私達の活動でも「SILENT SIREN」という名前が武器になっていて。そこも活かして出来る限り色んな方法で日本一になりたいですね。

Photographer:Kazumi Watanabe
Interview&Text:Ayaka Yoshimura

SILENT SIREN

Vo&G.すぅ(吉田菫)、Dr.ひなんちゅ(梅村妃奈子)、Ba.あいにゃん(山内あいな)、Key.ゆかるん(黒坂優香子)の4名からなるガールズバンド。 2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。
通称”サイサイ”として親しまれ、原宿を中心に女子中高生に人気が広がり、LINE公式アカウントの登録者数は54万人を超える。

2015年には、ガールズバンド史上最短で武道館単独公演を行い、翌年には横浜アリーナ公演、2016年からはアジア・アメリカを周るワールドツアーも開催している。
2016年年末、ユニバーサルミュージック / EMI Recordsへの移籍を発表。
同時にロゴ、バンド名表記を全大文字へと一新。
2017年にはデビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる武道館2Days公演を成功させ、2018年自身最多公演となる全国ツアーも大盛況の中終了した。そして2019年5月に行われたメットライフドームでの対バンライブも大成功を収めた。

2018年から全国ラーメンチェーン「天下一品」のイメージキャラクターも務め、テーマソングも提供し同CMに出演中。
2020年のバンド結成10周年に向けて唯一無二の存在となったガールズバンド「サイサイ」の勢いは止まらない!

【SILENT SIRENリリース情報】

Blu-ray & DVD
SILENT SIREN LIVE TOUR 2019「31313」〜サイサイ、結成10年目だってよ〜 supported
by 天下一品 @ Zepp DiverCity
2019年10月30日(水)発売
ファンクラブ限定盤 Blu-ray 【1BD+CD+GOODS+SPECIAL BOOK】PDXN-1910
¥8,800+税
ファンクラブ限定盤 DVD 【2DVD+CD+GOODS+SPECIAL BOOK】PDBN-1909
¥7,800+税
初回限定盤Blu-ray 【1BD+GOODS】UPXH-29032 ¥5,800+税
初回限定盤DVD 【1DVD+GOODS】UPBH-29084 ¥4,800+税

■全形態共通Blu-ray & DVD 特典映像
・メンバー出演グッズCM映像集 & 「恋のエスパー」踊ってみた動画
・ライブ映像「NO GIRL NO CRY (SILENT SIREN ver.)」2019.6.10 @ Zepp DiverCity

■全形態共通GOODS
LIVE TOUR 2019 『31313』パスレプリカステッカー

■ファンクラブ限定盤
・受付終了
詳細
https://silent-siren.com/special/31313bd/

【LIVE情報】

「SILENT SIREN 年末スペシャルライブ 2019 『HERO』」

日時:12月30日(月)15:00開場 / 16:00開演
会場:横浜文化体育館
「サイサイ結成10周年LIVE 2020.9.20 in 山中湖」
日程:2020年9月20日(日)
会場:山中湖交流プラザ きらら シアターひびき
※詳細後日発表