POSTED ON 2020年7月28日 1 MINUTE READ BY Ayaka Yoshimura
アジア各国のファッションデザイナーに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を探る新企画。感度の高いデザイナー達が集うローカルのカルチャーシーンから、アップカミングなアイコン達を探ってみよう。
第5回目はベトナム・ハノイ発のストリートブランドHBS(ハノイボーイズスワッグ)から、ブランドマネージャー・共同オーナーのLinhが登場。ベトナムの地で”ストリートブランド”を発起させた彼らの心得とは? 観光スポットからファッション市場まで、ベトナムのドープと共にご紹介。
-こんにちは!お久しぶりです!
こんにちは!お久しぶりですね!日本のコロナの状態は大丈夫ですか?
-第2波に近い感染者数になっている状態ですね…。ベトナムはどうですか?
ベトナムは大丈夫です。ほとんど全てが通常営業にもどっていますね。ただソーシャルディスタンスはそのまま維持し続けています。
-いいですね!アジアでも順調に回復しているのは、まだベトナムだけなんじゃないですかね?
自分の海外在住の友人も実はベトナムに滞在しているのですが、もう自分の国には戻りたく無いって言っていますね。
-楽園扱いですね(笑)。
わたし的には早く東京が落ち着いて、遊びにいきたいなと思っています。
-そうですよね!お会いできる日を楽しみにしています!本企画「アジアンストリート」は、アジアの有名デザイナーやディレクターに、その人からみたローカルな人気スポットやその国のストリートウェアマーケット、HIP HOPの実情を探る新企画になっています。今回Linhを(Hanoi Boys Swaggの共同オーナー)ゲストに迎えることができて嬉しく思います。それでは、早速ブランドの背景や概要について紹介いただけますか?
HBSは2011年にブランドとしてではなくチームとして設立しました。単純にファッション・音楽・アートの趣味を共有するチームとして過ごしていて、2015年にこのグループを、HBS ( Hanoi Boys Swagg = ハノイボーイズスワッグ)としてローカルブランドに確立することを決めました。
-Linhについてはどうでしょうか?ファッション業界でのご経験など聞かせてください。
HBSは今、自分と旦那であるファッションデザイナーと経営していて、自分はブランドマネージャーとして活動しています。二人とも幼い頃からファッションが好きでブランドを立ち上げたい意識はあったのですが、自分たちの両親が反対していて、その反骨精神もあってブランドを立ち上げました。自分は他のファッションの会社で5-6年ほど同時に働いて経験を積みましたね。
今までのHBSのデザインはアメリカや欧州のデザインをメインにトレースした形が多かったのですが、最近はベトナムのカルチャーを自分たちのデザインに落としています。これまでに得てきた経験を元に、自分たちのスタイルに落とし込みたいという意思の表れです。
-HBSならではの欧米スタイルとベトナムのデザインをMIXしたという感じでしょうか。
そうですね。今年になってそこをよりフォーカスして展開するようにしています。デザインを通じてベトナムを知って欲しいという意思ですね。
-ブランドをオーガナイズする立場として苦戦したことなどはあるのでしょうか?これまではデザイナーの方へのインタビューが多く、あまりディレクターの立場の方の意見をお伺いする機会が少なかったので気になります。
もちろん!毎年目まぐるしく色々なことが起きてしまうので(笑)、やはりスタッフの育成が鍵だと思っています。HBSでは自分がスタッフのコントロールとブランドの経営を行っています。大学からずっとビジネスを勉強していたのですが、やっぱり勉強と実践は全然違いますね。自分の経験値が全てなので、他のブランドと自分のブランドを兼ね合わせてどう正解を作っていくかが大切だなと思っています。
-2つブランドを仕事にするということも、経験を2倍にできていいということですね。
自分のリミットとの戦いですね笑
-自分のリミットを高めるとはすごいですね!後、ベトナムのカルチャーシーンに関してお伺いしたいです。Linhが思うベトナムのDOPEな場所などはありますか?
ベトナムは本当に色々なオススメな場所がありますが、ハノイでいうとOld Quarter 36 Streetという場所がとても有名です。100年の歴史があるストリートで、各通りごとに違う商品を売っているんです。あとはハノイの鉄道はとても有名ですね。ものすごく狭い所を走って、その鉄道道路の上にカフェをおいていたり席をおいていたりするんです。めちゃめちゃ怖いですが、今は観光客が集まる場所にもなっていますね。
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-ハノイの鉄道は有名ですよね!維持し続けているのは観光客がいるからなんですかね。
カルチャーや歴史を残すという意味でもハノイの政府が意識的に残し続けているといるんだと思います。これはホーチミンでも見ることができない景色なので…。
-前お会いした時も、ハノイはCOZY(心地よい)場所といっていましたもんね。
そうですね!ホーチミンは人通りも多く騒がしい印象ですが、ハノイはChillを求めて集まる場所になっています。
-ベトナムのストリートウェアシーンのこれからについて、教えてください!
ベトナムのストリートウェアスタイルは毎年止まることなく変化していると思います。顧客が求めるクオリティレベルも向上していますね。なのでローカルブランドは今どこもクオリティフォーカスという感じですね。
ベトナムはまだ新興マーケットで若いということもあるので、我々が先陣にたってファッションやストリートスタイルを提唱していく必要があると思っています。
あとベトナムはFacebookグループが盛んで、ファン同志でFacebookを作る傾向にあります。お互いのスタイルを共有して、どのアイテムが人気かなどをFacebookで公開しています。ここからスタイルのノウハウなどを得ていますね。
-ベトナムのお客さんは金額を気にせず、ハイクオリティなアイテムを購入する傾向にあるのでしょうか?
近年はそうですね。お金をファッションに費やすようになっています。今までは見た目だけでしたが、触り心地も追求するようになっています。
-なるほど。HBSを考えると、他のローカルブランドに比べたら金額が高めですよね。でもカルト的な人気があるのは、あえて価格帯をあげているのでしょうか?それか、あえて価格帯をあげて顧客を提示する金額に届かせようとしているという感じでしょうか。
少し高めの価格帯にあえて設定しているところはありますね。高品質を追求すると、価格帯に結構満足してもらえる場合が多いです。22〜30歳をターゲットにしているということもあるかもしれません。
またラインを、通常ラインとコラボライン(高価格帯)に分けているのもブランド戦略的に成功している例かなと思います。ベトナムでも限定品に対しては高価格でも購入したい意識は変わりませんし…。あと転売も最近盛んです。限定品を購入して高く売るということは今では当たり前になっています。
-2nd マーケットのようなものがあるのでしょうか?
ありますね。Facebookなどで展開もしています。2-3年前のコレクションのものが限定品扱いとなって、今では10倍の金額になっていたりします。ベトナムでは、何が「HYPE」なのかをInstagramやFacebookで探るようになっています。
-HBSは既にそういう意味で、カルト的ファンを作ることにも成功しているように見えますね。
そうであって欲しいなと思いますね。
-ちなみにベトナムの人はストリート系の情報をどこで入手しているのでしょうか?というのも、例えば韓国で言うとブランドのインスタにも、どのインフルエンサーが何を着ているのか載せていて、日本のブランドとはまた異なるアプローチをしているなと。
ベトナムは韓国と同じですね。トレンドであったり何が流行しているのというのをインフルエンサーの着用プロダクトが正として判断していると思います。アイドルやセレブが来ているSNSの情報を元にアイテムを購入しますね。日本はどうなんでしょうか?
-日本も同じといえば近いんですが、KOLなどを使うブランドと、もともと歴史のあるブランドはインフルエンサーでは使ってないと思いますね。
質問があるんですけど、例えば日本のブランドがプロモしたいときは予算を使って有名な人をアサインするのか、通常のモデルを使うのかどちらなんでしょう?
-日本の歴史的なブランドで言うと、別に有名かどうかは関係なくモデルを起用していると思います。でも歴史のあるストリートブランドは芸能関係者とのコネクションがあるのでスポンサーなどをうまく活用してしていると思いますね。
見せ方の違いというか、著名なブランドは面はブランディングに、裏で芸能をうまく活用している印象ですね。
なるほど。ベトナムはそういう意味ではインフルエンサーによっているかなと思いますね。若い世代にアプローチするには欠かせない要件になってますからね。
-HBSのアイテムは基本的にFacebookを中心に購入があるのでしょうか?
Faebookでアプローチはしますが購入はサイトとFacebookの両方ですね。アテンションと言う意味でFacebookを使用しています。
-日本や韓国はあまりFacebookは使わないので、そこは結構違いがありますよね。
これまでベトナム人は全然インスタを活用していなかったので、いまだにFacebookに帰属している要因でもありますね。
-ベトナムがHIPHOPミュージックと近い関係かは分かりませんが、HIPHOPも聴かれますか?
もちろん!ベトナムストリートもHIPHOPミュージックは重要なのでよく聴いていますが、HBSは実はジャズを中心にChilな雰囲気を演出するようにしているんです。HIPHOPも混ぜながらジャズをベースに店舗の音楽も構成しているんです。
-ジャズとHIPHOPを混ぜるんですね。ストリートと言うとやっぱりラップやHIPHOPベースが中心なのでジャズの曲をバックミュージックにするのはユニークなアイデアですよね。
そうですね。ChilとHIPHOPを混ぜて新しい環境作りができればと言う感じですね。
-ここまでビジネス面やら色々聞いていましたが、Linhは旦那さんと共同で会社を経営されていると言うことで、何かパートナーとの議論などはないんですか?
それはロングストーリーですよ(笑)。このインタビューだけじゃ語りきれません(笑)。
私はビジネス面でブランドを見て、パートナーはデザイン面でブランドを見るので、ディスカッションは果てしないですね…。でもまずは相手を尊敬して、話を聞くことが大切だなと思っています。”NO FIGHTING”って言ってから仕事してます笑
-お互いにパッションがあったら衝突は仕方ないですよね。勉強になります(笑)。心理学というか、人生哲学的な話になっちゃいましたね。
どんな仕事だろうが相手とのコミュニケーションは仕事の本質ですね(笑)。
【HBS(ハノイボーイズスワッグ)】
ベトナム・ハノイ発のハイエンド ストリートウェアブランド。 リフレクティブ素材や他にないエッジの効いたカラー展開やビジュアルを活用することで話題に。 ストアオープン時には300人を超える列ができる人気ブランド。
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