【21Questions】「日常の全てが音楽に直結する」xiangyuに聞いた21の質問

今、感度の高いリスナー達を虜にするシンガーソングライターxiangyu(シャンユー)。今年5月にデビューEP『はじめての○○図鑑』をリリースし、”風呂に入らず寝ちまった”や”プーパッポンカリー”など、癖になる歌詞とハウスミュージックで人々の関心を集めている。
誰だって一度は”ふと”感じた事のある題材を彼女が歌うと、みんなが共感し共有したくなる。何気ない日常をエンターテイメントに昇華し、人々のワクワクを未知の領域に押し上げていく彼女の想像力と実行力は、今後も一層パワーアップするに違いない。
10月には「ピアノダンパー激似しめ鯖」を配信リリースした彼女。”なんでそうなってしまうの?!”と思わず笑ってしまう楽曲やアートワーク、彼女のインスピレーションの原点に迫った。

Q1:出身と年齢を教えてください。

出身地は神奈川県横浜市で年齢は25歳です。

Q2:普段は何をされていますか?

本読んでますね。後は、うーん何してるんだろう。あ、バイト3つやってますね。 存在を忘れていました(笑)。

Q3:どういう本を読まれますか?

今は、佐藤正午さんの『月の満ち欠け』。本屋さんで見つけてビビッときたんです。今年はずっと村田沙耶香さんの作品を読んでて、今年のNo.1お気に入り作家さんは村田さんですね。

Q4:1stEP『はじめての◯◯図鑑』はどのような経緯でつけられたのでしょうか?

xiangyuっていうまだこの世に知られていない生き物を知って貰いたいと思い、元々私が好きでよく眺めている図鑑をモチーフに作りました。『◯◯』は、皆さんの想像に委ねようと思って。

Q5:xiangyuさんのインスピレーション源は?

日常の全てが音楽に直結しています。私、沢山の人間が集合して、何かしているの凄く好きなんです(笑)。お爺ちゃんが10人くらいぞろぞろ歩いてるのとかみて急に1人で爆笑することも(笑)。そういう日常に転がっている面白いことを全部メモしたり、写真撮ったり、自分の中にずっと貯めています。それを曲作りのターンに入ったら掘り起こしています。

Q6:最近クスッと笑っちゃったことはありますか?

最近1番面白かったことは、こないだリリースした『ピアノダンパー激似しめ鯖』を作るネタになった”ピアノのダンパーがしめ鯖に似てる”ことかな。もう2019年の中で個人的に1番面白かったです(爆笑)。ピアノの黒い蓋からのぞくダンパーがしめ鯖にしか見えなくて、それを見つけた時の写真を定期的に見返すんですが、いつ見ても「ああ、やっぱり面白い」ってなっちゃいます(笑)。

Q7:”恵比寿にあるクラブ バチカ”ってフレーズも、めちゃくちゃ面白いですよね(笑)。韻を踏む時は音で繋げていますか?それとも日常の面白いもの同士を、意味を含め繋げているのでしょうか?

あの部分は完全に音ですね。あと、最後の”エイサップ 収集 ブラジャー”に関しては、色んな人がその文脈を考察してくれてるんですけど、文脈に大した意味はなく、完全にその時の自分のテンションが良く現れているんです。曲を作る時に、エイサップがブラジャーを収集してる記事を読んでいて、、、(笑)。それが面白くて、「エイサップ収集ブラジャーだ!わぁ!エイサップ収集ブラジャーだ!」ってなりました(笑)。

Q8:音楽に興味を持たれたきっかけは?

自分から1番遠いと思ってたことが音楽で、だからこそやってみたいなって。長年、一緒にやらないかって言ってくれる人がいて、それが自分の中では不思議だった。こんなに苦手としていることを誘ってくる人がいるって、これはどういう事だなんだろうって。でもそこにピンときたというか、「あーやったほうがいいかも」って思うようになりました。

Q9:音楽活動のファーストステップはなんでしたか?

ある日突然、「あ!やっぱ音楽やろう!」って思ったんです。その翌日くらいにマネージャーさんにメールしました。話したいことがありますって送って、直接会って、「やります」って言いました。でも、私的には明日山登り行こうくらいのテンションで決めた記憶があります。
私、色んなことを整理整頓してから1年を終えたいっていう気持ちが毎年あって。連絡したのが多分12月くらいなんです。そういう時期が重なって、来年から新しい自分になりたいって思ったんですよね。じゃあ今の自分を新しく生まれ変わらせるとしたらなんだろうって思った時に、音楽かもしれないなって。

Q10:音楽を始める前、軍手などで服を作っていらっしゃったんですよね。これまでも発信したいという気持ちはずっとあったのでしょうか?

何か発信したいなっていう気持ちはもちろんあったんですけど、テーマや理由を決めて作品を作ることは考えて無かったです。素材を見て、「これでこれを作ったら絶対に良いだろうな、ちょっとやってみよう」みたいな。音楽をやっている今と比べたら、”何かを使って発信したい”みたいなのはちょっと薄かったかも。自己満的な部分が大きかったのかなと思います。

Q11:今も昔も発信する上で大切にしていることはありますか?

共感や理解は出来なくても、そういう意見もあるよねって全ての意見を認めたいと思っています。
自分の意見はもちろん尊重すべきだけど、それと全く違う意見ももちろんあるじゃないですか。だからこそ「自分はこういう考えなんだ」っていうのは絶対に言うべきなんだけど。でも押し付けないようにバランスを常に大切にしています。

-強制するのではなく、許容する?

そう、全員のさまざまな意見を。
私は男とか女とか関係なく、みんなが生き物として各々の特徴を生かして生きて行けたら良いのになって思っています。男は男の役割だから、女は女の役割だからっていう考えもまだまだあって、私はそうは思わないんだけど、そういった意見に対しても真っ向からその意見間違ってるよとは言いたくない。
それがその人の正義なのであれば。
だからこそ自分とは違う意見に対して合ってるとか間違ってるの尺度ではなく、自分はこう思うっていう主張で対話したいと思っています。

Q12:ステージ上で意識していることはありますか?

半年くらい前までは、割と自分の中で順序立ててライブに挑んでたんです。意外だとよく言われますが、私、結構用意したい派なんですよ(笑)。何かをやり始める時、パッて始めてるように見えて、実は自分の中で6割くらいまでなんとなく準備してGOサインを出しています。
でも、Liveの時、準備しすぎて臨んでしまうと面白さが少ないなっていうことに最近気づいて。前後のアーティストさんがどうとか、その人達が何を食べてここへ来たかとか、この後どういうことが待ってるかとか。それによって感じ方も全部違うのに私が事前にアレコレ決めてたら、そりゃマッチしないよなって。それからはお客さんとの対話や、「今日のxiangyuはこんな調子です、みんなは?」って投げかけて、反応を見て「そうくるか、じゃあ私はこういうふうに返そう」みたいな。その時々の空気をちゃんと全身で感じて全員で楽しめるようにコミュニケーションを意識しています。

Q13:xiangyuさんご自身を一言で表すとしたら何でしょうか?

生きていく上で大切にしてるのは、あ、笑わないで欲しいんですけど、、、愛ですね。みんなに対して愛を持って接するだけじゃなく、自分に対しても愛を持って接しているつもりです。そうじゃないとみんなに愛を持って接することが出来ないから。でもそれって自分を表す言葉なのかな?どうなんでしょう?(笑)。

Q14:幼少期はどういうお子さんでしたか?

ずっとふざけてましたね(笑)。おふざけが過ぎる子で、おてんばって言われてました。あと、猪突猛進。「本当に獣みたいな子だね」ってずっと言われてました。ずっと本能のままに生きている気がします。

Q15:それは曲を作る時にも大事な感性の1つですよね。

そうですね。自分で言うのもなんですけど、自分の性格が自分で気に入っています。周りの人を振り回しがちだなって思う時もあるんですけど、この性格に助けられていることがたくさんあります。

Q16:xiangyuさんの行動の原動力となるものはなんですか?

自分自身に飽きないよう常に、自分が楽しい、面白いと思う方向に向かって、それをずっと追っかけてたいです。楽しいとか面白いってものが見つかると、どんどん「やるぞ!」ってエネルギーが溢れて来ます。音楽を始めてからの方が、面白い事や楽しい事を世の中にいっぱい見つけられていますね。そこから更に動く幅が広がって自分が加速していっている気がします。

Q17:xiangyuさんの音楽は”Gqom(ゴム)”色の強いダンスミュージックが印象的ですが、どこから”ゴム”というディープなジャンルを取り入れられたのでしょうか?

今一緒に曲を作っているケンモチさんが、「こういうジャンルがあるよ」って教えてくれたのがきっかけです。Gqom(ゴム)を初めて聴いた時、凄く面白くて、Gqom(ゴム)をベースに曲作りを始めました。

Q18:今は個人的に、どの様な音楽を聴いていますか?

海外の方は Gqomをベースに曲を作っている人が結構いるのでそれを沢山聴いてます。あとは最近出会ったばっかりなんですけど、ロシアのヒップホップとか、スペインとかベトナムとかの音楽。言葉も全然違うので、余計に音も不思議に聴こえますね。

Q19:ディグり方は?

いつもはSNSで、友達がオススメしてる曲からどんどん掘っていったり、好きなアーティストが作ってるプレイリストをひたすら聴いたり。音楽をやってない人でも、この人の聴いてる音楽面白いなっていう友達に定期的に「最近どう?オススメのアーティストいる?」って教えてもらいます。クラブやイベントでShazamすることも多いですね。

Q20:今後音楽を作る上で、題材にしたい日常のときめきはありますか?

ライブでは歌っているんですけど、”家”ですね。今ちょうど家探してて、自分の思ういい物件を歌った『ホーム』という曲があります。例えばユニットバスが良いとか、木造より鉄骨がいいなとか、オートロックが付いてたら尚更良いなってラップで歌ってて(笑)。でも、屋根と塀さえあればどこでもいっかみたいな。
後は、私白い服が好きで、白いTシャツばっかり持ってるんですけど、食べこぼしが凄いんですよ(笑)。食べこぼし凄いけど、やっぱり黒とか濃い色より白選んじゃいがちだよねっていう曲も最近つくりました(笑)!
肘をぶつけたときに、ビリビリビリってくるじゃないですか。それ、ファニーボーンっていうらしくて。それだけを題材に作った曲もあります(笑)

Q21:今後挑戦したい事を教えてください。

私は、人と人が偶然出会って生まれるコミュニティやそこから新しく生まれる価値に凄く興味があって、そんな偶然が、起こりやすいのが音楽の現場だと思っています。
昨年の8月にジャンル関係なく、本当に自分の好きな人やものたちを集めた自主企画イベントを初めて開催したんです。その時々で何が起きるかわからない、ちょっと実験的なイベントだったんですけど、面白い化学反応が結構起きたなと思っていて。なのでこれからもそういう場を作っていきたい。引き続き曲もいっぱい作りたいですね。

Photographer:Fumiko Nakajima
Interview&Text:Ayaka Yoshimura

【NEW RELEASE】

「ピアノダンパー激似しめ鯖」デジタル配信中
発売日:2019年10月25日(金)

https://lnkfi.re/II9bub

また、動画もサンプル動画として公開中。
概要には音楽をダウンロードして自由にUPしてOKと記載されている。

【PROFILE】

2018年9月からライブ活動開始。 日本の女性ソロアーティスト。
読み方はシャンユー。 名前は本名が由来となっている。
2018年10月に初のデジタルシングル「プーパッポンカリー」。2019年5月、初のEP『はじめての○○図鑑』をリリース。
南アフリカの新世代ハウスミュージック、GQOM(ゴム)のエスニックなビートと等身大のリリックをベースにした楽曲で関東を中心に勢力的にライブ活動を行なっている。