12/21開催 中学生に向けた新イベント『SUNABA』発案者 starRo氏にインタビュー。これからの日本と子供達に必要な音楽の在り方。

12月21日(土)、渋谷EDGE OFにて中学生の為の音楽イベント『SUNABA』が”入場無料”&中学生のみ”16歳以上入場禁止”で開催される。
クラブやライブハウスで踊って遊ぶカルチャーがまだ浸透していないZ世代。世代に匹敵する中学生がより自由に、より気軽に音楽と触れ合える場を提案する今回のイベント。出演者には現役女子高生シンガーのKAHOHやSASUKE、DJのLeBronやkaito,haruto兄弟が音楽プロデューサーstarRo氏によって選出された。

イベント詳細:http://35.245.19.26/archives/20797

今回、F-MAGAZINEは本イベント『SUNABA』の仕掛け人であるstarRo氏にインタビューを遂行。”16歳以上入場禁止”や”中学生対象の無料イベント”彼が準備した様々なサプライズへの思惑を、現代の音楽シーンに寄り添ってお話頂いた。Z世代だけではなく、親世代も音楽業界の早耳リスナーも納得する、新しい”音楽シーン”の幕開けを共に創造して欲しい。

-今回のイベント”SUNABA”を企画されたきっかけは何でしょうか?

僕は今まで13年間アメリカにいて、他にも色んな国に住んで、特に一般人の生活の中にある音楽に触れながら生きて来たんです。例えば隣に住んでいるおばあちゃんがサルサ聴いてるとか、近くのメキシカンがマリアチ聴いてるとか。それぞれの生活にそれぞれの音楽があった。
日本に帰ってきて気になったのが、日本人の一般的な生活の中に音楽が無いという事。街を歩くと音楽は流れているけど、受け身な音楽というか。そもそも家で音楽を聴いている人ってもうあまりいないですよね。スマホでゲームやYouTubeが主流なのかな。耳からではなく目からの情報がメインになっているというか。
僕も音楽を仕事にしているので、昨今音楽マーケットが縮小していると言われていて、それはCDからストリーミングに変わったとか色んな背景があるのだけれど、そこに対して文句を言っても仕方ない。自然と生活習慣に入って来ないものを、無理やり音楽人が強制しても楽しく無いでしょう。でも黙ってそれを見過ごしたくも無かった。

-16歳以上を入場禁止にした理由は?

大人を変えようとするよりも子供達に機会を与えて行くことが大切だなと。
個人的に、高校生はもう大人だと思うんです。情報量的にも、思考や思想も含めだんだん意識も固まって、大人と同じような行動パターンをするようになってくる。そう考えると小・中学生の方がまだ社会の枠を知らないのかな。中学生は特に見逃されているのも感じていて、中学生を対象にした音楽イベントにしました。

後は、音楽やアートを教育現場だけに頼ってはいけないなと。教育現場では、昔から音楽はクラシックがベースになってて。グルーウやリズムが音楽の一部として自然に入って無いのも今の日本の現状としてあるんです。なのでリアルな場で子供たちが音楽を求めて集まる事で、その子たちが大人になった時に生活の一部に音楽がある日本になるんじゃないかなと。

-starRoさんが思う、音楽の場で得られるものとは?

耳からだけでは無くて、音楽を体で感じる体験かな。音楽聴いたら体動いちゃうよねっていうのが大事で、日本人のDNAがそこに合ってないわけでは無いんです。意外とDJやっても日本人の方が踊っているパターンもあるんですよ。
カルチャーっていうよりも社会的な枠組のなかで音楽をはめてしまうと、”恥ずかしい”って躊躇してしまう。パーソナルな空間で楽しむって言っても、今一般的に音楽がパーソナルな空間に入り込む余地が無いし。カラオケといった大衆音楽に関しても、話題に入るためという意味合いで聴くというか、本能的に音楽を感じる体験では無いのかなと。

-サブスクやユーチューブで音楽に簡単にアクセス出来る今でも、プライベートに音楽は入り込めないのでしょうか?

ある程度今の状況を改善するきっかけにはなると思います。でも、音楽を聴いている人にとってはサブスクで世界が広がるかもしれないけど、一般的に見ると違う事が多い。社会人になって、3年くらい経ったら音楽を聴かない人も増えてくるんです。
今の大人に変わってくださいっていうのは厳しいから、固定概念が固まらないうちに”音楽って楽しいものだよ”っていうのを若い世代に覚えてもらう事が大切なんです。

-Twitterを見ても、音楽業界の方々からの反応も結構ありましたよね。

みんな危機感があるんですよね。社会的に見て音楽への関心が無くなっていて、その時に”大人を変えていこう”っていうのをよく見かけるんです。そもそもなんで無くなっているのかって考えた時に、もっと人間的な部分に理由があると思うんですよ。今は音楽好きの感覚で何かをやろうとしている人が多い、「なんでお前ら付いて来ねえんだよ」っていう。
最先端のイケてる音楽じゃなくて良いから、純粋に音楽で楽しんで欲しいんです。「こういうのも良くない?」って、ある意味音楽業界にいる人に向けて発信することも大切なのかなと思いますね。

-音楽人としてではなく、3児の親として見てもやはり音楽に触れることは大切なのでしょうか?

絶対大切ですね。音楽療法があるくらいだから、音楽による影響が科学的に証明されているんですよ。そういう意味でも音楽は重要だと思います。
後、今の時代って目からの情報がメインになりすぎちゃっていますよね。僕は、音楽に関わらずビジネスや生き方でも、目に見えないものは重要だと思ってて。目に見えるイメージだけで憧れとして、そこにいきなり行こうとする。そこも今の時代の問題でもありますよね。

-目に見えないものを感じる事で、想像力や自分で自発的に考える力が身につくという。

そうそう。耳からの刺激っていうのも、目に見えないものを感じるっていう1つの手段だと思いますね。

-今回のイベントの理想形はありますか?

まず今回は第一回目なので正直手探りで、とりあえずやることに意義があると思っています。今回来てくれる小・中学生を子供扱いして、大人の価値観を強要しない事は意識しています。でも、例えばSASUKEくんのパフォーマンスをみて、自分もビート始めたいってなった時にどこから始めたらいいのか分からないじゃないですか。なので、Native InstrumentsさんとPioneer DJさんに協力して頂いて、皆んながやりたいと思った時に触れられるように機材も準備しています。最終的には、大人が用意した子供向けのイベントにはしたく無いので、今回だけ。
LINE RECORDSさんとも一緒にイベントを盛り上げているので、LINEの中でコミュニティーが出来て、「どうする?starRoちょっとめんどくさいから自分たちでやろうよ!」っていう風に(笑)、これからは自発的に集まって欲しいですね。

-だから出演者も同世代のアーティストを集めたという。

そうですね。自分たちと同世代で、こういうことやってる人いるんだって影響も受けてほしいです。

-音楽から繋がるコミュニティーもかなり重要なポイントですよね。

僕、毎日のように若いミュージシャンの方からSNSで「曲作ってUPしているんですけど、反応なくて困ってます」ってメッセージを頂くんです。僕がそういう人たちに伝えたいのは、誰だって1人でやってたら広がって行かないという事。
今音楽で食べてる人って、自分が音楽やりたいから仲間見つけて、隣町や他のバンドと組んで、そのコミュニティーから音楽が広がって、そこから誰かが抜きん出て更に広がっていった人達なんです。僕が音楽できているのもそういう繋がりのお陰で。サウンドクラウドで同じ音楽やってる人に声かけて、国が離れてても一緒に曲を作って、そこから広がって行ったんですよ。
今って個人で発信出来るからこそ内向的になっていますよね。そこを打破するためにもコミュニティーは重要だと思います。LINEは若い子もみんな使ってるし、その中でサウンドクラウド的なことができたらなって。LINEで出来たらみんな小・中学生のうちから物怖じせずに何かやろうって思えるし。僕は火種を付けるけど、後はみんなが自発的にやって行ってほしい。そうしたら日本の文化ももっと面白いものになって行くと思います。

【イベント情報】

starRo presents”SUNABA” for Middle Schoolers

日時:2019年12月21日(土)
OPEN:14:00
CLOSE:18:00
会場:EDGE OF 8F
東京都渋谷区神南1-11-3 (渋谷駅ハチ公口から徒歩5分)
入場:16歳以上入場禁止
出演者:KAHOH、SASUKE、LeBron、DJ BROTHERS(kaito,haruto)
運営:LINE RECORDS、F-MAGAZINE

詳細:http://35.245.19.26/archives/20797

【starRo プロフィール】

横浜市出身、ロサンゼルスを拠点に活動する音楽プロ デューサー。ビートシーンを代表するレーベル 「Soulection」に所属し、オリジナル楽曲から、フランク・ オーシャンやリアーナなどのリミックスワーク、アーティ ストへの楽曲提供なども行う。2016年に1stフルアルバム
『Monday』をリリースし、The Silver Lake Chorus
「Heavy Star Movin’」のリミックスがグラミー賞のベス ト・リミックス・レコーディング部門にノミネートされるなど、オルタナティブR&B、フュー チャーソウルなどのシーンを中心に注目を集めている。 日本では、向井太一やテンテンコも所属するレーベル MIYA TERRASSE に所属し、向井太一始 め様々なアーティストに楽曲を提供している。

公式サイト:https://www.toysfactory.co.jp/artist/starro

Twitter:https://twitter.com/starRo75?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor