【21Questions】「洗練されているけど、歪なものが渦巻いている。そういうものを作りたい」崎山蒼志に聞いた21の質問

現役高校生/シンガーソングライター崎山蒼志。彼の才能と活躍を見ると遠い過去のように感じる、2018年AbemaTV”日村がゆく”出演以降、多方面から賛美を受けた彼は”高校生”ではなく”1人のアーティスト”として確実にその才能をシーンに刻んでいる。
今年10月にリリースした2ndアルバム『並む踊り』では、諭吉佳作/men、君島大空、長谷川白紙とのコラボレーションを果たし、飛ぶことを知った幼鳥が空高く羽ばたいて行くかのように、新しい彼の可能性と表現の幅を見せてくれた。

この21問で彼を、”全て知る”ことが出来るとは自信を持って言えない。具現化する事の出来ない彼の独特な感性や感覚は、詩的なワードや常に変貌を遂げるメロディーに昇華されている。サウンド、間、表情、彼が創出する音楽やステージから、一瞬の煌きを切り取って行きたい。

Q1:幼少期はどの様な子供でしたか?

人生で1番イキってました(笑)。ビジュアルバンドが好きな母の影響が強く、指輪つけて帽子を斜めに被って、ドクロだらけのTシャツを着て。メガネもかけてなかったですし…。自信に満ち満ちていた時代でしたね。

Q2:音楽を本格的に始める前、将来の夢はありましたか?

漫画家になりたいと思っていました。週刊少年ジャンプに載っているような漫画が好きで、自分でも書いてました。

Q3:”音楽に関わらない時間”というのはあるのでしょうか?

ありますあります。YouTubeとか見ますね。音楽関連のも見るんですけど、スピードワゴンの小沢さんのチャンネルをよく見ています。小沢さん、凄く面白いです。

Q4:今ハマってることはありますか?

うーん、YouTubeですかね。やっぱり小沢さんのチャンネルです。音楽も映画も小説もめちゃくちゃ観ていらっしゃるんですよ。最近は小沢さんきっかけで、色々と知ることが出来ています。
あと、映画を観ることにもハマっています。映画館、好きですね。

Q5:高校生活とステージの切り替えは大変ですか?

学校もライブもその日起きて「あ、行かなきゃ」って感じです。ステージは演奏が始まると切り替わるんだと思います。ギター持って歌ってたら、なんとなく体が「あっ始まった」って。

Q6:2018年「日村がゆく」出演から劇的に周囲の環境が変化したと思うのですが、1年程経った今、慣れましたか?

だいぶ慣れたと思います。最初は何が起きてるのか分からなかったです。携帯を閉じていたら普通の日だったんですけど、携帯をみるとSNSやネットを通してどんどん自分が広がっている。ライブに来てくださる方も増えて、急に大きなフェスに出れることもあって。本当に地に足がついて無かったというか。でも最近は地に足がついた感覚はあります。それでも不思議ですね。

Q7:東京に来る機会も増えましたよね。崎山さんとって東京はどの様な街でしょうか?

だんだん東京に来る機会が増えて来て感じるのは、東京って、漠然と”東京”っていうかたまりだと思っていたけど、実際いろんな場所があって、それぞれが全然違う場所だなって。1メートルごとに違うんじゃないかっていうくらい、すごく多種多様な気がします。

Q8:現在「並む踊りたち」のツアー中ですが、路上ライブをされていた初期からステージでの変化は感じますか?

路上ライブの時は、半即興みたいにアウトロやイントロを考えてない状態でやったりもしていました。流れるように、感覚で演奏していたんです。今は見て下さる方も沢山いる中で、感覚だけじゃなく、ちゃんと作った曲をやれていますね。演奏もコツを掴んで来たというか。今の方が安定したものをお送りできているのかなと。

Q9:ステージで意識していることは?

観客のみなさんや会場全体を見るようにしています。目をつぶってしまわないように。

Q10:皆さんの反応も見ることも?

見たりします。たまに”泣いているんじゃないか?”って方もいて、歌っている自分も貰い泣きしそうになっちゃいます。「あぁすいません」って(笑)。

Q11:ご自身が思う”崎山蒼志”の強みは?

ギターは音楽を本格的に始める前から、楽しくてやってたんですけど。色々な人が褒めて下さる事もあって自信に繋がりました。ギターはやっぱり強みかなと思います。

Q12:これまで400曲近く曲を作られていますが、もう一度歌いたい曲や音源にしたい曲はありますか?

「Heaven」という曲ですかね。「五月雨」でAbemaTVに出てから、自分が11歳くらいの時に色々な曲を座って演奏している映像の再生数が上がって行ってたんです。どの曲も全体的には伸びていたんですけど、「Heaven」の再生回数が特に伸びていて。
正直、最近まで「Heaven」を歌いたくなかったんです。でも、多くの人が見てくれて、反響もあって。今俯瞰してみて、もう一度音源にして歌ってみたいなと思いました。

Q13:差し支えなければ、歌いたくなかった理由を教えてください。

僕自身まだ幼い所があって、「Heaven」を歌うとそこを顕著に感じてしまっていたんです。でも今はそうじゃないのかなと思えて来たり。たくさんの人がYouTubeで見てくれているからこそ、この曲には何かあるんじゃないかなと、今は思えますね。

Q14:以前、「曲に合わせて自分の感情をのせる」と仰っていましたが、日常的に感情を言葉にすることはありますか?

あまり無いかな。やっぱり、歌詞がまずそこにあるというか。曲を作る時も、歌詞を書いてメロディー、そして感情という流れが多いです。でも感情的に書くこともあります。同じ曲でもここのフレーズは感情的で、ここのフレーズは風景から得たとかもあります。
ニュースを見て、「何でこんなこと起きちゃったんだろう」っていう怒りや悲しみから感情的になる事が多いですね。そういう時は歌詞ではなく、感情が先行します。

Q15:1番感情的になった曲はありますか?

前作で言うと「塔と海」は、そういう社会への思いを書いた面もありますね。小説の風景と、自分の怒りや悲しみ、戸惑いが両方入っています。「五月雨」も感情的な側面が多いです。
でも、だんだん作り方が風景や感覚的になっているというか。初めは不平不満が出発点だったんですけど、最近はより詩的なものを作りたいのかな。

Q16:君島大空さん、諭吉佳作/menさん、長谷川白紙さん、お三方と今回のアルバム『並む踊り』ではコラボされていて、3曲ともそれぞれ違う作り方ですよね。それぞれ合わせる感情や意識の違いはありましたか?

『潜水』は君島さんがアレンジしてくださる上で、”どーーーん”と素晴らしい曲にしていただけました。諭吉さんとは、データや歌詞を投げ合って作ったのでより新しい経験ができたなって。お三方と流れるように進めて行けたというか。

-諭吉さんとは散文を書かれたんですよね。

散文もじゃんけんで勝った方が何も考えないで書いて、負けた方がそれを形にしていくっていうのだったんです。全てに置いて摩訶不思議な体験でしたね。
お三方本当にそれぞれ違う色があって、すごく影響を受けました。それぞれにプロデュースしてもらったというか、だからこそ影響を受けて溶け合えたんだと思います。

Q17:長谷川さんに関しては、曲が出来てから詩を書かれたと。曲の第一印象は覚えていますか?

初めて聴いた時は「わー!長谷川白紙だー!」ってなっていました(笑)。デモにはサックスのメロディーが入っていて、そこに合わせて歌いながら歌詞を書きました。いい意味で何も考えない、曲に揺蕩うように歌詞を書けました。

小笠原鳥類さんという現代詩人の方がいらっしゃるんですけど、僕も長谷川さんもその方が好きで、そういう好きな所も一緒だからこそ、溶け合うように曲を作ることができたのかもしれないです。君島さんからも吉増剛造さんの詩集を貸して頂いて、音楽だけじゃなく文学的なところでも繋がれて嬉しかったです。

Q18:直接言えないけど…今だから言えるお三方に伝えたいことはありますか?

結構直接、かなり伝えていて。感謝もかなり伝えていますね、本当にありがたくて。やっぱり皆さん超魅力的で、「愛してる」とも伝えました(笑)。
佇まいがお三方は本当に素晴らしくて、そこはちょっと恥ずかしくて言えなかったです。姿がめちゃくちゃかっこいい。いやぁ〜、かっこいいです。

Q19:「何処かにこもってアルバムを作りたい」と以前Twitterで呟いていらっしゃいましたが、崎山さんが思う、曲作りにおいてベストな環境は?

日常生活で「フっ」て出来ちゃうのが1番良いです。アレンジは考えて追求した方が良いですけど、曲は「フっ」て出来た方が良いものになることが多いですね。

でも、制作環境においては何処かにこもってみたいです。今は1日でババっと作ることが多いので、長期間そこにいて、じっくり作ってみたいですね。そこで作ったものをアルバムにしたいなって。こもるなら自然がいいですね、山がある所とか。海か山だったら山の方が好きなんです。

Q20:今後挑戦したい事を教えてください。

自分の弾き語りの曲を洗練させて行きたいです。普段、歌詞も感覚的にやっちゃうんです。脳を通ってないというか、「えい」って感じで(笑)。それをもっと意識的にまとめて、完成度が高い曲を作りたいですね。

Q21:完成度が高いだけでは生み出せない、”歪み”も崎山さんの魅力かなと思うのですが、如何でしょうか?

そうですね。そこのバランスが難しいですよね。今よりもっと聴き易く、変なものを作りたいです。多くの人が「ああいい曲だな」って思うけれど、凄く歪なものが渦巻いている。そういうものを作りたいです。

Photographer:Kotetsu Nakazato
Interview&Text:Ayaka Yoshimura

【ライブ情報】

崎山蒼志 TOUR 2019「並む踊りたち」 

12月21日(土)@仙台HooK

12月22日(日)@札幌 KRAPS HALL ※SOLD OUT

「メッチャドスエダモンデ ~2020 新春~」

日時:1月19日(日)
会場:梅田Shangri-La

<出演>竹内アンナ / 坂口有望 / 崎山蒼志

※チケット一般発売中

「人間旅行」

日時:2月7日(金)
会場:渋谷WWW

<出演>SASUKE / KEEPON / 崎山蒼志

※チケットオフィシャルHP先行受付中(12月29日〆)

「J-WAVE TOKYO GUITAR JAMBOREE 2020 SPECIAL supported by azabu tailor」

日時:3月7日(土)
会場:両国国技館

<出演>森山直太朗、スガ シカオ、田島貴男(ORIGINAL LOVE)、橋本絵莉子、崎山蒼志、and more!

「崎山蒼志 2020 LIVE とおとうみの国」

日時:5月9日(土)
会場:浜北文化センター 大ホール

※チケットモバイル先行受付中(1月5日〆)

各詳細▽

https://sakiyamasoushi.com/live/

【プロフィール】

崎山蒼志(さきやま そうし)

2002年生まれ静岡県浜松市在住。
母親が聞いていたバンドの影響もあり、4歳でギターを弾き、小6で作曲を始める。
2018年5月9日にAbemaTV「日村がゆく」の高校生フォークソングGPに出演。
独自の世界観が広がる歌詞と楽曲、また当時15歳とは思えないギタープレイでまたたく間にSNSで話題になる。

2018年7月18日に「夏至」と「五月雨」を急きょ配信リリース。
その2ヶ月後に新曲「神経」の追加配信、また前述3曲を収録したCDシングルをライヴ会場、オンラインストアにて販売。
12月5日にはファースト・アルバム『いつかみた国』をリリース、合わせて地元浜松からスタートする全国5公演の単独ツアーも発表し、即日全公演完売となった。
2019年3月15日にはフジテレビ連続ドラマ『平成物語』の主題歌「泡みたく輝いて」と明治「R-1」CM楽曲「烈走」を配信リリース。
5月6日に自身初となるホール公演「とおとうみの国」を浜松市浜北文化センター大ホールで大成功させた。10月30日にセカンドアルバム『並む踊り』をリリース。
ある朝、起きたらtwitterのフォロワー数が5,000人以上増えていて、スマホの故障を疑った普通の高校2年生。

公式サイト:https://sakiyamasoushi.com/