【インタビュー】中嶋イッキュウがピルをコンセプトに、キーホルダーを発表「ファッションのスパイスとして使って欲しい」

Ikkyu(イッキュウ)によるオリジナルブランド「susu by ikkyu nakajima(スース バイ イッキュウ ナカジマ)」が、韓国のアクセサリーブランド「GRAYNOISE(グレーノイズ)」とのコラボレーションアイテムを発売。

コラボレーションでは避妊薬のピルシートをコンセプトにIkkyu自身がキーホルダーをデザイン。使用率4.0%未満だと言われる日本女性へ向け、主張を込めたアイテムに仕上げている。

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今回、60 MAGAZINEはピルキーホルダーをデザインした、Ikkyu氏に独占インタビューを執行。フォトグラファー元氏とタッグを組んだルックやムービーから、日本に蔓延るピルへの抵抗までざっくばらんにお話頂いた。ファッションや日常のスパイスとして、このキーホルダーとあなたの、オリジナルの居場所を見つけて欲しい。

ピルキーホルダーを選ばれたきっかけは?

色んなブランドがコンドームのキーホルダーを作ってたりして、そういう尖ったものをカジュアルに作りたいなって思ってたんです。女版だとピルかなっていう単純な始まりだったんですけど、実際作ってみると実験的だなって思えるものがどんどん出てきて、すごく面白かったですね。

このピルキーホルダーのポイントはどこでしょうか?

デザインは本当にリアルなピルを再現しましたね。本物のピルと一緒で、3週間はピルで、残りの1週間は偽薬があるっていうのを見せたかったんです。偽薬のカラーはSUSUのイメージカラーと同じ薄紫にしました。
ピルっていうとまだまだ日本では重たいというか、これを作ることに重い理由があるんじゃないかって思われるのかな。それだけでなく、ファッションとしてのギャグ的な要素も感じて欲しいですね。

どの様なシーンで使って欲しいですか?

実験的ではあるので、どういうシーンで使ったらかっこいんだろうっていうのが楽しみです。既に、知り合いにあげたりもしたんですけど、鍵につけてくれたり、スーツケースにつけてくれたりしてくれています。撮影の時はスクールバックに付けたので、付ける場所で見え方が変わるんやなって、改めて思いましたね。スクールバックにつけた時はいい意味で、凄く意味深に見えました(笑)。

撮影を学校で行ったのは、若い子たちにもカジュアルにピルを取り入れて欲しいという思いが?

それもあるんですけど、単純に違和感が欲しかったというのもありますね。服装や環境にマッチさせるより、浮いてる存在に見せたかったんです。男の子にもいやらしい感じではなくて、ファッションのスパイスとして使って欲しいです。

因みに、学校での撮影はどうでしたか?

学校の中に入ったのが卒業ぶりだったので、学校に行っただけでめちゃくちゃテンション上がりました。こないだ友達の結婚式の余興のムービーを取りに行ったんですけど、学校の中には入れなかったので、今回はエモーショナルをめちゃくちゃ感じましたね。自分の母校じゃなくても共通の雰囲気があって、学校って当たり前だと思ってたけど、特別なんだなって。

学校から六本木のシチュエーションの変化はどの様な思惑で?

モデルのりっちゃんが、学生から六本木の街並みへ変身する様を撮りたいって思ってたんです。そしたら、自分も気づいたら変身していました(笑)。当日、”イッキュウも着替えるよ”って、気づいたら撮影していましたね(笑)。

元さんがクリエイティブを担当されたと。もともと交流はあられたのでしょうか?

そうですね。もともとTENDOUJIとtricotが対バンした時に、勝手に(笑)私たちのステージも撮ってくれてて、その写真がめっちゃ素敵で…。そこから現場で会うたびに撮ってくれるっていう。今回はちゃんと仕事で一緒にしたいなって思ったのと、個人的に元くんの写真と学校が凄いマッチしそうだなって思って、元くんにお願いしました。

普段、バンドグッズやご自身のブランド”SUSU”などでデザインをされていますが、ご自身でデザインを始めたきっかけは?

tricotを結成した時から自分でグッズを作っていました。それが当たり前みたいな感じで5年くらいやってたんですけど、バンドのグッズだと予算が限られていて、制限が結構あったんです。アイデアを出して、そこから間引かれていくものがあったので。自分でお金を出して、リスク背負って、普段出来ないことや、好きなことをやろうって思って SUSUを始めました。

普段デザインで意識していることや、インスピレーションのためにチェックしているものはありますか?

自分が欲しいものを作ることに1番重きを置いていますね。服屋さんとかいっても、多分20代半ばくらいから欲しいものがなくなっちゃったんです。このヒラヒラが付いてなかったらめっちゃ欲し良いんやけど…、みたいなのが凄い増えて(笑)。サイズとかも自分が背が高かったりするので、どんなサイズの人でも似合うものにしたくて、ユニセックスのものを作っています。

1番最初に作ったグッズは何でしたか?

リングですね。今日もつけています。声紋リングっていうんですけど、自分の声の声紋をそのまま形にして、シルバーで作っています。私の家族が実家で宝石屋をやっているので、私の兄がこの指輪を1つ1つ手作りで作ってるんです。今もこの指輪が1番人気ですね。

今回は韓国のアクセサリーブランド、グレーノイズさんとコラボされましたが、グレーノイズさんを選ばれた理由は何でしたか?

シルバーで作りたいっていう思いは最初にあったんです。そこでSIXTY PERCENTのななえさんに相談して見つけてくれたのが、ロット数やデザインを自由に出来るグレーノイズさんだったんです。あと、ピルなので、それを面白がってくれるブランドさんが良くって。ブランドイメージにも影響するデザインなので…。もちろん個人的にもグレーノイズのアクセサリーかっこいいなって。

日本ではピルへの抵抗がまだ少し残っていますよね。その流れをどの様に捉えていらっしゃいますか?

使う人は自分の周りにも増えてはいると思うんですけど、まだまだ後ろめたさがあるというか…。避妊具としか思ってない人も多いのかな。でもPMSに悩まされている人は楽になりますし、自分みたいなバンドでツアー回ったりする人間からすると、決まった日に生理がくるのは凄くありがたいんです。それに、毎日同じ時間に薬を飲むことで、1つのことが習慣化できるので、いろんなことが整って行く感覚もありますよね。1つ軸ができるような感じで、楽しかったですね。

tricotさんは世の中の出来事をキャッチして音楽に昇華されていますが、今回も含め、普段からどのように流れをキャッチアップされているのでしょうか?

意識的に情報収拾しようっていうのは無いんですけど、私はSNSが大好きなので、ツイッターインスタとか、YouTubeのコメントとかも全部見ていますね。

インスタの”質問ありますか?”もその一環というか…。

そうですね。インスタがまだ主流じゃない時は、ツイッターでリプライもしていました。最近はインスタの質問やインスタライブでコミュニケーションを取ることが多いですね。

“質問ありますか?”は本にもなりましたよね、印象に残った質問はありますか?

実質匿名だから、友達にも家族にも言えない、直接関わりのない人に聞きたいことがみんなあるんだなって思います。たまに占いに行くんですけど、隣の部屋の人がずっと人生相談してたりとか、それも占いじゃないやんみたいな、とにかく誰かに話を聞いて欲しいことがみんなあるんだなって。
重たい質問も結構あって、不倫してますとか、会社辞めたいですとか。みんな答えが無くても、吐き出したいものがあるのも面白いですよね。アメリカとかは、カウンセリングしたり自分の悩みとかを話す場がたくさんあるけど、日本だと精神病じゃないと行かない。ハードルが高いから、そういうのがもっと身近にあったらいいのかなって。

個人の質問だけど、みんなが知りたかった質問や回答もあるじゃないですか。そこも面白いですよね。

そうですね。質問の回答を見た人も、こんなに悩んでる人いるんだって安心出来ますよね。色んな人がいるんだっていう、一種の諦めに落とし込めたらいいのかなって。

最後に、ピルキーホルダーを手に取る皆さんに伝えたいことはありますか?

結構長い期間このキーホルダーに費やしたので、その想いがみんなに伝わって、広がったら面白いですね。SIXTY PERCENTのななえさんと、制作について話し始めたのが去年の夏とか。その前に自分でやろうって思ったのは1年前くらいですね。素材とかもずっと考えて、やっと手元に届きました。本当に、色んなところに広がって欲しいです。

Photographer:MOTO, Cho Ongo

Ikkyu × Graynoise コラボレーションキーホルダー

アジアのファッション通販サイト「SIXTYPERCENT(シックスティパーセント)」で3月3日(火)12:00から期間限定発売。発売期間は3月14日(土)23:29まで。価格は4,200円(税込、送料込)。

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