人の過ちや行動に目を向けがちだけれど、まず1番大切なのはあなた。お仕事を頑張る人も、自宅で家族を守る人も、みんなが音楽やアートの場所で交わえるように、それぞれのベストな環境を学び作っていこう。
そんなそれぞれの”ベスト”を、国内外で活躍するクリエイターやアーティストから学んで行く特集企画。第4回目はLicaxxxが登場。現状に順応するだけでなく、その先のエンターテインメントを見据える彼女が拾うヒントとは。
-インプットはどのようにされていますか?
映画や本、アニメ結構色々見てますね。最近は、アニメの『ジパング』を観ました。
-オススメの本はありますか?
社会学者の小熊英二さんの「日本社会のしくみ」を読んでいます。こういう時期に、政治について自分もいざ発言するとなるとちゃんと考え直さなきゃいけないし、今まで以上に勉強しなきゃいけない。なのでこの社会がどうなっているのかというとこからスタートするのもいいかなって。後は『暴露の世紀』とジョージ・オーウェルの『1984年』。『1984年』は特に読んだことない人は今すぐ読んで欲しいですね。小説なので、社会学の本とかよく分からなくて読めないって人にもオススメします。今の社会がこんな昔からそのまま書いてある、と感じると思います。スターリン主義を強烈に批判したものですが、実際は時代が繰り返されているということが分かります。
-3冊とも今を深掘りする本ですね。何か発言をするにあたって正解を求められる今、少しでも知識を蓄えておくというか。
そうですね、自分の発言に対しても自信になりますね。本を読むことが偉い訳では無いけど、知識を蓄えるということは自分に自信を持てたりもするので精神的にも有効だなと思います。
-この時期だからこそ見つけた、新しい発見やインスピレーションはありますか?
音楽業界のお金の稼ぎ方は今までCDや現場に依存してたんです。現場に行く体験をマネタイズの軸にしてたんですけど、そうじゃない時代が来たというか。いわゆるSFみたいに誰も外に出なくなって、AR、VRで全部体験するみたいな。そういう時代に音楽やカルチャーを残していくには、新しい方法も探っていかないといけないんだなっていうのを常々感じていますね。
もちろん現場が一番楽しいし、最高の体験ですけど、現場ではできないことの新しい楽しみ方と価値探っていきながら、新しいカルチャーのあり方を試していく必要があります。
-Licaxxxさんが理想とする新しい音楽の形や軸はありますか?
家でもちゃんと楽しめるように、動画配信のコンテンツ強化は大切だと思います。現場の再現だけで無く、さらに一歩踏み込んだことを出来る余地はまだあると思っているので。
先週末にフェス「RAINBOW DISCO CLUB 2020」の配信があったんですけど、事前に収録して配信する形は、自宅からと現場ありきでカメラが入るものとはまた違った体験でした。ただ配信を見るだけではないストーリーの付与とか、映像の面白さとか、現状の技術だけでもやれることはあり、ヒントがあるなと思いました。
-現場でのDJだと人や会場の温度を見て選曲されて行くと思うのですが、配信はリスナーの空気感や反応を感じることが出来ないですよね、そこのギャップを埋めるために意識されている事はありますか?
そこが凄く難しくて、「RAINBOW DISCO CLUB 2020」の収録でも苦戦しましたね。家から家への配信は、リスナーの顔は見えないけど環境は近いものがあるので、家で聴きたい音楽を想像しながら出来たりしますが。
-Tokyo Community RadioでのDJは、想像しながら出来たと?
そうですね。フェスの配信は、フェスに来たかった人たちのことを考えて、フェスを追体験出来るような形にしようとか自分の中で想像して考える作業が今までと違いました。2時間その場の要素を読み取るのとは違う集中力が必要でした。DJしてる最中も、ふとした時に自分だけの世界になったりもして。収録だと生じゃないので、配信日の状況とかをなるべく想像しましたね。
-Licaxxxさんの家での最高の音楽の楽しみ方はありますか?
音響機材をしっかり揃える事。いい音で音楽を聴くために、それぞれの音楽に合わせた場所に行くというのもありますし。できる限りの音響機材を揃えるのは大事な要素だと思います。
-お家でこだわりの場所やアイテムはありますか?
外が見える所で制作出来るようにしていますね。後は、いい匂いのするものが好きなので、デュフューザーやキャンドル、ルームスプレーとかを沢山揃えています。集中したい時やリラックスしたい時、状況に合わせてキャンドルを変えていますね。人前に出る時に付ける香水で、家でも仕事モードに切り替えてます。
-気分転換はどのように?
もともと家にいる時間が好きなので、アニメ一気見できるとか自由に映画観れるとかが気分転換になっているのかな。勉強のつもりで見ているものから、何も考えないで観れるアニメにしたり、コンテンツを旋回して切り替えていますね。
-今行動に移されてることや、現時点でされていることはありますか?
今だとTokyo Community Radioの配信を家に切り替えてやっています。家の機材が揃っているかで出来る事も変わってくるので、そこの調整やコンテンツを増やすためにどうするかを考えています。あとはこのご時世なので、今何考えている事の取材や執筆する機会も多いので、そのための勉強をいつも以上にしていますね。
-今リスナーがアーティストのために出来る事や、主体的に楽しめることは何だと思いますか?
すぐアーティストの為に出来る事は、「Bandcamp」っていう音源を買うサイトで音楽を買う事ですかね。そこが一番アーティストへの直接の還元率が高くて、私は基本的にそこで買うことが多いです。色んなツールがありますが、私は「Bandcamp」をオススメしています。
普段会社に出社してる人とかが在宅になって音楽を聴けるようになったり、音楽を聴く機会が増えたのかな。DJのミックスとかは1時間以上のものが多いので、作業する時のBGMにもオススメかな。実際ミックスを通して聴いてみないと分からないことが詰まっているので、作業BGMを機会に聴いて欲しいですね。
Bandcampはこちら:https://bandcamp.com/
-そのきっかけとしてTokyo Community Radioで聴いてほしいという面も?
そうですね。もちろん我々のも聴いてもらえる機会になればと思っています。あと、色々聴き飽きて何を聴くか迷ってる人もいると思うんです。DJのミックスってインターネットに無限にあるので、Youtubeのチャンネルを登録するでもいいし、SoundCloudで聴くのも良いし、そういうのをDJとかがSNSで紹介しているので活用して欲しいですね。聞いた事ある聞きたいものを聞くスタイルだった人は、これを機に聞いた事ないけど今の気分にあう!みたいな音楽に出会う体験がたくさんあるといいなと思います。
-最後に伝えたいことはありますか?
今は、やりたかったことが出来る時なので、後回しになってた本や映画、なんでもいいから、触れるだけで自分のためになったと思える感覚を大事にしてほしいです。あと、今は特に大量の情報が入ってくるので、良いことも悪い事も必要なことも必要じゃないことも、取捨選択をして考える力が大事です。自分の生活を、社会レベルの広い意味でも、個人レベルでも見直して行きましょう。
【Licaxxx プロフィール】
東京を拠点に活動するDJ、ビートメイカー、編集者、ラジオパーソナリティ。2010年にDJをスタート。マシーンテクノ・ハウスを基調にしながら、ユースカルチャーの影響を感じさせるテンションを操り、大胆にフロアをまとめ上げる。
2016年にBoiler Room Tokyoに出演した際の動画は50万回以上再生されており、Fuji Rockなど多数の日本国内の大型音楽フェスや、CIRCOLOCO@DC10 などヨーロッパを代表するクラブイベントに出演。日本国内ではPeggy Gou、Randomer、Mall Grab、DJ HAUS、Anthony Naples、Max Greaf、Lapaluxらの来日をサポートし、共演している。さらに、NTS RadioやRince Franceなどのローカルなラジオにミックスを提供するなど幅広い活動を行っている。
さらにジャイルス・ピーターソンにインスパイアされたビデオストリームラジオ「Tokyo Community Radio」の主宰。若い才能に焦点を当て、日本のローカルDJのレギュラー放送に加え、東京を訪れた世界中のローカルDJとの交流の場を目指している。
また、アンビエントを基本としたファッションショーの音楽などを多数制作しており、Chika Kisadaのミラノコレクションや、dressedundressdの東京コレクションに使用された。
Twitter:https://twitter.com/Licaxxx
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SoundCloud:https://soundcloud.com/rikahirota
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