【DOTS COLLECTIVEインタビュー】NOISEMAKER AG, HIDEが挑むアートへの挑戦「絵を描いてると、不思議と曲を作りたくなる」

昨今、様々な表現法が試行錯誤され、アートと音楽の関係性が更に深く密接して来ている。いち早くその相互関係を自らの武器として確立させたのが NOISEMAKERのAG, HIDEによるアートプロジェクト「DOTS COLLECTIVE」。
NOISEMAKERとして新鋭的なビジュアルに挑戦して来た彼らの、新たなステージが幕を開けた。アートに真摯に向き合い、創出される新たな世界観はどの様にして咀嚼されているのだろうか。アートと音楽の高みへ向かう「DOTS COLLECTIVE」が見るその先とは?

ストリートアートと音楽の関係性を意識し始めたきっかけはありましたか?

HIDE:僕らが学生時代の時は、音楽聴かないでジャケ買いとかあったくらいですから、CDジャケットが今より印象的だったんです。パンクはこういうのとか、ヒップホップはこういうのとか、なんとなく皆ビジュアルが分かっていたと思うんです。
そこも自然にあった上で、自分が好きなバンドが個人で絵を描いているのを自然に見てたんで、パッと目覚めるっていうより、自然と自分もやっていった形に近いですね。

NOISEMAKERとしての活動とDOTS COLLECTIVEとしての活動、どのような相互関係が生まれているのでしょうか?

AG: 自然に好きなことをやってるだけなんですけど、絵を通してNOISEMAKERの今までになかったような世界観を作れているんじゃないかなと思っています。グッズも、より作品としてリンクしてきているんじゃないかな。

NOISEMAKERでもクリエイティブ活動をされてきて、DOTS COLLECTIVEとして本格的に活動拠点を作られたのは何故でしょうか?

AG: 北海道にいた時は、デザインできる人たちが周りにいなくて、全部自分たちでやらなきゃいけない環境だったので、自分たちでやるのが当たり前だと思ってたんです。東京でいろんな人に出会った時に、「それもっと発信したほうがいいよ」って言われて。
そこで、しっかり発信するためにDOTS COLLECTIVEを始めました。最初は、日本では絵を買うカルチャーがないし、絵の魅力があまり伝わらないんじゃないかって思っていましたね。でも、想像以上に色んな方が受け入れてくれて、後々バンドにも跳ね返ってきてもいるので、本格的に始めて良かったなと思っています。

因みに、普段使われる画材は…?

AG:絵の具とアクリル、ポスターカラー、スプレー。用途に合わせて使い分けてますね。

HIDE: ポスターカラーあるじゃないですか、皆が知ってる。あれすごいんすよ、ムラにならないんすよ、なのでめちゃくちゃ使ってますね。もう、サポートついて貰えないかなって(笑)。

AG:めっちゃ助かる…。

人の顔の絵が多い印象なのですが、そのモチーフに対して意識はされているのでしょうか?

AG:純粋にストリートアートとかも好きなのもあって、顔が多いですね。モデルがいた方がストーリーがより見えるし、純粋にかっこいい。何だろう、女の人の方が絵になるんですよね。

HIDE:確かに。

AG:悲しいものを描く時に、女の人の表情の方が伝わり易いのかな。

題材になった方などはいらっしゃるのですか?

AG:明確なモデルというより、基本は写真ですね。絵とデザインって、やってる事は近いんじゃないかなと思ってて。土台があって、目の影の部分だけだぶらせたり、色を散りばめたり。土台から工夫して変化させて行く過程が絵とデザインの中間みたいな感じなのかな。

日常生活でインスピレーション源となるものはありますか?

HIDE:美術館とか、日本の建物とか、そういう音楽以外の場所にちょいちょい行きますね。この前は落語を見に行きましたし。自分の活動と全然関係の無い場所に行くこともあります。

AG:ネットが多いですね。ネットの中から好きなアーティストとか、映画とか、映像作品を探して見ています。ネットが俺の中では宝庫っていうか..。「うわ、なにこの色使い!」とか、思ってもみなかったものがポンっと出てきて凄くインスピレーションを受けますね。

制作において、普段どういう風にコミュニケーションを取られていますか?

HIDE:言葉っす。

もうちょっと聞かせてください(笑)。

AG:音楽に関しては、もうコミュニケーション取りたくないってくらい、コミュニケーション取るんですけど、絵は好き勝手にやってますね。ある程度のテーマやコンセプトはざっくり決めて、こういう方向性で行こうっていう中で自由にやってます。出来たものに対して、「これどう思う?」くらいですね。

HIDE:そうだね。凄くかけ離れているわけでもないし、お互い見てきたものも近いから、重なるところがちゃんとあるんですよね。その中で重ならないところが個性になる、ちょうどいいバランスです。

お互いの強みやいいなと思うポイントはありますか?

AG:うーん、俺から見たら、計算し尽くされてる感じ。知識も豊富だし、まぁ俺より絵も上手いし、細かいことも器用にやるし…。頭で考えてやっているというか…。

HIDE:なんか嫌な言い方…(笑)。お前には感情がない、みたいな(笑)。

AG:(笑) 俺の真逆な感じがする。

HIDE:本当そうかもしんない。彼はなんかこう、”バッ”と場数だ!みたいな感じだから。お互いに思いつかないことがあるんで。俺が計算じゃないけど、きっちり描いて、それを崩してくれたりとかもあります。性格もそんな感じなんですよね。面白い反面、怖い部分もあるけど、それがスリルで楽しいですね。

このギャラリーのお気に入りポイントはどこでしょうか?

HIDE:お気に入りのポイント、床ですね(笑)。もう全部塗ったんすよね、これこの窓枠の黒も。今はちょうど制作中で、曲作ってんですよね。でもここであんまり音出せないから、まだこの音をどうにかして出せるようにして、ここでもちゃんと制作をできるようにしたいなぁって考えています。ここには家よりいいスピーカーを置いているので(笑)。

昨年の夏展示をされていましたが、直接絵を見てくださる方と触れ合うのは如何でしたか?

AG:めちゃくちゃ嬉しかったです。

HIDE:ちょっとしたオフ会みたいになってるし(笑)。中には絵から入ってバンド聴いてみるお客さんも居ましたね。絵から音楽に繋がるのは凄くいいことだなと思います。

AG:それもバンドマンだから出来る事をやろうって、絵でツアーしようって。

めちゃくちゃ回られてましたもんね、展示会ツアー。

HIDE:大変だったよね。

AG:大変だった、マジで。人がブワッてきた時に、自分たちも店員さんみたいになって「こっちでーす!」「こちらに並んでください!」みたいな…(笑)。東京でも、お客さんに「どこが先頭なんですか?」って俺怒られました(笑)。

回ってみて、印象的な場所はありましたか?

AG:大阪では、初めてカフェでやったので印象的でしたね。絵でこんなにお店の空間が変わるんだなって。

HIDE:お店のプロデュースとかやってみたくなりましたね。絵で空間を飾るプロデュースみたいな…。

AG:めんどくさそうじゃん…、細かいことはお願いします。

HIDE:やめます(笑)。でも、カフェでやるのって面白い。絵って大体見てから直ぐに帰っちゃうじゃないですか。そこでのんびりしたり、話したり出来るカフェって良い空間だなって思いますね。まして、座って絵をじっくり見る機会はそんなに無いと思うので。

コンセプトは絵ごとに決められていますか?それともシーズンや展示会に向けて決められているのでしょうか?

HIDE:絵ごとですね。曲も一曲ごとにコンセプトを決めていますね。

AG:でも揃ってみると、意識してないけど、一貫性があるというか…。全体的に見てコンセプトが大きくは外れることは無いですね。みんな理由を求めがちですけど、別に無くても良いじゃないですか。俺が絵やアーティストのことをなんで好きかって言ったら、一瞬のトキメキなんです。だから前回の展示会は、理由を考える前に一目惚れするものをテーマにしたんですよ。一枚一枚、見た人が一撃で”これ欲しい!”みたいな感覚になれるような絵を描くのが、自分の中のテーマではありますね。

一貫したコンセプトがあって、そこからまた違う実験的な展開がされているという、多種多様な人々の直感を刺激する展開が面白いです。それこそ洋服も作られていますよね。洋服を本格的にやりたいと思った理由はありますか?

HIDE:最初の展示会で30枚くらいTシャツ作ったんです。それが1時間くらいで完売しちゃって、超クレームきて…(笑)。想像以上に欲しいと思ってくれる人が沢山いたんです。迷ったんですけど、”アートを着る”事が凄くいいなと思って。で絵もありもんじゃなくて、ゼロから型も作って、形から作ってるんで。

純粋にTシャツだけじゃ無く、コートやジャケットだったりもこだわっていらっしゃって、本気でやられてるんだなと思いました。

AG:そうですね。まだやり始めなので試行錯誤ですけど、難しいですね、洋服。

HIDE:後、自分たちの進んできた道が今色んな角度で交差しているのが面白いですね。NOISEMAKERで知り合った人と服を作ってるんです。形とかも相談して、彼の工場で作ってって。音楽も絵も全部繋がっていますよね。

 

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洋服はこれから、季節ごとに制作を?

HIDE:そうですね。そのつもりです。

AG:今も新しいものを作っています。靴下とか…。

HIDE:バンドやって、CD出して、ツアーして、フェス出て、CD出して、ツアー…、みたいなベーシックがあるじゃないですか。でもやっぱり曲作りをする公に出てない合間に、展示会やったり、服作ったり、色んな楽しみを提供できますよね。端から見たら、制作中とか何やってるのか分かんないかなって。

AG:純粋にDOTS COLLECTIVE、楽しいですね。音楽も楽しいけど、もっと深いところにあるからノイローゼになっていく感じなんです。自分が求めているもののハードルがどんどん上がって行くし、満足出来なくなっちゃって。で、その音楽から離れてパッと心を開けるのが絵なんですよ。絵を描いてると不思議と曲作りたくなりますし、良いバランスだと思います。

今後挑戦したことや、今準備されてることはありますか?

HIDE:また展示会をやろうかなと思っています。次は展示会の空間づくりをもっと極めたいなと。スゲーもんを買っちゃったんで。これは今後のお楽しみなので、内緒です。

AG:ランボルギーニ?

一同:(笑)

最後に、伝えたいことはありますか?

AG:前例がないから、俺らもどうなっていくのか分からないです。でも凄く純粋に楽しんでます。やってる本人が純粋に楽しんでるって、一番何か起こるんじゃないかなと思ってて、今だんだん注目してくれる人も増えてきたので、そこも楽しみに見守って貰いたいなと思いますね。

HIDE:音楽やアートを超えたクリエイターとのコラボはずっと狙ってますね。リンキン・パークのマイク・シノダさんと絵でコラボするとか、アートの世界で繋がって、次曲でコラボするみたいな。入り口はどこでもいいなって考えてて、そういう面白いことへのきっかけになればいいかなって思っています。

【DOTS COLLECTIVE プロフィール】

NOISEMAKERのAG, HIDEによるアートプロジェクト。長年、自身のバンドマーチデザイン、絵を制作してきたキャリアを活かした別プロジェクトDOTS COLLECTIVE。
デザイン、絵はすべて一つの点から始まりその点は無限の可能性がある。音楽、デザイン、絵、すべてが点で結ばれることを願いこの名前を命名した。
今後、DOTS COLLECTIVEのアート作品を中心にギャラリー展など様々な活動予定。

公式サイト:https://www.dotscollective.net/