【10年後も聴くであろう個人的名曲】サグワがフィジカルで積み上げる 7曲への愛着

国内外で活躍するアーティストやクリエイターに、テーマに沿ったプレイリストを作成して頂く連載企画。今回は、HIPHOPグループ『Amaryllis Bomb』・YouTuberとして活躍するサグワが登場。「10年後も聴くであろう個人的名曲」をテーマに7曲を選んで頂いた
音楽とYouTube、両軸のフィールドで、社会の瞬きを切り取り続けるサグワ。弱冠22歳ながらに抱く”鋭さと無垢さ”が、選曲にも反映された様に感じる。彼が選ぶ7曲の中に、今後のあなたの財産となる楽曲があるかもしれない。

-今回「10年後も聞くであろう個人的名曲」をテーマに7曲お選び頂きました。選曲する上での基準は何かありましたか?

誰が聞いても面白く感じたり、共感できたりするような”聴きやすい”楽曲を基準にしました。マニアックな所を責めるよりは自分が改めて聴いて”いいな”と思えるように、有名どころから選んでます。どれも一度はライブでその音楽を体験していて、その中でも強く印象に残っている7曲です。

1. i / Kendrick Lamar

洋楽にハマるきっかけをくれたのが「i」です。4年前にこの曲を聴いて、サウンド感・バラエティ感がこれまでで一番胸に刺さりました。2年前くらいのフジロックのグリーンステージに出演していて、最初は何となく後ろのブロックで観てましたが、ライブ終わって気づいたらステージ先頭にいたんですよ。

-ライブでの音楽体験があって、フィジカルにも感動が刻まれているんですね。

Kendrickが神様に見えましたね。バラエティ感とラップの引き出しの多さが魅力で、一番心を動かされたアーティストです。何十年先も聴くと思いますね。

2. Wild for the night feat. Skrillex & Birdy Nam Nam / A$AP Rocky

この曲はHIPHOPの固定概念ぶっ壊した名曲だと思います。これ面白いのが、元々Birdy Nam Namってフランスの3人組のDJクルーとSkrillexがフィーチャリングで「Goin’ in」っていう曲を出してるんです。そのトラックをそのままA$APがやりたいって入ってきて…いろんなアーティストが参加する事によって曲がレベルアップしてるんです。「こんなメロディーありなんだ!」ってテンションめっちゃ上がりました。

-ご自身で楽曲を作るときに影響受ける部分はありますか?

影響を受けやすいので、なるべく受けないように頑張ってます…。けどやっぱり、Amaryllis Bombとしてやる時は、トラックメーカーも最新のトラップ感を出してくるので、なるべくトラップ寄りな感じはします。個人でやる時は、最先端を狙うより自分らしさ、バックボーンをインプットすることを意識してます。

3. LOVE / C.O.S.A. x KID FRESINO

J-HIPHOP感やエフェクトがかかってる”エモい系”が好みで、その中でも10年後も聴き続けてると思うラップは「LOVE」。リリースのタイミングで知って、それから円盤が擦り切れるほど聴き込みました。それでも今も定期的に聴いちゃうんですよね。どこかで流れてるし、誰もが知っているので、この曲自体に思い出が重なっていく感じです。聴く度に当時の出来事を思い出しては仲間内で話せるので、10年後も何回も聴いてるかな。

-経験としてフィジカルに詰まっていくものが10年後も聴く曲なんですかね。

そうですね。仲間内で同じ曲を聴いてると、”去年これ聴きながらこんな遊びしたよね”とか、”ここ行った時に車の中で聴いたよね”とか。普通に話してると思い出せないけど曲を聴きながらだとフラッシュバックする。音楽ってそういう力があるんだなと。

4. No Problem feat. 2 chainz & Lil Wayne / Chance The Rapper

HIPHOP好きじゃない人でも聴けば「良い」と思う曲だし、Chance The Rapper自体がネットラッパーみたいで俺ら(Amaryllis Bomb)とも通じるものがあると思って選びました。実はChance The Rapperが出演したサマソニのアフターパーティーに潜入して直接話したことがあるんです。俺は英語話せないので、ここは日本語をぶつけたほうが「こいつ面白いな」ってなると思って、クラブでガンガン曲が流れている中で大きな声で「こんにちは!いつも聴いてます!」って言いました(笑)。でもちょうど曲のブレイクのタイミングで、俺の言葉がめっちゃクラブの中に響いちゃって…そしたら「ありがとう」って返事してくれたのでパンチラインは残せたかもしれないですけど、超恥ずかしかったです(笑)。

-4年前から海外のアーティストを聴き始めて、新しいものをどんどん発掘されてるんですね。

まだまだ足りないとは思うので、なるべくいろんな曲は聴くようにしてます。自分がYouTubeをやってるのもあって、映像と音楽が一体になってる”MV”が一番印象に残るんですよね。Chance The RapperのMVも凄い良かったし、A$AP RockyもMVの作り方はヤングアイコンすぎて皆んな真似してるじゃないですか、だからそういう意味で彼らは自分の中ではヒーローかもしれないです。見せ方が上手いって思う人ばかりですね。

5. Devastated / Joey Badda$$

リリック的には、「成功するまでには忍耐力が必要だった」「耐えて続けてきて俺はここまで行ったぜ」みたいな曲です。継続することや、自分の中の色々なものを破壊しつつ前に進まないとダメっていうのをこの曲は言っていて、教訓のように刺さります。俺は自分の夢や目標が叶った瞬間に、絶対この曲を聴いて酒を飲みたくて…。

-今後節目でこの曲を聴きたい目標はありますか?

それは話長くなりますね(笑)。僕をずっとチェックして欲しいですし、この曲が全てを物語っていると思います。教訓でもありますし。もちろん節目にも聴きたいし、挫けそうな時は背中を押してくれる、ある種のお薬的楽曲ですね。確実に20年、30年後も聴いてると思います。

6. Mana Bling / Abhi The Nomad

これは、2年前くらいに最低な先輩が教えてくれました(笑)。その人のことは大っ嫌いですけど、この曲はハマりましたね。ドライブでも、朝でも、夕方でも、クラブでも聴きやすい、シーンをあんまり選ばない曲です。嫌いな先輩に教えてもらったから「うわ〜」って思うけど、良いから聴いちゃう。これもだんだん思い出が重なって行った曲の1つです。

7. ダメな奴 / 紅桜

この曲は5年前、俺がHIPHOPを始めるタイミングで聴いていた楽曲です。やっぱ俺も日本人だし、紅桜の日本人臭みたいなオーラにそそられます。10年後もここまで男臭くて日本男児感があるラッパーはきっと生まれない気がしてて、紅桜は唯一無二の日本語ラッパーだと思ってます。誰にも真似できない日本男児の心を持って、ストレートでソウルフルなラップが堪らないですね。

-今HIPHOPは第三世代で、ブラックカルチャーから影響を受けた上の世代よりもストレートさが珍しくなってるとか。

そうですね、俺たちAmaryllis Bombもトラップ中心にやってます。正直、音源も動画も誰でも作れる時代で、どうやって自分を表現をしていくかが今後の課題です。逆に、スマホ1個でも食らわせられるラッパーっていうのも目標ですし…。唯一無二な紅桜のようなスタイルは万人受けでは無いかもしれないですけど、お金じゃ変えられない価値があると思いますね。俺みたいに、紅桜に影響を受けて何かをスタートした人もいますしね。「こいつカッケー!」って思われる人が表現者なのかなと思います。

-Amaryllis Bombの楽曲で、10年後も聴き続ける楽曲はありますか?

俺らはまだそこに達してないと思います。「うわこれヤベェ!」「全身毛穴開くぜ!」みたいな曲を、まだ自分の感覚では作れてなくて、それは今後の課題ですね。今までは直感的に作ってましたが、もっと、どうやって音楽で人の心を動かすかを考えていかないといけないですね。

-最後にAmaryllis Bombとして、サグワさんとして音楽活動の目標はありますか?

今の目標は、YouTuberの枠を超える第一歩を踏むことですかね。今までYouTuberという色眼鏡で音楽が見られてたけど、ストリートだけやっていた人もYouTubeを始めてて、俺たちの受け止められ方が少しずつ変わっていると思っています。だからこそ、9年10年YouTuberやってきた俺たちはその枠を一歩超えないとダメなんだと感じてます。だから音楽だけで競うのではなく、一曲一曲を大事に育てていくように、円盤や動画、サブスクっていう表現の場をうまく選んで魅せることができたら良いなと、今後の課題として考えています。

プレイリストはこちら

Photographer:Maho Korogi
Interview&Text:Ayaka Yoshimura
Edit:Risa Sato

【Amaryllis Bomb】

東京を拠点に活動するHIPHOP Group『Amaryllis Bomb』。
2014年に東京都出身当時18歳のYUKONと大分県出身当時16歳のSAGUWAで結成。

これまでにSingle 2枚、ALBUM 4枚をリリース。結成時から精力的にライブ活動を重ね、春のツアーファイナルでは赤坂BLITZ
冬にはZepp Diver City Tokyoでワンマンライブ、3度の全国ツアーは大成功に収めた。
全国各地のクラブイベント等、ゲスト出演のオファーも絶えず、彼らのステージパフォーマンスは各方面から熱い視線と注目を浴びる。

2018年 春の全国ツアー後よりDJ KOUKI が正式加入。そして同じく2018年 冬、音楽性と活動の幅を広げさらなる進化を遂げる為、独立。

HP:https://amaryllisbomb.com/
サグワYouTube:https://www.youtube.com/user/saguwadaiari/featured
twitter: @saguwa.com
Instagram : @ab_sgw_ab