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ストリートウェアはこの先10年のうちに廃れる。

上記はVirgil Abloh(ヴァージル・アブロー)がインタビューに答える形で生まれた発言であり、昨年大きな波紋を呼んだ。Virgilとしては”サステイナブル”が叫ばれる昨今のファッション業界や、様々な要素を鑑みた上での、祈りも込めた発言であるように思う。この発言一つを持ち出して罵倒するのはお門違いな気もするが、ストリートファッションの可能性を信じて、そこに心身ともに捧げてきた方々からすると怒れるのもうなづける。

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しかし、この手の危機意識はすでに潜在していたと思われ、Virgil Abloh自身が手がけるOff-White(オフ・ホワイト)のプロダクトはいつからか、デザインのベクトルが変わってきているのは明らかだ。同じくラグジュアリーストリートブームを牽引してきたVETEMENTS(ヴェトモン)のデザイナー・Demna Gvasalia(デムナ・ヴァザリア)は、自身のブランドからのデザイナー撤退を宣言している。

そういった背景を抜きにしても、ストリートファッションが最も元気のあった数年前から比べると、明らかにその規模が縮小傾向にあることはファッションの消費者である我々の肌感覚でもわかることだ。

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ファッション業界の常

「盛者必衰」。ファッションの流行はよく一周すると言われている。その周期は定期的なものではないが、MA-1しかりモードファッションしかり、様々なスタイルが幾たびもの波を経験するのだ。

ここで大切なこととして、流行を鑑みることはファッションがビジネスである以上、あって然るべきことだが、ブランドの根幹・独自のスタイルを決して崩してはいけないということである。MA-1の何度目かのブームが去ったからと言ってALPHA INDUSTRIES(アルファインダストリーズ)の店舗が減っているだろうか。モードファッションがなかなか流行らないからと言って、果たしてRick Owens(リック・オウエンス)信者は改宗しただろうか。答えはすべてNOである。

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ブランドのデザイナーが見せたその美しい世界観に、ファンというものは末長く浸っていたいものだ。その遠景が果てしなければ尚のこと。そしてその最低条件に、ファンが信じた景色が決してブレないことが挙げられる。デザインの方針が変わるにしても、その景色は地続きでなければファンは自然と離れていく。

アジアンストリートファッションの真価が問われる時

ここまでストリートファッションの市場規模が徐々に縮小していることを述べてきた。Virgil Ablohの予言が正しいのであれば10年後には消え去るということになる。

しかし、ファッション業界に常に起こっている波についても述べた。その理論に照らしあわせると、10年後に廃れて以降、再び勃興するということでもある。あれだけストリートファッションが高い波としてファッション業界を覆ったことを我々は知っている。それが10年かけて完全に消えた後、さらなる高い波として再び我々の眼前に現れると想像することは容易であろう。

アジアンストリートファッションはそのどれもが若い、中にはローンチしてから数年しか経っていないようなブランドも数多くある。しかしこれらのブランドほとんどがラグジュアリーストリートブームを経験していることとなる。その中でブランドの色やスタイルはすでに確立された。あとはその根幹を維持し、流行を鑑みた売れる意識も持ちつつ、もう一度波が最高地点を更新する日を待つのみだ。

その時アジアンストリートファッションというものが真の意味で確立されるだろう。

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