milet と紐解く 1st Album『eyes』”感情の中間的な行き来を楽しんでいる”

自身1stアルバム『eyes』をリリースしたシンガーソングライターmilet。TVCMやドラマ、アニメ主題歌に数々の楽曲が抜擢され、華々しい活躍を遂げた彼女の”’19〜’20年傑作集”とも言えるアルバムが、我々の日常の開放とともに放出される。日常で耳にしたあの名曲も、我々の想像を遥かに超えるギミックを凝らした楽曲達も、あなたの想いを乗せ1枚のアルバムを通して聴いてみて欲しい。
今回のインタビューでは、彼女の独特な世界観から楽曲やファンに対する愛までざっくばらんにお話頂いた。18曲というワイドな楽曲達に揺蕩う、彼女の想いを読み解いて欲しい。

-18曲のボリューミーな1stアルバム「eyes」ですが、アルバムの構想やメッセージは考えていらっしゃったのでしょうか?

考えてはいたんですけど、この1年でリリースした5枚のEPから今出したい曲が本当にたくさんあったので、気づいたら18曲になってしまいました。でも本当にサウンドもテンションも雰囲気も1曲1曲全然違うものが集まっていて、このカオスさも私らしいなと。面白いアルバムになったと思います。

-新曲はその中でも新しい試みを入れたり、全体のバランスを取る目的も?

私の中で新曲は明るい曲も多くて、「Witout Your Love」や「STAY」もいつになく明るい曲になりました。バランスをとるというよりは、「Dome」や「Fire Arrow」との温度差みたいなのを楽しんでほしいというのはありますね。最後の「The Love We’ve Made」で、”終わり良ければすべて良し”ですかね(笑)。

-自宅期間が長く、わざわざサブスクで1曲1曲を選んで聴くことが減った今、ボリューミーなアルバムかつ様々な色のある曲を楽しめるのは、現状の聴き方にも合っているなと。

私もそう思います。自分でアルバムを聴いても、1曲1曲の完成度が本当に高いので、短編映画を18個観ているようで、終わった後の疲労感が凄く心地いいんです。本当に大作だなと、自分でも思います。

-今回「Dome」や「Until I Die」といった、英詩で聴かせる歌も入っていますが、英詩と日本語詩の住み分けはどの様にされているのでしょうか?

最初は全部英語で詩を書いてから、バランスをとりながら日本語を入れていくスタイルでした。最近はトラックを聴いた感覚で、この曲は全部英詩がいいとかをなんとなく連想できるようになってきましたね。日本語は英語の韻に沿って書いていく事が多いので、英語に引き出された日本語という印象はありますね。

-楽曲ごとでかなり印象が変わりますが、曲ごとにインスピレーションを受ける情景等は変わりますか?

明るい曲を作る時のほうがプレッシャーを感じますね。楽しいけど、慣れない事をしているというか。私はポップスでガーリーな曲を作るときはCarly Rae Jepsenを聴くって決めていて、そこから気持ちを作ります。それでも1番悩むのはポップな明るい曲で、本気であなたが好きでたまらないみたいな歌詞を明るい歌に乗せて作れる人間ではないので(笑)。ちょっとした役者気分というか、少女漫画の主人公になりきって作っています。

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-ダークな楽曲はどうでしょう?

「Dome」とかダークな曲は私の平常時で創造される楽曲ですね。私の根幹にある冷静さやどこか俯瞰して見ている所が表現されやすいんだと思います。

-ダークな楽曲のメロディーに関しては、BjörkやSigur Rósなど、miletさんが聴かれていた楽曲達の影響が強いのかなと…。

本当に自分の曲を聴いて、どこに影響を受けたかが分からないんです。BjörkもSigur Rósも好きだけど、Carly Rae Jepsenやロックも大好きで。多分音楽というより、映像の色彩やティールな感じの青さから連想されるものが、落ち着いた曲に反映されているのかなと思います。

-映像というのは映画やアニメなどの作品でしょうか?それともmiletさんが実際に見てきた世界だったり?

映画などの作品ですね。「Dome」は、大好きなホラーゲーム「SILENT HILL」に影響を受けました。霧がかった、薄暗い空気の感じが凄く好きで、そういう異世界な感じをイメージして作りました。

-様々な楽曲のお話をお伺いすると、益々miletさんの謎が深まる気がします…。miletさんが思うご自身の性格は?

アルバムを聴くと、”どんな人間なんだろう?”ってなると思うんですけど、どれも正直な自分の人格や気持ちが現れているなと思っています。
そうですね…、私は暗い人間ではないのですが、冷めてはいます(笑)。空気に乗って何かをするというより、目の前の現象について一歩引いて考えてしまうんです。俯瞰しすぎて、目の前にいる自分と、とっても遠いところにいる自分が生まれるんです。
どっちが本心なのか自分でも分からないこともありますね。「Witout Your Love」と「Dome」の様に、1つの愛に対しても、美しい味方をすることもあれば俯瞰して見る事もある。そういう自分の感情の中間的な行き来を楽しんでいます。

-普段どの様にインプットをされているのでしょうか?

新作はあまり追えないタイプで、同じ映画や音楽、ドラマを繰り返し観ています。「タクシードライバー」のロバート・デニーロが1番好きです。彼の瞳の中の切なさや愛が、普段出会うことの無い魅力ですよね。やっぱり私のインプットは、自分の見たことのない世界や魅力的な色、どこか心地の良いものなんだなと思います。

-デビューから、楽曲制作やステージで見える風景は変わりましたか?

変わりましたね。映画好きの学生から、一気に音楽漬けの生活になる環境の変化もありましたし。それなりにプレッシャーもありますが、音楽を作る時間が”こんなに楽しいんだ”って気づけました。本当に新しいことだらけで、ステージの上も異世界な感覚ですね。

-ステージから聴いてくださる方の反応をみたりも?

お客さんの反応はずっと見ていますね。フェスとワンマンそれぞれのお客さんの反応もめちゃくちゃ勉強になりますし、私も色んな楽しみ方をしています。

ライブにお客さんが来て初めて、私の曲が人々に届いているんだって実感するんです。1stツアーも中止になったりはしたんですけど、逆に幻のライブになりました。始まりのツアーなので、まだ始まってないってことだったんだなって思って。でも、楽しみにしてくれた人が沢山いるというのも分かったので、みんなを連れて、もっともっと大きな場所で歌いたいと思います。

-「Parachute」のティーザーを拝見しましたが、”ライブからの音源化が嬉しい”とコメントもありましたよね。

凄く嬉しいですよね。「Parachute」はデビュー前に作っていた曲で、私含め制作メンバーもすっごく大好きな曲なんです。この大切な曲を1stアルバムに入れれたのは本当に嬉しいです。しかも、収録もしていないのに、待ってくれていた人がいて、本当にこの曲は幸せ者だなと思います。

「Parachute」は、歌うとデビュー時を思い出すんです。デビュー前からずっと一緒にいた曲だから、当時食べていたものやその時話していたことが鮮明にフラッシュバックして、私まだプロじゃ無いって感覚になるんです。

-家で聴いてても心地いい、シンプルな楽曲なので、リスナーの世界観も広がりますよね。以前作られた曲を振り返って聴くこともあるのでしょうか?

今凄く聴いています。特にアルバムの曲たちとかは聴いていますね。今までこんなに自分の曲を聴くことは無かったです。

-アルバムをきっかけに?

そうですね。去年とかは、自分がどんな曲を作っているか分からないくらいのスピードで、完成したら”はい次!”って切り替えていたので、自分の曲を振り返ることが無かったんです。今時間が出来て改めて聴くと、めちゃくちゃいい仕事してたんだなって。いろんなジレンマもあったのですが、全てを全力でやっていたのは正しかったんだなって思えました。

-愚問かとは思いますが…、miletさんが最も思い入れのあるアルバムの楽曲はなんでしょうか?

「Prover」です。この曲の間奏部分が完成した時の達成感が凄かったんです。この部分に、これ以上のメロディーを入れれる人は他にいないなって思えるくらい、自分の歌で感極まるものがありました。ステージも楽しいけど、制作中にみんなの歯車の一員になれる感じがすごく好きで。その瞬間が1番人生を楽しめているし、そこの達成感が1番強かったのが「Prover」でしたね。

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-「Grab the air」はMAN WITH A MISSIONのKamikaze Boyさんからの楽曲提供ということで、制作やレコーディング時の想いもまた変わりそうですよね。

こんなに良い曲を頂けるなんて、純粋にすごく嬉しかったです。爽快感の中に切なさのある曲はやはりグッとくるものがあるので、この曲はそこが強く現れていて、思わず涙ぐんでしまうというか…。本当に大切なプレゼントを頂いた感覚で、更に楽曲への愛が深まります。

-最後に、今後の目標や展望を教えてください。

まずアルバム「eyes」を無事リリースして、皆さんの元に届けることが私の1つのミッションですね。1曲1曲の音色は様々ですけど、メッセージは全てポジティブなので、皆さんを安心させ、包み込んでくれるものになっていると思います。現時点で最高の作品であり、これからの私を引っ張って行くアルバムでもあるので、是非聴いて何か感じて貰えたら嬉しいです。あとは、ツアーに向け並々ならぬ気持ちを抱いて、もうセトリまで考え始めているので(笑)、そこに向けて準備していきたいです。

【リリース情報】

1st full album 『 eyes 』
2020/06/03(Wed)on sale

【milet プロフィール】

ハスキーかつ重厚感のある独特の唄声と、グローバルな存在感を放つソングライティングを兼ね揃え た女性シンガーソングライター・milet(ミレイ)。思春期をカナダで過ごし、現在は東京都内に在住。
2018年より本格的に音楽活動をスタート。2018年10月には、パリ、NY、ソウルをはじめ世界各国で開催されたイヴ・サンローランのグローバルイベント「YSL BEAUTY HOTEL」の東京・表参道ヒルズ会場にて、イヴ・サンローラン・ボーテがピックアップするアップカミングなアーティストとして大抜擢、ライブ出演を果たす。
2019年3月6日にメジャーデビュー。デビュー曲「inside you」はiTunesなど人気音楽配信サイト11サイトで1位を記録し、「東京ドラマアウォード 2019」でも主題歌賞を受賞。同年夏にはROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019、SUMMER SONIC 2019に出演。SUMMERSONIC東京では午前10時のステージにもかかわらず1万人収容のSONIC STAGEは超満員に。
8月21日にはTVドラマ「偽装不倫」主題歌を収録した3rd EP『us』をリリースし、オリコンデジタルランキング初登場1位を記録したほか、AWA・Spotify・dヒッツ・LINE MUSICなど7つのサブスクサービスで1位を記録。
2019年11月6日には4th EP『Drown / You & I』をリリース。人気音楽配信サイト”レコチョク”による「レコチョク年間ランキング2019」では、ダウンロード部門、ストリーミング部門の両方で新人アーティストランキング1位を記録した。

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