POSTED ON 2020年8月26日 1 MINUTE READ BY Ayaka Yoshimura
アジア各国のファッションデザイナーに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る新連載企画。感度の高いデザイナー達が集うローカルのカルチャーシーンから、アップカミングなアイコン達を探ってみよう。
第7回目は3POINTER(スリーポインター)の創業者であるHEID(ヘイド)が登場。台湾のストリートカルチャーを牽引するストアを長年経営する3POINTERから台湾のファッション市場について話を伺った。
Nana :まずは、3POINTER(スリーポインター)の紹介をお願いします!
HEID : 私の名前はHEID(ヘイド)です。台湾で3POINTERというショップを運営していて、ファッション業界で働き始めてかれこれ20年になります。「3POINTER」という名前の由来をよく聞かれるのですが、3POINTERは自分が20年ファッション業界で働いて感じていた成功する上で不可欠な3つのキーポイントを意味しています。それは、Product (プロダクト)、Innovation(イノベーション)、Servise(サービス)です。この3つを追求することが大切だなという自分の意識から、3POINT→3POINTERという名前を付けました。
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Nana : 成功に必要な3つの要素ということですね。
HEID : 仰る通りです。3POINTERはバスケットボールにおいても意味を持っているじゃないですか。一番難しいシュートポイントだけど、最もポイントを獲得できるので。
Nana : そうですよね!私も3POINTERはバスケットボールから由来しているのかと思っていました。
HEID : そうですね。2つ意味を持つので、この名前にしようと思って名付けました。
Nana : 先ほど約20年程ファッション業界で仕事をされていると言っていましたが、具体的にどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?
HEID : 自分の初めての仕事は、18歳の頃スタートしたビンテージのショップ店員です。デニムから感じる年代の違いやボディの違いなどを楽しいと感じるようになってきたのがこの頃ですね。当時日本のポップカルチャー<原宿カルチャー>がアジア全域で流行していて、私もA BATING APE(ベイジングエイプ)やUNDER COVER(アンダーカバー)などが大好きで、自分のファッション熱を高めるきっかけになりました。当時はストリートスタイルしか知らなかった自分がいた中で、仕立て(テーラード)についても学んでいきたいなと感じて仕立てを学べる大学に進学しました。
Nana : 仕事を辞めて大学に行ったのですね!
HEID : そうなんですよ。大学を卒業した後は、とある台湾ブランドのディレクターになって、そこでファッション業界のプロセス全般を経験しました。その時から、自分だけのブランドを立ち上げる事が自分の夢になっていて、2014年にやっと自分でブランドを立ち上げることができました。その後、3POINTERを立ち上げたのが私の経歴になります。
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Nana : 今もご自身のブランドは3POINTERで売っているのですか?
HEID : いいえ、自分のブランドは既に売却してしまっていたので3POINTERでは取扱をしていないです。でももう一度自分のブランドを3POINTERの中で立ち上げたいなと思っています。3POINTERは現在台湾に2店舗あって、1店舗はまだ立ち上げて日が浅いので、店舗のオペレーションが落ち着いたらブランドを立ち上げようと思っています。
Nana : 2店舗もあるのですね。それではここで、HEIDさんが思う台湾のお勧めのスポット・場所を教えていただきたいです。
HEID : ナイトマーケットですね。台湾のナイトマーケットは世界的にも有名なんですよ!行ったことありますか?
Nana : 私は1回もないですね!でも台湾のナイトマーケットについてはよく耳にします。
HEID : 台湾というと台北が主力スポットとして押し出される事が多いですが、ナイトマーケットは台南が生み出したカルチャーで、自分は台南に住んでいるのでまさにドープなスポットだと思っています。日本にナイトマーケットの文化はあるのでしょうか?
Nana : 日本にはナイトマーケットという概念はないですね!類似するマーケットはありますが…。
HEID : ナイトマーケットは服を選ぶように食材を選んで、目でも舌でも楽しめるという意味で自分のおすすめの場所ですね。
Nana : 3POINTERの店舗も台南にあるのですか?
HEID : 3POINTERは今台南と高雄市の2箇所にあります。高雄市の店舗が新しい店舗で、そちらのオペレーションが落ち着いたら、色々仕掛けていきたいなと思っています。
Nana : なるほど。また、HEIDさんが思う台湾のストリートブランドの成長についてお伺いしたいです。
HEID : 台湾のファッションは成熟され始めていると感じていますね。といえど、台湾は新しいファッション市場で、ストリートファッションの歴史を知らないので、多様性が生み出されていないのが少々問題かなと感じています。
一つのスタイルが台湾全域で流行り、また次の一つのスタイルを追求する、というサイクルが作られているなと。まるでユニフォーム現象です。台湾の若者は、例えばNUMBER NINE(ナンバーナイン)など、歴史のあるストリートブランドを知らないのが原因だと感じていますね。
Nana : そうなんですね。私も数多くの台湾ブランドのディレクターとお話しする機会がありましたが、台湾のブランドは多様性に富んでいるとばかり思っていました。
HEID : そうですね、多様性自体はあるのですが、一方向に偏りがちは傾向はある市場だと思いますよ。なので、今ブランドを立ち上げる台湾の若者が歴史を学ぶ事が大切だなと思っています。
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Nana : なるほど。ここで3POINTERが取り扱っているブランドについてお話しをお伺いしたいのですが、SALUTE(サルーテ)・TWENTYONE AUGUST(トゥウェンティワンオーガスト)、SOC(エスオーシー)など主に韓国のブランドを多く取り扱っていますが、理由はありますか?
HEID : SALUTE(サルーテ)に関しては、自社で台湾の独占販売を行っていて、もう5年目になります。ファーストシーズンで3POINTERとのコラボレーションを展開して、その後も継続して台湾でプロモーションをしていますね。
これまで韓国や香港のブランドが台湾にポップアップを展開する際、3POINTERで誘致をすることが多くて、台湾にくる時はまだ有名じゃなかったブランドが、3POINTERでポップアップを行うことで有名になる、というサイクルが作れたらいいなという思いがあります。
Nana : 3POINTERの顧客はアジアのブランドであったり、韓国発のブランドに興味があるのでしょうか?
HEID : ありますよ!メイドインジャパンは勿論、チャイナ、コリアなど、自分のスタイルを様々な国のブランドを取り揃えるのが好きなのではないかと思います。
Nana : アジア諸国のブランドをオフライン(店舗)で取り揃えているのは、3POINTERが珍しいケースとしてあげれるのではないないでしょうか。
HEID : そう言ってもらえると嬉しいですね。韓国ブランドでいうと、2年前くらいからKPOPカルチャーがアジアをリードするようになりましたよね。台湾は本来<アメリカンカルチャー>が根強い市場だったので、韓国ブランドを台湾人へプロモートするのはかなり挑戦ではありました。ただ、幸いな事に韓国ブランドは成長スピードが早かったので、台湾も韓国のようなスピードを参考に、成長を遂げていけたらと思いますね。
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Nana : 韓国のブランドと台湾のブランドの違いは感じますか?
HEID : 品質の比較は難しいですが、韓国はテーラードスタイルやパターンがより独特ですよね。ただ、台湾も新しいデザイナーが続々出てきているので期待をしています。
現在、台湾の新進気鋭デザイナーは、世界のファッションウィークに出ていく傾向があって、これは過去我々が若い頃からしたら信じられないことです。台湾の政府は全くファッションに投資をしてくれないので、若いデザイナーに世界への挑戦をサポートしてほしいなと常に思います。韓国政府はすごいじゃないですか(笑)。
Nana : エンターテインメントへの投資とかですよね!
HEID : その通りです!ドラマへの投資、凄くないですか?テレビドラマや、今ではNetflixなど。Netflixで言うと台湾の人気ランキングも韓国の番組が独占しています!これは韓国政府が積極的にエンターテインメントやファッションに投資をしているからだと思っています。なので台湾ブランドは自分たち自身で世界に出るよう積極的に動いている印象ですね。
Nana : 台湾のファッションマーケットをリードする立場としてのお言葉ですね!
HEID : ありがとうございます(笑)
Nana : 最後に、3POINTERは、日本でのポップアップも検討されていますか?
HEID : もちろんですよ。すぐやりましょう!アジアのカルチャーを発信という意味では、3POINTERも60MAGAZINEに通じるところがあるので、是非何か一緒にやれたら嬉しいです!
【3POINTER】
台南と高雄に拠点を置く、世界中のストリートウェアブランドを扱うセレクトショップ。アジア各国の新鋭ブランドも扱い、台湾のファッショニスタのホットスポットとして支持を得ている。