【PICK UP U30 feat. NMIP】空音は時に揺蕩う「その時の心情を読み取ってほしい」

日本を拠点に、アジアのファッションシーンを盛り上げるべく立ち上がったアパレルブランド「NOT MADE IN PARIS」(略 NMIP)。NMIPが世界的に活躍を遂げるU30のアーティスト達にフォーカスし、彼らの活動やカルチャーシーンを伺う連載企画。
連載第2回目は、先日自身2ndアルバム『19FACT』をリリースした空音が登場。音楽やユースカルチャーから見たアジアのシーンや自身の活動についてお話頂いた。日本のHIPHOPカルチャーに通ずる一種の固定概念を取っ払うべく、彼の挑戦は毎秒アップデートされていく。時に揺蕩い、瞬の感性を曲にのせる、今最もストリートなアーティストに今後も注目していきたい。

-今回アジアのファッションを再定義するストリートブランド「NOT MADE IN PARIS(NMIP)」の、Tシャツを着用して頂いてますが、アジアの音楽シーンについてどの様な印象を持たれていますか?

日本は韓国や中国と比べると、HIPHOPっていう音楽のカルチャーがちょっと遅れているかなと思います。日本人の歌手でも十分海外に通用するし、その人の色やユーモアがあれば通用すると思うんですけど、そこを諦めている部分があるのかもしれません。もしそうだったら勿体ないですよね。

-空音さんの目標としては、いずれ海外進出も視野に入れていらっしゃると。

そうですね。僕は韓国の音楽が好きなので、そういう面でも何かアクション出来たらいいなと思っています。

-大阪を拠点に活動され、同世代の関わりも深い空音さんですが、大阪と東京のユースカルチャーの違いはどう捉えていらっしゃいますか?

東京は若い子が作り上げるカルチャーが多い印象ですね。若い子が上の世代のアーティストの音楽を聴くというより、同世代で音楽も回っていると思います。大阪はHIPHOPもOLDな部分が強いと思うので、割と年上の人が作っている文化に若い子が引っ張られている印象ですね。

-1日中浴びるように音楽を聴いていらっしゃるとの事ですが、それはHIPHOPに限らずでしょうか?

そうですね。昔から僕は、直球のHIPHOPアーティストの思考や音楽性だけが好きだったというよりは、もっとHIPHOPも柔軟なもので良いんじゃないかなって思っていて、その中で聴いていたのがRIP SLYMEさんやKREVAさんでした。
良い意味で分かりやすく、みんなに聴いてもらえる音楽に魅力を感じるので、それこそOfficial髭男dismさんなどのポップスも聴きます。1つの音楽を追求するのもかっこいいけど、もっと色んなものを取り入れて感性を豊かにして行きたいですよね。

-例えば日本だとやはり海外やアメリカと違って、HIPHOPが上位チャートに入りきれない状態があるじゃないですか。そこに対して、空音さんが何かアクションを起こして行きたい事はありますか?

日本人の強みの1つは歌詞の綺麗さだと思うのですが、言葉の壁があったり海外の人が理解しきれない部分がありますよね。そういう面でメロディーやアーティストの個性がもっと曲の全面に出ていれば、より魅力が伝わるのかなと思います。もともと日本人はHIPHOPに対しての固定観念が強い部分があると思うんです。それは勿体無いですし、今注目を集めているHIPHOPのアーティストはみんな柔軟なので、リスナーの皆さんの固定観念も取っ払って行きたいですね。

-空音さんの個性といえば、ファンタジーで叙情的な詞というのも挙げられると思うのですが…。ご自身が思う個性は何でしょう?

僕自身の個性は、ポジティブであることです。それこそ、今はHIPHOPの根底にある攻撃的な部分や差別的な面に対して、どんどん柔軟になっていると思うんです。そこから更に若い層や、HIPHOPに固定観念を抱く人にも響く詞が書けることも、僕自身の持ち味かなと思います。

-詞の面では、尾崎世界観さんに影響を受けたとも仰っていましたよね。そういった意外性も面白いです。HIPHOPに抱かれる固定観念を崩す為に挑戦したい事はありますか?

そういう意外性を今後もっと生み出して行きたいですね。HIPHOPとロックの融合とかも増えてきていますし。トラックにのるだけじゃなく、生バンドとかも出来たら面白いですよね。最近、カネコアヤノさんとKID FRESINOさんのコラボが本当に印象的でしたし、お互いの音楽も受け入れているアーティストだからこそ出来る意外性が面白いですよね。そういうの、羨ましいなって思っています(笑)。

-歌詞についてですが、”Hug feat. kojikoji”では「キリンジのエイリアン」、新アルバム『19FACT』収録曲”You GARI feat. SUSHIBOYS”では「少年ジェッター」など、その時空音さんが見てるものがダイレクトに詞に表現されているのかなと感じました。

確かに、そのとき僕がよく聴いている音楽から影響を受けることは多いですね。色んなアーティストの歌詞をサンプリングしたり、「少年ジェッター」など好きなものをいれたり、遊び心を歌詞に取り入れて来ました。でも今作(『19FACT』)はそこに囚われ過ぎず、もっと自分のリアリティを追求しようと、僕自身の内側から出てくる言葉を詞に表現しました。
僕のアルバムに関わってくれている周りのアーティストやトラックメイカーは若い人が多いから、みんなを引っ張っていけるような大人になりたいという気持ちが最近強くなっているのかもしれません。BASIさんが理想の大人像なんですけど、そこに惹かれているからこそこういう作品になったのかなと思います。

-楽曲制作も”遊び心”から”リアリティ”に変化し、インスピレーションを受けるものは変化しましたか?

昨年は激動の一年だったので、周りの変化に影響を受けましたね。また、いろんなアーティストのライブ映像やインタビューを見ていたので、バックボーンを知っていくうちに、それぞれのアーティストが様々な思いを胸にステージに立っていることを知り、自分も最終的にはその方達のように色々な経験を積んで、深みを持ったアーティストになりたいと思うようになりました。遊び心のある歌詞を書けるのは、自分の持ち味ですし、若い今だからこその特権ですが、もっと大人になっていきたいという思いが今作には表現されたんだと思います。これからもっと生々しい表現が多くなっていくと思います。

-6月24日に2ndアルバム『19FACT』をリリースされましたが、アルバムのテーマやコンセプトは毎回決められているのでしょうか?

そこまで凝りすぎず、しっかり考えては無いかもしれないです。こういうテーマで作るから、1曲1曲こんな曲にするみたいな考えがあったほうが良いのかなとは思うんですけど、僕はそれが出来なくて。これからも多分テーマには囚われないと思いますね。

-だからこそ、早いスパンで新曲も出していけますよね。

それは絶対ありますね。僕の場合、その瞬間に作りたい曲が沢山あって、アルバムが出来てから振り返ってみると、ひとつのテーマが見えてくるのですが、その作業が面白いし、僕の個性なのかなと思います。
自分にとって、スピード感は凄く大切だと思っていて、その時の近況報告みたいなものを出来るのが、他のアーティストと違うところというか。楽曲毎にその時の僕の心情を読み取ってもらえたら面白いと思います。

-スピード感やその時の意識が空音さんにとってインスピレーションになると。逆にご自身の変えたくない部分は…?

なんだろう…変えたくない部分はあまり無いかもしれないです。柔軟に変えていけば良いのかなって思っています。それは、好きな音楽に対しても、自分がやっていく音楽に対しても、自分の性格に対しても言えますも。持ち前の明るさだけ忘れなければ、そこからもっと派生していけると思います。逆に言えば、ずっとこのままなのかもしれません。

-最後に伝えたい事がありましたらお願いします!

今回の様にプロデュースしてくれる人や新しくコラボする人を増やしたり、メロディーに活力を持たせたり、あとはもっとメッセージ性の強い曲を作っていきたいと思っています。今の思いが次作に向けての意識になるので、皆さん楽しみにしていてください。

Photographer:Maho Korogi
Interview&Text:Ayaka Yoshimura

【空音 着用アイテム】

NMIPロゴTシャツ(4COLOR)/NMIPLOGOT-shirts(4color)

【リリース情報】

空音 『19FACT』
Release Date:2020.06.24 (Wed.)

Tracklist
01. Fight me feat. yonkey [Produced by yonkey]
02. Flash [Produced by RhymeTube]
03. You GARI feat. SUSHIBOYS [Produced by RhymeTube]
04. Girl feat. kojikoji [Produced by Shun Maruno]
05. 水仙 [Produced by 春野]
06. Shine like you feat. NeVGrN [Produced by RhymeTube]
07. Daddy feat. yonkey [Produced by yonkey]
08. HaKaBa [Produced by jaff]
09. CIRCUS [Produced by ニューリー]
10. 拝啓 [Produced by RhymeTube]

【空音 プロフィール】

2001年生まれの19歳。兵庫県尼崎市出身。耳に残るフックのメロディ、叙情的なリリックをグルーヴ感のある歯切れの良いラップに乗せてリスナーに届けるアーティスト。高校生の時にリリースした1st EP『Mr.mind』が、そのクオリティの高さから注目を集める。
2019年12月にリリースした自身初の1st フルアルバム『Fantasy club』は、デジタル配信サイトを中心にヒットとなり、Apple Musicの「ヒップホップ/ラップ」チャートでは1位を獲得。また、同作品収録の楽曲「Hug feat. kojikoji (Album ver.)」のミュージックビデオは、YouTubeで600万再生超えの大ヒットとなる。
さらに、2020年2月から全国5箇所(仙台・東京・福岡・名古屋・大阪)を回る1st アルバムを引っさげた『Fantasy club』Release Tourは全会場即完売と、音源だけでなく、ライブも非常に勢いのあるアーティスト。

Official HP: https://sorane-official.com/
Instagram:https://www.instagram.com/sorane_c6c/?hl=ja
Twitter:https://twitter.com/0_sorane_6
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC8Y1nNewUZPAoBTKGAbPl1A

【NOT MADE IN PARIS】

NOT MADE IN PARIS ( by 60% ) は、アジアのストリートブランドを集めたオンラインセレクトストアSIXTYPERCENTが展開するオリジナルブランド。アジアのストリートブランドを象徴しており、ベーシックなライフスタイルアイテムやストリートテイストのアイテムを展開。

【NOT MADE IN PARIS 取り扱いサイト】

SIXTY PERCENT (シックスティーパーセント)

アジア10カ国70ブランド以上のハイストリートブランドを厳選したセレクトストア。世界のコレクションに軒を連ねるハイブランドや、アジア国内で人気の高いスケーターブランド等も取り扱う。”NOT MADE IN PARIS”という象徴的なロゴをスローガンに掲げ展開を行う。

サイト:https://www.sixty-percent.com/