【インタビュー】新アルバム”H.U.E. ”で体現する NOISEMAKERが混沌から掴んだ色「全てがリード曲を超越する」

7/1に自身7作目となる新アルバム『H.U.E.(ヒュー)』をリリースしたNOISEMAKER。コロナ渦始め、混沌とした社会に異議を唱える本作は、よりコンセプチュアルなテーマをアートに昇華。”常に前作を超える”彼らの更なる挑戦を、多彩なフィジカルで味わう事が出来る。
今回は、AG(Vo)とHIDE(Gt)にインタビューを実施。彼らが説く予測不可能なアウトプットとその先を、本記事で読み解いて欲しい。様々な活動が制限されつつある今、彼らが独自の音楽性とクリエイティブで可能にするエンターテインメントとは?

-7/1にリリースされた最新アルバムH.U.E.(ヒュー)ですが、前作に比べ、よりコンセプチュアルな印象です。アルバムのテーマやコンセプトの構成はずっと練られていたのでしょうか?

AG(Vo):曲自体は溜めてて、そこからピックアップしてアルバムのバランスを整えました。制作におけるテーマは変わってないですね。前回のアルバムを超えるようなもの、前とは違う音楽を作っています。

-コンセプトの1つ“この社会による変化”に関して、図らずともコロナなどの現社会の状況とマッチしたと?

AG:そうですね。この状況があったから、このタイトルにもなったというのもあります。ベースは、生きてて自分がリアルに経験したり感じてることを素直に書いているイメージです。いつかこの日々が良くなっていく、ポジティブなアルバムになっていると思います。

-「Better Days」のゴスペル調の出だしがかなり印象的でした。

AG:最初はゴスペルを入れようと思っていなかったんです。後ろに楽器の音が入ってたんですよ。試行錯誤して、試しに手拍子を入れた時に、映画”天使にラブソングを”の様なイメージが湧いて、ゴスペルシンガーに頼んだらいいんじゃないかって。

-歌詞でも素直な言葉が直接響く印象があり、この状況に刺さる人が多いのかなと。英語と日本語の歌詞の住み分けはどの様にされているのでしょう?

AG:日本語はその曲の意味をできるだけシンプルに伝えられる言葉を選んでいます。尚且つ英語と同じく、韻や響きを統一させていますね。日本語と英語を両方入れる事が、凄くハイブリットだと自分の中で思っているので、そこはバンドとしても武器だと思っています。

-因みに、今回のアルバムで意識したポイントは?

AG:無意識という意識です、つって(笑)。NOISEMAKERの基盤は変わって無いんじゃないかな。NOISEMAKERというバンド名がジャンルに囚われないというか。音楽を作る上で挑戦的でありたいですし。意識みたいなものは、実験的な音楽から派生するのかな。

-“前作を超える”一種の実験をされていく中で、衝撃を受けた楽曲はありますか?

HIDE(Gt):良い意味で全員割れるんですよ。アルバムやEPだとリード曲を決めなきゃいけないじゃないですか。メンバーみんな、全部がリード曲だと思って作ってるから、それぞれに自信があるんです。今回アルバムを作るのに20〜30曲作ってその中から選んでるから、全部200%衝撃的ですね。

https://www.instagram.com/p/CBDJtHrj3qw/

-InstagramにレコーディングムービーをUPされていましたが、今ライブが厳しい中で新しい音楽の形や発信方法が生まれるタイミングでもあると思うんです。バンドとして今後の楽曲のアウトプットの構想などはありますか?

HIDE:多分、はっきりとは誰も見えてないのかな…。でも普通に戻るまで、何もしないのはまた違うと思っていて。配信ライブもある中で、僕たちはアートの面でもアウトプットをしていこうかなと思っています。自分たちで出来ることからしていこうかなと。

AG:難しいですよね。でもこのマイナスなことをプラスに変えるのが、チャンスにならないかなって凄く考えてます。

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–アルバムの初回盤に付属するカラーフィルターを通して、様々な視点が見えると。そこもアートに
付随する音楽の新しい形ですよね。

HIDE:このフィルターを通すとジャケットも表情が変わりますし、歌詞カードも日本語訳、英語訳それぞれを楽しめる様になっています。

-こういう期間が続くと、リスナーも受け身になりがちじゃないですか。本作はフィジカルでも工夫をされていて、リスナーの方々も主体的になれるのが凄くいいなと。

AG:実は、MVもフィルターで見れるようになってるんです。最後の結末を皆さんが選べるので、めちゃくちゃ主体的ですよね。

-なるほど。CDの付加価値がリアルにも繋がって、面白いですね。

AG:こういうのを作れたら、CD以外にも派生して行きますよね。色んなポスターとか、マーチグッズとか、1つのバンドの世界観になって面白いと思います。人の見る目によって、悲しいものが楽しく見えたり、楽しいもの悲しく見えたり。ジャケットの絵も何かを通すと変わって見えるというのを伝えたかったんです。コロナで人々がお互いを叩き合う中で、相手の立場で見るとまた考え方も変わるし、メディアの情報ばかりキャッチしたら見え方が固まってしまう。何を通して見るかという事で、感じ方や人生は変わるということをアルバムで体現できると思います。

 -受け取り手も多様化していくと。

AG:もう何が本当か嘘か分かんないじゃないですか、メディアによっても食い違いがありますし。やっぱ何を通して見るかで本当に捉えられるものが変わると思いますね。

-ラスト2曲「Because」と「SILENCE」はそのメッセージ性に加え、ストーリー性が表現された流れになったなと。

AG:そうそう、ドラマになりますよね。そういうのを意識して曲順は決めています。曲順の決め方も難しくて…。今はもうサブスクの時代じゃないですか、だから1曲目から順番に聴くっていうのがなかなか無いと思うんですよね。

HIDE:あー、そうだな。サブスクに寄せる感覚も持ち合わせて行かないといけないですよね。最近よく見ますけど、1曲ずつリリースした方が有効なのかなって思ってもいます。それが溜まったらアルバム作ってを繰り返した方が、より1曲1曲をしっかり聴いてもらえるのかな。

-先ほども仰っていた、アルバム収録曲全てがリード曲として成立してる中で、アルバムとして楽曲をリリースする意義は何でしょうか?

HIDE:めっちゃぶっちゃけて言うと、あまり無いかも知れないですね。作っている僕たちの本音を言っちゃうと、”リード曲決まりました、あと5曲入れよう”というのは謎なんです。もう全てがリード曲を超越するので。

AG:そうそうそうそう!

HIDE:”アルバムの最後の曲”という認識じゃ無くて、全部の曲でMV作りたいし、全部の曲を皆さんに聴いてほしいんです。CDに入ってる1曲目か2曲目かってだけなんですよね。それだけのはずなんです。

-本作で”制作”において印象的だった楽曲は何でしょうか?

AG:俺は「Better Days」かな。ゴスペルシンガーの方と一緒に歌ったのが印象的でしたね。

HIDE:呼んだはいいけど、イメージと違ったらどうしようとか。俺たちも、シンガーの方もどうなるのか、お互い不安でしたね。

AG:結果、めっちゃハマったよね。ゴスペル要素をロックバンドが取り入れるのもなかなか無いし。NOISEMAKERは、新しいことをやる恐怖を全部取っ払っていっちゃうんで、良い意味で突き進めましたね。みんななんの抵抗も無かったですし。

HIDE:100曲あったら1曲ぐらい実験するって考えて作るほうが気楽かもしれないですね。バンドがこういう曲やらないっていう固定概念はもう古いと思うし。根本的にしっかり土台はあるから、絶対ダサくもないし。逆に土台が無いとダサくなる可能性はありますね。

-更に新しいことへ挑戦するフェーズが始まったというか

AG:このアルバムでまた1個、ノイズメーカーの新しい扉が開けたんじゃないかな。

-もう毎回開いちゃってるイメージです。重いドアが開いていますよね。

AG:毎回開かないと多分ね、生きてけない(笑)。

HIDE:もう、辛くて辛くて…。その重いドアが(笑)。

-過去を享受するだけでなく、今リアルタイムで新しい音楽が生まれる事が嬉しいです。

HIDE:嬉しいですね。全然知らない人に、ノイズメーカーってどんなバンドですか?って聞かれたらなんて答えます?

-どんなバンド…難しいですね。鋭い…。楽曲もビジュアルもいい意味で尖ったイメージがあります。NOISEMAKERのこれまでの楽曲を超えるというのも、ただ前進するだけでなく、一種の鋭さが必要なのかなと。

AG:鋭い(笑)、かっこいいな。

HIDE:その答えが鋭いぐらい、面白い(笑)。客観的にどう見られてんのかなって不思議に思うんです。僕たち好き勝手やってるじゃないですか…(笑)。

-逆にお2人の回答は…?

AG:広い意味で”ロック”って言います。でも、ロックバンドって言ったら伝わんないですよね。ロックって沢山あるから、それじゃイメージ出来ないのかな。

-精神的にも、チャレンジ的にも、色んな解釈をした上でのロックですよね。楽曲だけでなく、そう言った挑戦的な面にもNOISEMAKERの魅力が詰まっていると思います。最後に、ファンの皆さんに伝えたいことありましたら、お願いします!

AG:聴いてくれる人に「皆踏ん張ってこう」って伝えたいですね。俺らは、良い音楽を作り続けます。いつかこのアルバムを提げてライブをして、みんなと歌うとこを楽しみにしてるんで。この時間をいい機会だと思って、ライブの予習もしてもらえたら(笑)。世の中もネガティブなことばかりピックアップされがちだけど、ポジティブなものにもフォーカスして踏ん張っていきたいですね!

HIDE:マジで同意見です(笑)!

Photographer:Maho Korogi
Interview&Text:Ayaka yoshimura

【リリース情報】

7th mini album 「H.U.E.」 (読み:ヒュー)

発売日:2020年7月1日

初回限定盤(CD+ORIGINAL COLOR SHEET+SPECIAL ART&PHOTO BOOK)
品番:VPCC-86337 / 価格:\3000+tax

通常盤(CD ONLY)
品番:VPCC-86338 / 価格:¥2000+tax
収録曲:
1. Spineless Black
2. Better Days
3. THE ONE
4. MAJOR-MINOR
5. MY TIME
6. Because
7. SILENCE

【NOISEMAKER プロフィール】

札幌にて結成。AG(Vo)、HIDE(Gt)、YU-KI(Ba)、UTA(Dr)からなる4人組オルタナティブロックバンド。 パンク、ロックに留まらず、HIPHOPやR&B、グランジ、オルタナなど様々なジャンルをクロスオーバーした自由度 の高いサウンドに支持を集める。“ROCK ×ART”を信念に掲げ、アートワーク、デザイン、サウンドメイクなど全て をセルフで行い”日本一のDIYロックバンド”とも評される。 結成以来、「ROCK IN JAPAN FES」や「SUMMER SONIC」、「OZZFEST JAPAN」、「COUNTDOWN JAPAN」、 「JOIN ALIVE」、「SATANIC CARNIVAL」など、全国各地の大型フェスに出演。シンガポールや台湾など海外の音 楽フェスへの出演や、中国ツアーの開催、ENTER SHIKARI、Hoobastankをはじめとして、海外のビッグアーティス トの来日公演のゲストアクト出演実績も多数あり、海外からの評価も高い。

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