【60MAG お悩み相談室#2】John Natsuki に乞う”自分道”。

このご時世、生きているだけで出現する葛藤や疑問。好きな音楽を聴いたり、たらふく美味しい物を食したり、自分でご機嫌を取るのも良いけれど、たまには誰かに相談してみない? 普段ステージやイヤホン越しで交わるアーティストやクリエイター達が、あなたの葛藤と真摯に向き合っていく新企画「お悩み相談室」。
第2回目は、3/4に1st アルバム「脱皮」をリリースした John Natsuki氏が登場。Tempalayのドラムでありながら、昨年本格的に個人プロジェクトをスタートし、独創的な創出へ貪欲に向き合う彼に、音楽性から恋愛まで様々な悩みが寄せられた。彼自身が過去への”脱皮”を確実にした本アルバムと共に、悩みや不安から乖離させる金言を、あなたの日々に昇華させて欲しい。

【ペンネーム:ゆた 22歳】
好きな漫画は何ですか?

普段漫画をあまり読まないんですけど、昔ジャンプに載ってた「ピューと吹く!ジャガー」っていうギャグ漫画は好きでしたね。

【ペンネーム:霧島甘味 20歳】
今年から楽曲の制作を始めます。好きな音楽か、自分に向いている音楽か、ジャンルで悩んでいます。

好きな音楽でも、自分が表現する上で向いていない音楽ってありますよね。自分が表現するのに向いている音楽をやる方が良いのかなと思います。

-ソロプロジェクトはどちらにベクトルが?

最初は自分が好きなものをやって行きたいって思ってたんですけど、それで自分が無理しちゃってると、唯一無二な自分の表現にはならないので…。ちょっとダサくなってしまったとしても、自分の表現に合ったものをやった方が良いんだなって、作っている過程で感じましたね。

【ペンネーム:トマト大福 17歳】
音楽のジャンルって何で決まると思いますか?

色々あると思うんですけど、自分がドラマーということもあって、リズム感ですかね。そこが1番大きいのかな。基本的にはジャンルはリズムで決まっていると思うので。

【ペンネーム:YOMAKO 22歳】
結婚したいと思われる女になるにはどーすればいいですか?!

ちゃんと幸せになりたいって思ったら良いんじゃないですかね。こんなこといったら怒られると思うんですけど…、悲劇のヒロインぶってしまう人がいるじゃないですか。ダメンズと付き合ってしまうとか…。そういう自分を変えて、人にリア充だとか言われようが、幸せになるって強く願っている方が良いんじゃないかな。

【ペンネーム:塩餃子 20歳】
ハタチの頃は何をしていましたか?

バイトしてましたね。ライブバーでバイトしていたんですけど、ライブ見ながら席に食事運んだり、賄いのビール飲んだりしてました。そんなに大きいライブバーじゃなかったんですけど、KenKenさんとか、中村達也さんとかが遊びに来られていたので、凄く勉強になった場所でしたね。

-昨年からソロプロジェクトをスタートされましたが、構想はずっと抱かれていらっしゃったのですか?

世に出すわけでは無かったんですが、ずっと曲は作りたいと思っていたし、作っていました。Tempalay始めた時はもう自分で発信したいと思っていましたね。でも、歌を歌うっていう概念が自分の中には無くて、作った曲を誰かとやれたら良いなくらいにずっと思っていたんです。このままじゃ自分の音楽を出すことなく終わっちゃうなって思って、思い切ったのが1年半前くらいですね。人前で歌った事が無かったので、そこのハードルを1年半前に越えることができました。

-2月18日に開催されたEBIS BATICAでの自主企画イベント”脊髄 vol.1 ”ライブ映像も見ました。いい意味でトラウマになりそうな…。かなり衝撃的かつ爆発的ですよね。

自分がもろに影響を受けていた音楽はTempalayよりも、今作っているJohn Natsukiの方が近いんです。そこの溜め込んでいた構想みたいなものが、爆発している状態なのかな。
ソロプロジェクトでは、音楽だけでなく、体験を提供したいなっていう想いがあります。ディズニーランドとか大好きなんですけど、そういうエンターテインメントとして何かできたら良いなって思いますね。

【ペンネーム:かわばた  17歳】
迫る受験に焦り、進路を決定できません。なつきさんは学生の頃どう未来を考えていましたか?

小学校の時受験して、中高一貫の進学校に行ってしまったんですけど…(笑)。周りがみんな良い大学に行くことが目標の中、僕は中学3年生の時にバンドを初めてしまって、絶将来バンドで飯食って行くって高3の時には思ってたんです。でも、高校が絶対大学に受からないと卒業できなかったので、結局大学受験して、合格したんですけど、2、3日で辞めました。
なので、やりたいことがあるなら、親や友達の意見を無視してでも自分の道に進む方が、結局は近道なんじゃないかなと思いますね。やりたい事が決まっている人は、自分を信じて進んでください。

【ペンネーム:ゆうこ 33歳】
夢や目標もなく働いています。このままで良いのか不安です。

俺は幸運なことに夢や目標がありましたけど、無理して夢を持つ必要は無いというか…。自分が面白いと思っている事を日々やるだけで、あなたらしいと思うんです。
働いたお金で何して遊ぼうみたいな趣味や目標を作ったら良いのかな。友達と旅行したいとかそういうので僕は良いと思います。僕もバイトしていたので、何をしたいか分からずお金を稼ぐって友達もいたんですけど、登山するの好きだったやつが、アウトドア関係の会社に務めるようになったりもしましたし。そういう趣味から始まることがあると思うので、まずは好きなことにお金を使ったら良いと思います。

【ペンネーム:のん 13歳】
夏樹さんのストレス発散方法を知りたいです!

お酒大好きなんですけど、ストレス発散できてるか危ういんですよね。お酒飲んだ次の日に、なんかモヤモヤしてるって事がたまにあるので。なのでお酒とか飲まずに朝早く公園に行ったり、自然に触れたりする事が1番ストレス発散になってるのかもしれないです。

-制作へのインスピレーションはそういうところから?

制作していると一点集中型というか、あんまり広く物事を見れなくなってしまうんです。そうなると外出て、公園行ったりしますね。そうする事で自分の頭の中が広く見えるというか。インプットしてきたものを広く見渡せる様になるんです。

【ペンネーム:syg 22歳】
自分の個性がわからなくて、悩んでます。自分の個性はどうやってみつけましたか?

個性って謎ですよね。でも、好きな事をやるっていうのは個性だと思います。さっきの話に繋がりますけど、親の意見とか親しい友達の意見でも、そんなに鵜呑みにしなくても良いというか…。そうやって自分の好きな事をやってみることで、気づいたら自分の個性になると思うので。そもそも全員に個性はあるので、無理して作るものでは無いと思います。

-夏樹さんがご自身で思う個性は何でしょうか?

個性って、何か1つの強いものというより組み合わせじゃないですか。俺だったら、Tempalayみたいな音楽もやってるけど、John Natsukiみたいな音楽もやってる。そういったものの組み合わせですよね。個性というものが出現する訳ではなくて、自分の好きなものや、やりたいことをやっていくうちにだんだんそれが自分の個性となっていくのかな。
強いていうならば、吸収力が個性かな。意識しているのは、やりたいって思っていたら行動することですね。

-影響を受けた経験やアーティストは?

X JAPANのHIDEさんです。地元が一緒っていうのもあるんですけど。音楽もファッションも、ライブも面白いんですよ。そういう人を楽しませようっていう感覚は、HIDEさんを見て培いましたね。アーティスト像として、エンターテインメントをする人として影響を受けました。

【ペンネーム:スペースマン 14歳】
将来、音楽をやりたいとおもっているのですが、何から始めたらいいか全くわかりません。

まずは、俺にとってのHIDEさんみたいな存在を見つけたら良いのかな。自分がどうなりたいのか、どうやって人に自分を表現して生きたいのかを知るのは大切ですよね。自分がステージに出たいのか、曲を作って裏方で支えたいのか、色んなやり方があると思うので。

-Natsukiさんの音楽の入り口は何でしたか?

純粋な音楽としての入り口は、母親の影響で3歳からピアノをやってたので、クラシックですね。そこから小学校4、5年の時にミスチルとかスピッツを聴き始めました。
中学2年の時に、X JAPAN大好きな友達が、僕のと友達のMDを勝手にすり替えてて、帰り道に聴いたらX JAPANの『Silent Jealousy』が流れてきたんですよ。それ聴いた瞬間に”何これやば!?”ってなって、XJAPANを知りました。その時僕はピアノを弾けたので、”お前ドラム叩けたらもうYOSHIKIだよ”って言われて、ドラムを始めるっていう(笑)。

【ペンネーム:haruo 22歳】
22歳からドラムを始めたら遅いですか?

全然遅くないですね。22歳ってもう赤ちゃんですよね(笑)。吸収力もまだまだありますし、これからですよ。今から始めたら、良いとこ行けんじゃないかなって思いますよね。知り合いのTENDOUJIってバンドのドラムのこいちゃん(オオイくん)は、28歳からドラム始めてますからね。でもこの前リキッドルームでワンマンやってましたから。全然遅いとか無いと思います。是非やって下さい。

【ペンネーム:伊賀良シティ 15歳】
ドラム始めたばかりの高校生へアドバイスをお願いいたします!

俺は、上手いだけのドラマーにあんまり惹かれないタイプなんです。どの楽器もそうだけど、楽器の練習というよりは、好きな音楽を掘っていく作業がすごく大事だなって思いますね。自分がどういうドラムを叩きたいのか、そういうところを突き詰めたほうがいいのかな。ずば抜けて上手くなくても、個性のあるミュージシャンは結局重宝されますし。なので、やっぱり音楽を沢山聴いた方が良いと思いますね。

【ペンネーム:ちゃんこ 18歳】
専門(音楽やダンス系)の別の学科の人たちに声をかけて作品を作りたいと思っているのですが、夏樹さんだったらどうやって話しかけますか?人見知りなのでアドバイスください!

俺も人見知りなので、あまりアドバイスできないのですが…。

-意外です…!

お酒あればめっちゃ話しかけて、次話した時に”あれそんな話さない人だっけ”ってなっちゃうんです(笑)。それが怖いから、お酒飲んでもあんまり話さないようにしていましたね。でも、ここ半年くらいは、いつでも話せる様に頑張っています(笑)。
同じように頑張ってる状態なんですけど…、俺だったら褒めますね。褒められて嫌な気分になる人はいないので。それに、一緒に作品をやりたいってことは、その人の作品を気に入ってるということなので、どんどん褒めて良いと思います。

-普段Tempalayではどの様なコミュニケーションを取られていますか?

たわいもない話だったら、飲んでる時ですかね。でも飲んでる時はあんまり覚えてないです(笑)。
好きな音楽の話とかもあんまりしないですかね…。作品作る時に、りょうと(小原 綾斗)が今聴いてる音楽を共有することはありますね。

-3/4にリリースされたJohn Natsuki 1st アルバム「脱皮」にはどういう意図が?

シンプルに”過去の自分を脱ぎ捨てる”という意味を込めました。過去のことを良く感じたり、出来事をずっと頭の中に抱いて生きてるなと思っていたんですけど、あまり引きずりたくない過去を一旦ここで断ち切りたいなというのがあったんです。自分の子供の人生がこれからあるわけで、俺もやっぱそこに寄り添っていくので、未来を見据えるような気持ちにして生きたいなと。

リスナーの方も、僕が自由にやってるのをみて、自由に表現していいんだなっていうのを感じてもらえたらいいなって。僕も、皆さんも一皮向けたらいいなと思いますね。

-最後に、今後挑戦したい事や展望を教えて下さい!

今回は全体的にダークなアルバムになったんですけど、次はどうなるか本当に分からないです。音楽として、やる事は今までと変わらないのですが、気持ち的には現在にもっと目を向けていきたいですね。

今は特に社会的にも問題が多いじゃないですか。コロナや選挙に関してもそうですし。そこを良くして行くことに興味が湧いてきたというか。そんなにガミガミいうつもりはないですけど、思ったことを発信できる世の中になったらいいなって思うので、そこを後押しできるような音楽を作って行きたいです。自分自身も、聴いて下さる人の後押しも出来たら良いですね。

Photographer:Kotetsu Nakazato
Interview&Text:Ayaka Yoshimura

【リリース情報】

1st Album『脱皮』

2020.3.4 RELEASE

収録曲
1. Film of Life
2.化けの皮
3.get down JESUS
4.My Shadow
5.ぼくはシモベくん〜呪縛からの解放〜(feat.Kaz Skellington)
6.嬉声
7.赤い目
8.Airhead
9.全部大嫌いだな
10.かくれんぼ

【プロフィール】

John Natsuki

Tempalayのドラマーとして活躍するほか、2019年より開始したソロ名義”John Natsuki”では自身でヴォーカル、シンセサイザー、トラックメイクを務める。インダストリアルからトラップ、ゴシック、ポストパンクまで様々なジャンルを横断しジャパニーズポップミュージックの概念をひっくり返す、多種多様なジャンルの影響を受け生み出される予測不能な楽曲を武器にエキセントリックなショーを披露する。