【21Questions】「今回の人生は法王を学ぶ」釈迦坊主に聞いた21の質問

POSTED ON 2020年3月17日 1 MINUTE READ BY Sora Imaizumi

「”釈迦坊主”って情報量多いじゃないですか」、言うまでもない。ラッパーと呼ぶにはおよそ似つかわしくない長髪に整った容姿、ホストとしての経歴などどこを探ってもとめどない情報量で溢れている。まるで一度の人生で幾たびもの輪廻を繰り返しているようだ。しかし、こんな形で歩みを続けた先の悟りがあるとするならば、それは未だ何者も到達できていない世界だ。27歳現在、新作EP『DRAGON』をリリースしたばかりのラッパー・釈迦坊主に問う21の質問。

Q1：まず出身地とご年齢をお願いします。

和歌山県御坊市出身、1992年9月2日生まれの27歳です。

Q2：どこのシャンプーとリンスを使われていますか？

名前覚えられないんですよね。名前覚えてないんですけど、ひまわりのパッケージのやつです。

－それを使ってたらそういう髪質に？

いや使ってたらかどうかは分からないです（笑）。元々かもしれない。

Q3：お好きなファッションのブランドはありますか？

ないんですよね。古着が基本的で。

Q4：最近は肉類を食べないようにしているとお聞きしたのですが、それは何故ですか？

なんかそういう流れきてんなって、自分の中で。例えば巫女とかお坊さんとか精進料理って言って四つ足を禁じてたりとかしてますけど、やめたら本当にそういう声になるのかとか、波動とかスピリチュアルな観点から何か生まれるんじゃないかっていう。

Q5：シェアハウスをされてると思うのですが、皆さん同じような食生活をされているのでしょうか？

なんか俺から始めたわけじゃないんですよね、そもそも。引っ越しした時に挨拶回り行こうって隣の家に洗剤渡しに行ったら、私こういうの使えないんです、天然の物しか使えないですよって言われて。住んでる家の隣人がたまたまヨガとかやってる系のめちゃくちゃナチュラル志向の人だったんですよ。それで挨拶してくうちに仲良くなって、ビートメーカーのStellareyesって奴が隣の家のとこに遊びに行くようになって（笑）。そこであいつが学んでくるんですよ、食とか健康に気を使ってる人は少ないから気を付けた方がいいって。それで隣でこういう話があったっていうのを持ってきてみんなに話すんです。じゃあそういうタイミングが来たってことはそういう導きなのかなって。

－その結果、どういう境地にたどり着けるのかはまだ分からない？

まだわからないですね、楽しみです。

Q6：以前Twitterで、ドラッグについて触れられていたと思うのですが、それに頼らなきゃみたいな時期があったのですか？

ありましたね。シャブ中だったんで。やっぱシャブが切れてる時ってシャブどうにかして手に入れなきゃしか考えられなかったですね。シャブやって脱法ハーブやって眠剤も食べるし何でも食ってたすね、どんなドラッグでも。

－断ち切れたきっかけは？

きっかけはやっぱ親とかじゃないですかね。歌舞伎町って”一人”のやつが多いんですよ。例えば親がいなかったりとか、身近でドラッグでやっててもそれを悲しんでくれる奴がいなければ止めるやつもいない。だからたまたま俺がやめられたのって俺が凄いとかじゃなくて親だったりとか悲しんでくれる人、本気で止めようとしてくれる人が身近に居たから。それがいるかいないかなんですよ。それがドラッグやめれるかやめれないかの重要な部分と言うか、人と人との繋がりみたいなのが俺は結構引き戻るきっかけになりましたね。

Q7：たびたび”お金ない”って仰っていると思うんですけど…、本当ですか？

貯められないんですよ、使いすぎちゃって。みんなと遊んでるだけです。遊んでたらお金なくなるってだけ（笑）。お金って作るもんじゃないですか。作って遊んで作ってって感じです。

Q8：てっきりお金を集めて新しいことしようとか、機材買おうとかお考えなのかと。

あ、そういうのもあります。でも基本8割ぐらい遊び、2割ぐらいはツールとか機材とか。ただ、良い機材だったりとかグレードアップしていく事って大事なんですけど、その違いがわかる状態で機材を買い換えないと、買い換えたところで機材の違いが絶対分からない。俺はまだ全然未熟なんですよね。人間としての技術、ラップのリズムキープであったりとか、トラックのミックスの知識だったりとか今の機材でも磨けることはたくさんあって。まずは自分自身を鍛錬して、機材はゆっくりグレードアップしてこうかなと。まあとりあえず今年はスタジオを作ります。その準備は着々と進めています。

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Q9：昨年インドで”くらった”みたいなことを仰ってたと思うのですが、一体何を見たのでしょうか？

本当みんな自由だった、何にもとらわれてない。とにかくいろんな人たちが自由だなっていうところに一番くらいましたね。私生活に落とし込む感覚はないですけど、もしかしたら無意識のレベルで影響されてるかもしれないですね。例えばインド行ってた時に肉食わなかったですよ。そもそも肉食える場所はなくて、ほとんどベジタリアンなんで。まぁ人生27年生きてきて肉やめたことがなかったし、そういう変化の現れはあるかもしれないですね。影響してるかもしれないし、してないかもしれないですね。それはもう自分じゃわからないです。

Q10：音楽のスタイルから宗教色を感じるのですが、興味があったり、入信してたり、宗教への関わりがあったのでしょうか？

いや全くないんですよね。僕は無宗教で仏教でもないし。釈迦坊主って名前なんですけど。宗教とか神とかって言ってるのが面白いなって感覚です。なんで本物の人には怒られそうなやつですね（笑）。だけど例えばインドに行くと色んなとこに神様いるんですよ。歩いてると木になんか縄みたいなものが縛ってあって、それをなんか拝んでる人とかも居て。木も神なんだみたいな。しかもみんな歩きながら拝んでは急ぎ足でそのまま通り過ぎる。信仰とかないけど好きな神様はたくさんいるよっていう人もいた。そんな感じでいいんだみたいな（笑）。ラフに神と繋がってる感じにフィールしましたね。

Q11：最初に”釈迦坊主”で行こうと決められた時は、”面白い”という感覚でしたか？

そうですね。面白いっていうのと、たまたまその時なんかサイケ的なものにはまってて。サイケって言ったら釈迦だろ。でも釈迦って何かおこがましいなと思って、坊主つけとけばいいだろって（笑）。バランスとって”釈迦坊主”みたいな、めっちゃノリすね。

Q12：表現の発信の場が音楽だった理由は？

あんまルーツ的なものは無いんですよね。ただ自分の父親が若い頃にめっちゃモヒカンで、パンクバンドみたいなことやってて。で俺がすごい小さい頃に父親にギターを教えてもらったりとかして。たまたま中学の時になんかまた何かギターが学校で流行ったかなんかで、俺ギター持ってるし、なんなら小学校の時ひいてたけど、みたいにちょっと思って。その時に始めたらはまり始めたって感じですね。でなんか弾き語りして、曲とか書きますわな（笑）。リリック書いてCコードとかやってましたね、弾き語りしてました。

Q13：中学生で作詞作曲をされていたのでしょうか？

作詞作曲してましたね。曲名が「錆びたギター」（笑）。あと「マンホール」って曲ありましたね。それなんかちょっと深かったですね。”マンホールにハマったら最後だ”みたいな。中学生でなにはまっとんねん、はまったことまだないだろみたいな（笑）。

－「Black Hole」に通じるものを感じますね。

始まってた可能性ありますね（笑）。なんで結構きっかけもラフですね。表現しようとかではないです。最初そういうバンドとか見て、ギター弾きながら歌うのかっこいいなとか、モテてェなとか。そういうラフなところからです。

Q14：当時は、割と詞にメッセージ性を込めていらっしゃいましたよね？

そうですね。メッセージを込めなきゃっていうことにとらわれてたっていうとこはありましたね。

－でも今はわりとフローの方が大事っていう。

そうですね、リリックはただの目盛りなんですよ、その時々の。”俺あの時こんなこと言ってたのに今全然違うじゃん”みたいな。なんか思想とか考えとかって日々変わっちゃったりするんで。

Q15：帰属意識みたいなものがすごい苦手だったと以前仰ってたと思います。でも今は同居したり〈TOKIO SHAMAN〉を開催されたりと、その辺りの意識の変化は何があったんですか？

帰属意識かぁ…。あのタロットの話ししていいですか？

－どうぞ（笑）。

タロットで説明しますね。自分のゾディアックカードは”隠者”で”隠者”っていうのは独りで黙々と探求する老人、暗がりをランプで照らしながら歩いてるみたいな。”隠者”とか格好つけてましたけど普通に陰キャですよね。でも、パーソナリティカードとソウルカードは法王なんです。隠者のくせに今回の人生は法王を学ぶらしいんです。最初はイベントの主催なんて死んでもやりたくなかったけど、最近は友達とイベントやるって楽しいなってなってきましたね。不思議です。

Q16：今は色んなイベントに呼ばれても楽しめるという感じですか？

楽しいですね。今はなんか寛容になったから楽しいです、時代が。前は結構キモいなって見られて盛り上がるとかなかったんですよ。俺が呼ばれてもなんかキモいなって言うかあんなのラップじゃねぇ、ラッパーじゃねぇみたいなのずっと言われてきて。

Q17：それが割と受け入れられてきたと…？

そうですね。皆さんのお陰様ですね。僕がとかじゃないです。皆さんの意識や感受性が寛容だから釈迦坊主を楽しめるんだと思うんです。

Q18：今年で9年目のキャリアになりますが、変化は感じますか？

シーンはだいぶ変わったと思います。何もかも違うんじゃないかっていうぐらい。バトルとかも流行ってなかったし。俺が始めた頃は高校生ラップ選手権もなかった。だけどなんか増えてって、トラップも生まれたりして。まずラッパーのファッションが変わったじゃないですか。歌っている内容も変わりました。Drake（ドレイク）の登場だったり、Lil Peep（リル・ピープ）みたいなスタイルでもイケてる時代に。色んな正解があって今の方が楽しいです。

Q19：新作EP『DRAGON』はどの様な出来ですか？

3曲入りで、なんかシングルでもいいやと思ってたんですけどシングルにちょっと添えたって感じです。出来たきっかけは去年結構ライブしまくってて、それが結構しんどくて。元々1ヶ月1本しかやらないみたいな自分の中で決まりみたいになってたんですけど、今は月6本とか7本とかやっててそれがもうしんどくて。で、今年の1月もう抜いたんですよ。そしたらそれはそれで”やべー暇だ”ってなって（笑）。”ライブないってこんな暇なんだな”みたいな。で作ってたら3曲できちゃったみたいな感じです。

Q20：次のアルバムのプランはありますか？

アルバムは今年中に出せればいいかな。ただまぁ今まで自分があんまりこだわってなかった部分をこだわり始めようかなって思ってます。アルバムを出すにあたってイベントだったりとかミュージックビデオとかもそうだし色んな活動を始めると思います。あと色んな人とのコラボレーションがあると思います。一見人生の出会いとか出来事とかってバラバラに見えるんですけど、漫画のように全部伏線なんすよ。一つの物事に収束してくなって思ってて。その収束地点が見えた時にアルバムって出来るのかなって思ってます、あくまで曲はただの目盛りなんで。リリースのタイミングは全て自分の意識の範疇にありません。