【21Questions】「パンクってめんどくさいんですよね」NOT WONK 加藤修平に聞いた21の質問。

今業界大注目の苫小牧出身の3人組パンクバンド「NOT WONK」。そのフロントマンを務める加藤修平さんに21個の質問。
2010年に結成されるやいなや、「苫小牧にやばい奴らがいる」と音楽業界では噂になっていたが、2019年発売の3rdアルバム「Down the valley」でその噂を決定的なものとし、現在ライブに引っ張りだこ。
UKパンク・バンドやUSインディなどの音楽に影響を受けた、パンク、メロコア、エモ、グランジなどのエッセンスが詰まった唯一無二の音楽は、いつどこを何度切り取っても新鮮さを感じ、聞いた人は皆一瞬にして虜になる。

「パンクってめんどくさいんですよね」「コンビニコーヒーのストローの小さいゴミを毎回拾うなどルールを決める」など独自のパンク論を語ってくれた。
常に最高のパンクを追い求め続けている、加藤さんのストイックさに迫った。

Q1:お名前を教えてください。

加藤修平です。

Q2:年齢を教えてください。

24歳です。

Q3:普段何されていますか?

普段はNOT WONKというバンドで音楽をやってます。生活中で音楽の分量が増える前は子供の支援の仕事をやってました。今でもパートタイムでそれは続けてますね、1日の中で数時間くらいやってます。

Q4:音楽に興味を持ったきっかけは?

一番初めにこの曲いいなみたいで買ったのが、ドラマの主題歌だった東京スカパラダイスオーケストラの「銀河と迷路」のCDだったんです。
僕が小学生の時高校生だった一番上の兄貴がMTVをすごく見てて、それで影響を受けて一緒に、Kanye WestとかHip-HopのCD買ったりとかしてましたね。
でもその時は自分が「音楽好きだ!」みたいなそういう意識があるわけではなく、結構ジャンル問わずCD買ってたんですよね。だからHip-Hopだけじゃなくスピッツとかも並行して聞いてたりしてました。

Q5:どんな中学時代でしたか?

人前に出てなんかするようなタイプではなかったけど、日陰の存在というわけでもなく、すごい普通だったんですよ。友達も少ないわけではないけど、すごい仲良いやつがいっぱいいるってわけでもなくて。まあ八方美人じゃないですけど。広く浅くみたいな。器用にいろいろやってたタイプでした。
小2から中3まで野球もやってたけど全然やりたくなくて、でも毎日練習には行っててみたいな。でも中学の最後でバンド始めるんですけど、そこからは結構変わりましたね。

Q6:今のメンバーに出会ったきっかけは?

一番初め中学の同級生がギターを始めたって言ってて。中3の夏で野球を引退して受験勉強するだけみたいな感じで時間があったので、なんとなく俺も最初ベースを始めたんですよね。
それで高校1年生の時からライブハウスに一人で遊びに行くほどハマっちゃって。
で、なんかのタイミングで自分でもバンドやりたいなと思うようになって、最初はその同級生とNOT WONKを始めて、その後ライブハウスで会った人たちが加わったりと何回もメンバーチェンジを繰り返していました。
それでまた僕以外のメンバーが抜けた時に、呼びかけたら今のメンバー二人が手を挙げてくれて。それが2012年。だからなんだかんだ7〜8年やってますね。僕が高3、二人が高2の時から一緒にずっとやってますね。

Q7:加藤さんの考えるパンクとは?

めんどくさいんですよ、パンクって。“セックスドラッグロックンロール”みたいな言い回しってあるじゃないですか。それを一個一個否定していく感じがパンクだと思ってて。
なんかこうルールみたいなのを自分で決めて守るみたいな。
あとは、考えたらキリがないことをちゃんと考えないといけないけど、どっかで”知らねえよ、細かいことはどうでもいいよ”みたいな、ユーモアで切り返すのもパンクだと思ってて。自分の頭で一人で考えてると、悲観的になるじゃないですか。なのであえて真面目に考えていかない。そういうことなんじゃないのかな?って思いますね。

Q8:「パンク=破壊」という認識の方も多いと思いますが、その認識についてはどう思われますか?

未だになんか、パンク好きハードコア好きな人の中で、実は喧嘩好きとかそういうのを聞くと、ん〜とは思うんですけど。その時代時代で考える物事が変わってるから、パンクっていう意味も変わってると思うんですよ。最初は全てに歯向かって全てを破壊して〜みたいなのだけがパンクだったのかもしれないんですけど、今はそうじゃないかもしれませんね。

Q9:加藤さんがパンクをやる上で決めているルールは?

自分が好きな人がそうだったらいやだなっていうのを、なるべくやらないことですかね。
僕すごい好きな人が、真面目でMCですごいいいこと言ってても、浮気してたら嫌だなとか思うので。
一個ずつちゃんと自分で決めて、サボったり、忘れちゃったりとか、魔がさしたりとか。そういうのをなるべくやめていくっていうのですかね。
例えばこの間思ったんですけど、コンビニでコーヒーとか買ったりするじゃないですか。で、ストローをさすと、ストローのゴミって長い方と小さい方ができるじゃないですか、小さい方とかってその辺に落ちちゃうんですよ。そういうのをちゃんと拾ってゴミ箱に捨てるとか、そういうところなんです。

Q10:20年後のパンクはどうなっていると思いますか?

Green DayのBillie Joeが、「ゴミ箱蹴っ飛ばすのがパンクだったとして、その次のやつがゴミ箱を蹴っ飛ばしてもそれはパンクじゃない」って言ってて。それって今はもう真逆になってるわけじゃないですか。ゴミ箱を蹴るやつからちっちゃいのを拾ってゴミ箱に捨てるやつまで。だから俺の中ではそれくらい変わっていってるって感じですね。もしかしたら20年後にはめちゃくちゃドラッグやってるのがパンクになってるのかもしれないですし、それはわからないですね。

Q11:加藤さんの考える自由とは?

マナーをちゃんとわかった上で、抜け道を探す。その上で自分の好きなようにやるっていうことですかね。
本当に自由にしたかったら人と関わっちゃいけないと思うんですよ、僕的には。囲いを作るっていうか。この間the hatchと札幌で一緒にライブをやった時に、ライブハウスにスタジオが併設されていて、そこの扉を締め切ってみんなで裸で踊ったんですよ。で、それは俺的にはOKなんです。見られたらダメだけど、囲いができてるから。そういうことなのかなって。自分が本当に好きなようにしたいと思ったら人とは関われないなっていう。傾き加減というか、そういう感じなのかなと思います。

Q12:「Down the Valley」はMVの再生回数がどんどん伸びていますが、人気を実感する瞬間は増えてきましたか?

再生回数多いって言っても1億回とかいってないじゃないですか。そんなにすごい人気がでたなって感じはしないですね。
けど、この間新宿を歩いてたらお客さんに話しかけられて、えーーと思って。知ってる人とかっているんだって思ったり。あの二人もこの間物販送るために郵便局いったら、郵便局員の方が知ってくれてたらしくて。ただ、人気っていう物差しがあるとしたら、そういう意味では全然でたって感じはしないですね。

Q13:歌詞を全部英語で歌ってるのはなぜでしょうか?

英語で歌ってるバンドが好きだからですかね。シンプルに。日本語で歌う日本人のバンドの方が好きだったら日本語で歌ってたと思うんですけど。バンドの音楽に対する憧れがすごくあったから。でもそういえばみんなバンド名とか曲名って英語でつけるじゃないですか。その差ってなんなんですか?って思うんですよね。そこは誰も突っ込まないのに、あれ?と思いますね。

Q14:日常をテーマにした楽曲が多いのは?

ファンタジーとか物語っぽいのは歌いたくないんです。楽曲を作る時、こういう風なのを歌っていきたいっていうより、テーマを作ってその中でやってるって感じなので。そのテーマが自分の身の回りの気になることとかだけなので。だからそういう風になってるんでしょうね、自然に。

Q15:どんな方に曲を聞いてもらいたいなど、意識はされていますか?

どんな人にも聞いてもらいたいんですけど、僕とかが作った曲とかを聞いて仕掛けじゃないですけど、僕曲を作る時に「ここはこういう風にしたいな」とかいうことを思って作るんですけど、それが音楽好きな人にバレたらいいなって思ってます。これはきっとこういうことなんだろうな、みたいなのがバレたらすごく嬉しいですね。
こういう雰囲気にしたいなっていうのをまさに掴み取ってくれても嬉しいし、自分が全然意図してなかったようなものを感じてくれても嬉しいんですけど、なんかフィードバックがあったら嬉しいですね。「これってこうなんじゃない?」って言いたくなった人がたまに言ってくれたりすると、嬉しいですね。だからどんな人に聞いてもらいたいとかはあんまりないですね。これを読んだ方はぜひ僕にフィードバック送ってください。

Q16:東京の好きなところは?

東京は季節を感じることができるイベントが丁寧にされているのが好きです。
北海道は色が変わるんで。冬になったら真っ白だし、春になったら雪解けでぐちゃぐちゃで茶色になってるし、まだ草は生えてないけど裸の木があって、夏になったら緑がいっぱいになって。秋になったらどこもかしこも紅葉してて。自分たちが意識してなくても季節が勝手に変わっていく感じがあるんですけど。東京は自分たちでそういうのを作ってるっていうか、気持ちをそういう風に持ってってみたいなのを思うところがあって、そういうのってすごくえらいな〜って思ってます。

Q17:苫小牧の好きなところは?

人がいないところと、暑くならないところと、どこに行っても何者でもないっていれるのが好きでしたね。

Q18:休みの日は何していますか?

でも曲作るのって休みのうちには入らないんですかね?(笑)
曲作って行き詰まって何もしなくていいってなると、地元のライブハウスに遊びに行って、人が演奏してるのを聞いて酒飲んでるか。出かけることが多いですね。
休み、ってなんなんですかね。平日学校行ってた時は、学校がある日は学校で、学校がない日に音楽をやる感じだったんですけど。今は音楽が仕事なので、僕がそう思ってなくてもこれでお金をもらっているし、だから休みって作らない限りできないですね。
「よし曲作るぞ」って期間を決めて仕事をする人もいるけど、僕はその線引きが曖昧だから、ライブしてても仕事してる感じがないですし、だからすごく今「無職」って感じがするんですよ(笑)何もしてないなって思うことが多いですね。

Q19:音楽を仕事にする上で意識していることはありますか?

でも毎日何か決まりがあった方がいいなとは思ってますけど。こっからここまでチャリで移動しなきゃいけないとか、電車に乗ってどっかにいかないといけないとかそういうのがあった方がいい。それがない時にツアー行ったりレコーディングしたりするのが好き。多分。
制限がある方が好きなんですよ。NOT WONKも3人だから。3人でできることって結構限られてるんですけど、でもそれをこうやってやったら3人でも4人くらいの音に聞こえるよ、みたいな。今SADFRANKという名義でソロを作ってるんですけど。ソロをやってると演奏してる人の顔が見えなくて、だからちょっとわかんなくなっちゃうんですよね。ここはこういう風にしかできないって制限があった方が個人的にはやりやすいのかもしれないですね。いろいろそれは何に関してもそうかもしれないですね。

Q20:今後の目標を教えて下さい。

もっといい曲を書きたいっていうのと、もっといいライブをしたい。やっぱライブやってると、いい時と悪い時があるんですよ。演奏も曲も全部一緒なのによく聞こえたり悪く聞こえたりするのってなんなんだろうって。NOT WONKとしてはそこを考えているだけですかね。
こういうのをクリアしてもっといいバンドになっていきたい。自分たちの思ったように。何も考えずに自由にできたらいいなとか。余計なこと考えずにステージに上がれるっていう日が来たら、と思います。

Q21:読者の皆さんにメッセージをお願いします!

NOT WONKはいいバンドだから見て欲しいなあって感じですね笑とにかくいいバンドだから見て欲しいですね。有名になりたいとか、売れたいっていう気持ちはそこそこないんですよ。でももうちょっと普通にもうちょっと聞かれててもいいなって思うんですよ。もうちょっと聞いてください。

Photographer:Kazumi Watanabe
Interview&Text:Kanako Takahashi

【ライブ情報】

NOT WONK presents “Your Name” one man show

12/7(土) 苫小牧ELLCUBE
OPEN / START : To Be Announced
TICKET ¥3,000(+1D)

・チケット購入方法

メールでのオーダー godofnotwonk@gmail.comに「Your Nameチケット購入希望」という件名で、お名前、住所を明記の上ご連絡ください。
複数枚をご希望の方は全員分のお名前を明記ください。
代金の振込先などの情報をお送りします。
その後指定の口座へ入金していただき、ご入金の確認が出来次第郵便でお届けします。個人情報の目的外利用はいたしません。
不明な点があればお気軽に連絡ください。

公式サイト:https://notwonk.jimdo.com/

【NOT WONK】

北海道苫小牧市出身のロック・バンド。メンバーは加藤(g,vo)、フジ(b,cho)、アキム(ds,cho)の94~95年生まれの3名で構成。2010年12月に結成。UKパンク・バンドのメガ・シティー・フォーやUSインディなどの音楽に影響を受けた、パンク、メロコア、エモ、グランジなどのエッセンスをクロスオーヴァーさせた“ティーンエイジ・インディ・パンク”をコンセプトに活動。