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BAD HOPによる全編LAで収録されたEP『Lift Off』がApple Music・iTunes限定でリリースされた。世界基準のサウンドを目指す彼らに加担したのは、現行のヒップホップシーンにおける豪華な顔ぶれである。

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“BAD HOP”と言えば、先日TBS系「クレイジージャーニー」に2週にわたって特集が組まれたことでも話題の8人組HIPHOPクルー。同テレビ番組内においてZeebraが「彼らは(ラッパーとしての)サラブレット」だという趣旨の発言をしていたが、まさにその生い立ちは日本に現存する数少ない本場のストリートと言える光景であった。それゆえの地元愛が未だに彼らを結びつけている。

しかし、正直今日までの彼らの活躍は見通せるものでもあったように思う。地元で喧嘩の強い双子のヤンキーが音楽に目覚め、同胞と共に流行りのトラックに地元愛を乗せて観衆を沸かせる光景など、漫画のような素晴らしいストーリーではあるが、本国にも似たような音楽グループがいくつか思い浮かぶ。それらの多くが大衆受けする期間はそれほど長くないように思う。カラオケのランキング上位に永久に封じ込まれて、懐かしさの象徴になるのが限界かもしれない。それでも十分な活躍ではある。その瞬間から、一生食うのには困らないだけの稼ぎが得られたとしてもおかしくない。「KAWASAKI DRIFT」はまさにその代名詞であったように思う。BAD HOPはその運命を拒んだ。そして海を渡ったのだ。

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/32465/3/1/1

Wheezy(ウィージー)、Mike Will Made-It(マイク・ウィル・メイド・イット)、Metro Boomin(メトロ・ブーミン)。少しでも洋楽のHIPHOPに馴染みのある人が一度は聴いたことのあるタグ(冒頭に流れるトラックメーカーの印のようなもの)が視聴した瞬間から耳に刺さる。このEPを作成した彼らの意図かはわからないが、世間に対しての1つのアンサーであるように思う。YouTubeやSNS上では日夜「あの曲のトラックのパクリではないか?」といった趣旨の揚げ足取りが続いている。似ていると思ってしまったのは仕方ないし、同じ音楽ジャンルの線路上にいるなら、完成品が既存作と似てきてしまうのも仕方ない。サンプリング文化が強く根付いている以上、きっちり許可を取り、そうクレジットするのが正攻法かのように思うが、表現の世界におけるパクリかそうでないかの議論にはキリがないのも事実だ。

その中でBAD HOPは正真正銘現行の本場・HIPHIOPシーンを牽引する製作陣からトラックを提供してもらうことで、自分たちがラッパーとして本物と向き合っているということを示した。今作に寄せてYZERRはこう語る。

向こうに行って一番くらったのが、“包み隠さなくてでいいんだな“ということ。BAD HOPがこのプロジェクトを実現させる、そしてこれだけのプロデューサーたちが応援してくれるってことは、“(BAD HOPとして)何をやってもOKなんだ。これからも、やりたいことを全部やって、全員でぶち壊してやるわ”という気持ちにさせてくれたんです。そして、これからのモチベーションにも繋がったんです。

—「Rolling Stone Japan」『BAD HOP、米LAで制作したEPを発表「ずっと探していた入り口のドアがやっと見えた」』より—

Apple Music上では10分に渡る今作の制作過程を見ることもできる。多くの期待を背負った彼らがあらゆる壁を”ぶち壊して”いく姿を、これからも追っていくこととしよう。