【21Questions】「僕達はカッコよくないから、逆に面白がってもらえる」BREIMEN 高木祥太に聞いた21の質問。

CharaやTENDREなどでサポートを務める高木祥太を中心とした5人編成バンド・BREIMEN(ブレイメン)が、2/5に初となる全国流通盤アルバム『TITY』をリリースした。先行リリースされた”IWBYL”は初登場ながらTOKIO HOT 100チャートで34位を記録。そこから瞬く間に19位へランクをアップさせている。中毒性と、最新シーンを高い技術で更新していく前衛性を兼ね揃えた楽曲達は、既に感度の高いリスナー達の心を一瞬にして掴んでいる。
BREIMENでベースボーカル&作詞作曲を務める高木祥太は、今のシーンを彩るミュージシャンのサポートや楽曲作成、セッション界でも引っ張りだこ。彼のバックボーンや思考は、本アルバムを聴いた人々も気になっているはず。彼に迫る21問で、これからの音楽シーンに期待と夢を馳せて欲しい。

Q1:音楽に興味を持ったきっかけは?

両親がフラメンコギタリストとフルート奏者で、ずっと家に楽器がある環境ではあったんです。でもずっとサッカーをしていて。高校2年生くらいの時に、そろそろサッカー以外のことやってみたいなって思って。そん時にスケボーやったり、ダンス同好会に1日だけ入ってみたり、そうする中で音楽が1番しっくりきたんです。

Q2:ベースボーカルは珍しいかと、ベースを選ばれたきっかけなどはあったのでしょうか?

うちに赤のベースと黒のギターがあって、僕は赤が好きなのでベースを選びました(笑)。ギターが赤かったら多分ギターをやってましたね(笑)。

Q3:影響を受けた方はいらっしゃいますか?

難しいですね…(笑)。そもそもベースも含め、分かりやすく影響を受けた人があまりいなくて。思想的な面で影響を受けたのは僕の親戚のなおさんです。今は栃木の田舎で家族と自給自足で暮らしているんですよ。いじめでグレて、最終的にチンピラになって、そこから牧師を目指して。で、アコギ持って脱原発を歌いながら、結局音楽じゃ無いってなって今に至る人なんです。
なおさんも、誰に発信する訳でなく、生活というレベルでワンアンドオンリーの存在だから、めっちゃアーティストですし、そういう面でかなり刺激を貰えましたね。

Q4:もし言語化するとしたら、音楽ってどういう存在?

分けて考えたことがないですね…。衣・食・住・音楽というか。
僕の場合は生まれた瞬間からずっと音楽があって。居間に行ったらお母さんが基礎練習してるし、週に一回は親のライブがあるからそれを見に行ってましたし。何ならお腹の中にいる頃からお母さんが演奏してたので、考えたことがなかったんですよ。
音楽を始める前、サッカー部だったんですけど、サッカー部って言ったらマジョリティー社会というか。普通を求められて、違和感を感じることが多かったんです。今は音楽をやってるから、すごく自然になってる感覚ですね。周りに集まる人たちも感覚が合う人が多いですね。

Q5:新体制後、BREIMENに表記を変えられた理由は?

前の体制は漢字表記で、そこでボーカルもドラムもやめて、新しいメンバーが入って、僕がもともと曲を書いてたのもあって何やかんや歌う流れになって。ボーカルが変わる時点で音楽性も変わるのはわかってたんですけど、あえて前のバンドの表記のままで行こうと思ってたんです。

海外のタワー・オブ・パワーってバンドがいるんですけど、そのバンドはボーカルがどんどんどんどん変わっていくのに、名前を変えないんです。サックスの人がリーダーだから、ボーカルが変わっても僕らはタワー・オブ・パワーですって言ってて。そこがかっこいいなってずっと思ってて。

Q6:そこから意識が変わったきっかけは?

いざやってみたら、タワー・オブ・パワーのボーカルが変わった以上に、音楽性が変わって来ちゃって。友達や初めて会った人が検索した時に、前と今でやってる事が全然違うから、ズレが生じちゃうなって。そこでアルバムのタイミングで表記を変えました。

Q7:お話を聞いていると、メンバー編成に対して柔軟に感じます。

このバンドって、ずっとジャズセッションやファンクセッションやってたセッションミュージシャンの友達と歌もののバンドやろうって、スタートしたんです。なので、同級生で始めたのとは違うというか。新しいメンバーが入っても、BREIMENという屋号は残しておきたい気持ちがあったんです。でも、今の体制は前よりもバンドっぽいバンドになってるのかなと思います。

Q8:高木さんから見たBREIMENの強みは?

みんな元々セッションミュージシャンで、個人個人が他のセッションやサポートでアップデートされていくので、常に更新されるプレイは強みです。ずっと良い意味で変わり続けて行けるかなと。アルバムごとにコンセプトや色を変えて、レディオヘッドみたいになれたらいいなって思っています。

Q9:新曲「IWBYL」を発表されて、mvの視聴回数やリスナーの反響も大きかったですよね。どう感じましたか?

今回先行配信して、聴いてくれてる人達の雰囲気を見ていると、それこそ僕の周りのサポートしているTENDREやAAAMYYYの様な、日本の最新のシーンを聴いている人たちが何となく多いのかなと感じています。それでいうと、そこの中でBREIMENはかなり浮いている存在なのかなと思います。

Q10:浮いてる存在というのは?

そもそもみんなマインドがお洒落じゃなくて(笑)。僕もあんまりカッコつけ切るのが出来ないんです。それこそSuchmosとかめっちゃかっこいいと思うんですよ。かっこいいパッケージがちゃんとされているというか…。disってる訳じゃなくて、純粋に。
僕がもしヨンスだったら、どっかでボロが出ると思うんです(笑)。ラジオとかでめっちゃ失言しちゃうとか(笑)。それでいうとかなり僕達はカッコよくないから、逆に面白がってもらえるのかなと。

Q11:高木さんが思う、ご自身の強みは?

そもそも強みって、相対的なものなのかなと思ってて。それでいうと僕はあんまり周りと比べてこなかったんです。矛盾しますがそこが一つの強みかなと思いますね。超楽観的なんです。めっちゃ凄いプレイ見ても凄い作品聴いても、”これ超えられるな”って思えちゃうマインドがあって。音楽やっててくらうことはあっても、マイナス方向に滅入る事も無いですね。

Q12:ボーカルとして本格的に活動を初めて、音楽の聴き方は変わりましたか?

日常的に聴き方が変わった訳では無いんですけど、“歌を聴こう”と思って聴く瞬間が出来ました。あと前より歌詞を聴くようにもなりましたね。
邦楽も、僕的に洋楽聴く感覚に近いんですよ。響きとして捉えがちで。自分で歌うようになってからは、他の人が何を歌ってるのか、この人は何を歌いたくてこのアレンジにしてるんだろうっていうのが気になって、歌詞や歌に意識を向ける様になりました。

Q13:最近印象に残った詩や曲はありますか?

MONO NO AWAREのアルバム、”かけがえのないもの”ですね。ライブで”言葉がなかったら”を聴いて更にくらいましたね。
去年、MONO NO AWAREも撮っている写真家のrenzoくんの写真展があったんですけど、そこで初めて周啓くんに会って、後日飲みに行ったんです。ほぼお互い初対面なのに渋谷で待ち合わせて、渋谷の井の頭線のガードレール沿いの焼き鳥屋さんで、2人とも若干人見知りしつつ話して(笑)。彼もトリッキーな歌詞が好きって言ってて。楽しかったですね…。

周啓くんの歌詞すごいですよね。普遍的な言葉を使って耳馴染みは良いのに、普通じゃないというか。身近な言葉を広げるのが凄いです。このアルバムはもともと曲も良くて聴いてたのですが、歌を始めたからこそより詩が分かって、更に歌詞の強度を感じました。

Q14:AAAMYYYさんやTENDREさん、Charaさんなど様々な方のサポートや楽曲作成に関わられていらっしゃいますが、印象に残った方やくらったシーンはありますか?

Charaさんは本当に凄かったです。基本、ボーカルが前向いて、後ろにベースがいるじゃないですか。なのに、Charaさんはライブ中に目が合った様な感覚になるんです。後ろに目が付いてるくらいめちゃくちゃ音を聞かれているんですよ。
僕の信条として、プレイに関して1番大事なのは、周りの音を聞く事だと思ってて。それでいうと特に歌はのめり込むから、周りの音が1番聞こえにくくなるんです。だからこそ、表に立ってマンパワーのある人で、あそこまでミュージシャンな人いないなって思います。

Q15:アルバム収録曲”IDEN”でAAAMYYYさんとフィーチャリングされていましたが、どの様な経緯があったのでしょうか?

AAAMYYYのバンドでもずっと一緒にやってきて、シンプルにAAAMYYYの声が好きで、いつかコラボしたいって話していたんです。“IDEN”は今回のアルバムで最後に作った曲で。あと一曲欲しいねってなった時に、”あ、AAAMYYYこのタイミングだな”って、なんとなく浮かんだんです。
“IDEN”は神様からの視点みたいな、広い世界観にしたいと思って。AAAMYYYの声って浮世離れしてるから、そこもぴったりですよね。アルバムのタイトルが”TITY”で、そこでラスト一曲が”IDEN”で”アイデン&ティティー”。そこから曲名もAAAMYYも、歌詞もバババっとハマって行きました。

Q16:アルバムのタイトル、”TITY”の由来は?

”アイデン&ティティー”っていうみうらじゅんさんの漫画です。バイブルですね。その漫画もさっき話した親戚に教えてもらって、今も借りパクしてて(笑)。
アルバム出すって決まった時に、親戚の家に行くタイミングがあって、その漫画の話もして。アルバムのタイトルをずっと考えていたんですけど、色んなタイミングが重なって”TITY”にしました。
アイデン&ティティーは、基本的に音楽マンガなんですけど、主人公をIDEN、彼女の存在をTITYとしていて。今回のアルバムはほとんど女の子のことを歌っていて”IDENで”TITYを探す”っていう一節があるんですけど、アルバムを通して僕は結局TITYを探しているんだなって。説明すると恥ずかしいですね(笑)。

Q17:今回のアルバムで高木さんお気に入りの曲は何でしょうか?

IWBLは音楽的に1番ファンクっぽい曲ですね。バンド的にはファンクを更新する気持ちでやっているんですけど、この曲はミクスチャーで新しいものが作れました。
歌詞とかも含めると、最後の2曲、”IDEN”と”By my side”です。”IDEN”は、他がパーソナルな曲が多い中、広い世界観をイメージしているんです。誰の目線でもなく、俯瞰している。アレンジの部分でも広い世界観になっているので、他の曲も相まってそこがより映えますね。“By my side”は、音は広がっているけど、1番パーソナルな曲です。うーん…、1番お気に入りは”By my side”かな。1番赤裸々に歌ってるし、1番リアルな歌詞ですし。
因みに、周啓くんも最後の2曲が好きって言ってくれて、嬉しかったです。

-7曲目の”IDEN”から8曲目”By my side”の流れが面白いですね。

そうですね、”IDEN”でTITYを探したけど、”By my side”で結局あの子だったと。TITYを見つけたけど、過去の話で…。

Q18:2/15からワンマンが始まりますが、見所を教えてください!

僕らはセッションミュージシャンで集まっているので、ライブ構成がかなり柔軟ですね。ライブ中尺変えたり、アレンジ加えたり、コード進行変えたり…。今はセッション出身の僕がボーカルをやってるので、更にそこが自由になりました。本当にそこは楽しんでもらえると思います。

Q19:ステージで重きを置いていることは?

僕らはどんなに大きくなっても、絶対同期を使わないって決めているんです。使ったら円滑なのも分かってるし、否定している訳では無いんですけど。そこを使わないって選択できるのはミュージシャンしかいないので、そこはこだわりたいです。レッチリがもともと好きなので、そういうめっちゃでかい場所で4人の音しか鳴ってないのも好きなんです。
多分、ライブバンドってライブでより映えるカッコイイバンドっていう意味だと思うんですけど、僕らはそれとはまた違う新型ライブバンドだと思います。

Q20:バンドだけでなくセッションでも、数々のステージを経験しているメンバーだからこそ出来るライブですよね。

そうですね。そこはかなり自信ありますね。去年もCharaさん始め、本当に凄い方々に立ち会って来て、総合的に向上していますし、現状そこは自分の強みでもありますね。セッションオーガナイズ力というか。
セッション友達とかとも”セッションイベントがもっと地上に出たらおもしろがられるよね”ってずっと話してます。個人的なセカンド野望としては、そういうセッションイベントをオーバーグラウンドで楽しめる様にして行きたいです。

Q21:今後の挑戦したいことや目標を教えてください!

音楽をやってる理由が、とにかく自分が一緒にしたいと思うミュージシャンや歌手、色んなクリエイターとやりたいことをやりたいっていうのだったんです。今まではバンドがその手段でもあったんですけど、このアルバムを出してから、バンドが今1番やりたい事に変わって来ていて…。アルバムを作るのがめっちゃ楽しかったので、近いうちにまた別のコンセプトのあるアルバムを作りたいです。
後はフェスに出たいです。去年死ぬほどTENDREでフェスに出て、めちゃくちゃ楽しくて…。メンバーに120回くらい”フェス出たい”って言ってましたね(笑)。

【ライブ情報】

『TITY』 RELEASE TOUR

○東京
BREIMEN×DinoJr.×Kroi 〜TOHANMEI TOUR〜
3.7(sat)@ 六本木VARIT.
open:18:00 start:18:30
¥3,000/¥3,500 (別途ドリンク代)
with ヘンショクリュウ

○大阪
BREIMEN×DinoJr.×Kroi 〜TOHANMEI TOUR〜
3.8(sun)@南堀江SOCORE FACTORY
open:18:00 start:18:30
¥3,000/¥3,500 (別途ドリンク代)
with トライコット

○名古屋
BREIMEN×DinoJr.×Kroi 〜TOHANMEI TOUR〜
3.9(mon)@名古屋CLUB UPSET
open:18:30 start:19:00
¥3,000/¥3,500 (別途ドリンク代)
with ペンギンラッシュ

((( ONE MAN 追加公演決定!)))
○東京
TITY RELEASE ONE MAN 〜OKAWARI 〜
4.10(fri)@下北沢GARAGE
open:18:30 start:19:00
¥3,000/未定 (別途ドリンク代)

チケットのご予約は下記URLより
https://breimen.bitfan.id/

【プロフィール】

BREIMEN

これまで”無礼メン”名義で活動してきたが、ヴォーカルが高木に代わり、今回の初となる全国流通盤リリースを機に、BREIMENに名称を変更・新たに始動。今回のアルバム収録曲「IDEN」のゲスト・ヴォーカルにAAAMYYYを迎えるなど、注目のシーンや世代との交わりも深い彼ら。ソウル・ファンクをベースに、名だたるアーティストのサポートを務めてきた各メンバーの高い演奏力と、振り幅の広い音楽性・アレンジを以て、時代を切り開く。

・BREIMEN OFFICIAL WEBSITE
https://breimen.amebaownd.com/

・BREIMEN Twitter
https://twitter.com/BREIMEN_JP