【連載:アジアンストリート】バンコク発・PONYSTONE(ポニーストーン)創立者が貫く真のブランドカルチャー「SHOW ROOMなどの概念はもう、古いのかもしれない」

アジア各国のファッションデザイナーに、ローカルな人気スポットやその国のストリートファッション、HIP HOPの実情を、SIXTYPERCENTのブランドディレクター Nanaが探る連載企画。感度の高いデザイナー達が集うローカルのカルチャーから、アップカミングなアイコン達を探ってみよう。
今回は、タイ・バンコク初のPONYSTONE(ポニーストーン)から創立者のBOOMが登場。日本でも著名人始め人気を集めるギミックに凝ったアイテムは、デザイナー達によってどの様にブランド愛に包まれていくのだろうか?

NANA : 今回はタイで人気なPONYSTONE(ポニーストーン)のファウンダーであるBOOMをゲストにお出迎えしています。早速PONYSTONEの説明をお願いいたします!

BOOM : 私は元々スタイリストとしてSiam Square (サイアムスクエア)で働いていたのですが、スタイリストになる前はファッションデザインをロンドンの大学で専攻していたのです。というのも、私とてもずぼらなのでパターンメイクが大の苦手で(笑)自然と好きなシューティングワークであったり、編集作業であったりをするようになったのです。その流れからスタイリングを多く行うようになってから、自分ならではの「スタイル」が作られました。新しいルックだったり、新しい服というのを0から作るのではなくスタイルで作るというのが自分のPONYSTONE(ポニーストーン)創設のルーツになっていますね。スタイリストをしていた上で商業的なスタイリングをすることもありましたが、やっぱり面白くないな。と思ってしまうことも多々ありましたね。

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NANA : それはわかります。遊びが作りづらかったりしますよね。

BOOM : そうですね。収入はいいですけどね(笑)クリエイティブ性が失われてしまうなと。私がPONYSTONEを立ち上げた時はまだ奇抜で遊びのあるオリジナルスタイルがバンコクでは立ち上がっていなかったので、それといい店舗場所をサイアムスクエアで見つけたので、そのままブランドを立ち上げました。2週間で立ち上げたんですよ(笑)。

NANA : ブランド立ち上げようとしてから店舗展開まで2週間ですか?

BOOM : そうです(笑)友達に教えてもらいながらでしたが、すごく面白かったですよ。2009年に立ち上げたんですが、その頃は女性はかわいいフワフワしたアイテムを着ることが多かったんです。私や私の周りはフワフワしたアイテムが苦手で・・・。「ハイストリート」の領域も10年前は選択肢がなかったですね。

NANA : それで自分で立ち上げるしかない。となったのですね。

BOOM:そうです!

NANA : 先ほどスタイリストとして働いていたと言っていましたが、スタイリストとしての技術はロンドンで身につけたのですか?それともバンコク?

BOOM : 私は生まれがロンドンなのですが育ちはずっとバンコクです!大学の頃からかなりお調子者だったのでちゃんと大学には行けていなかったですね(笑)なのに2つも専攻をもっていたのでとてもハードな大学生活でした。結局そのあとマスターを取りにロンドンにいってから、またバンコクに戻ったという感じですね。

NANA : ロンドンのカルチャーも今のデザインに影響を受けているのでしょうか?

BOOM : そうですね。ロンドンは数年間でしたが自分のデザインに影響を受けています。

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NANA : PONYSTONEは日本でもかなり知名度のあるブランドとなっていますしね。ちなみにバンコクカルチャーをよく知るBOOMにとっての好きな場所はありますか?

BOOM : 1つは「チャトゥチャックウィークエンドマーケット」ですね。ビンテージアイテムがこの市場に集まっていて、この周りで学生がビンテージブランドを立ち上げるんですよ。サイアムスクエアが昔は小さなブティックが集まる所でしたが、今は巨大なモールがサイアムスクエアに建設されているので、カルチャーを作る所はチャトゥチャックですね。

NANA : ビンテージもタイでは結構有名なファッションスタイルなのでしょうか?

BOOM : 数年前はビンテージが流行っていますが、流行りのオン・オフが激しい印象ですね。一瞬で立ち上がって、一瞬で消えてしまうというような感じです。この5年はオンラインも活発なので店舗は消えていってしまっていますね。

NANA : PONYSTONEはオンラインブティックも活発なのですか?

BOOM : オンラインはそんなに力をいれていないですね。タイの人々はLINEで購入することが多いです。PONY STONEのアイテムは着方が複雑なので、LINEで質問をうけることが多いです。

NANA : 日本じゃLINEで商品を購入するのはむずかしいですね(笑)

BOOM : 日本はアプリやオンラインストアのレベルが高いからいいですよね。LINEでカスタマーへ回答するのは本当にハードですよ!三人スタッフが常備回答をしているのですが、それでも対応できていないですね。

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NANA : タイのファッション市場に関して、BOOMの見解はどうですか?

BOOM : そうですね。自分はあまり市場を見てはいませんが、商業的なアパレルに走らないように常に「本当に」アイテムを作っている人と一緒にいるように心がけていますね。ただ、実情でいうとタイの市場においてはSNSマーケティングをうまく仕掛けている所がうまく成長している印象ですね。SHOW ROOMなどの概念はもう古いのかもしれません。若い世代も本当に自分のやっているデザインが好きでいてほしいなと思っていますね。そこが自分でも気がかりな所でした。
タイだと、若い世代でもすぐにインスタでブランドを立ち上げる傾向にあって、実際どうやってブランドを経営するのかよくわかっていなくて好きだったブランドを途中でやめてしまったりするので。

NANA : PONYSTONEはどうしてタイの女性ブランドとして成功したと思いますか?

BOOM : カスタマーなどからの表現を真摯に受け止めることですかね。東京やパリでショールームをしていたのですが、その後メールやDMなどでアイテムのどこが好きだったとかフィードバックをもらうことが多くて。学生から手紙をもらったこともあるんですよ。辛い仕事もそういう声を聴けると頑張ろうと思いますし、学生から「今はお金がなくて買えないけど、いつか買いたい」と言われるとPONYSTONEのハイブランドなブランディングもうまくいっていると感じます。
「フリースピリット(自由な精神)」で、年齢関係なく、性別関係なくブランドが世界中で愛されていることを感じることができます。

NANA : 日本人のカスタマーが直接気持ちを伝えてくるというのは意外でした!日本人はとてもシャイなので…。倖田來未さんともコラボしていますよね!

BOOM : そうなんです。倖田來未さん側からご連絡いただいたんですよ。元々私たちのカスタマーでした。

NANA : 今後コラボレーションだったり、ポップアップだったりは考えていますか?

BOOM:中国からコンタクトがあったので、中国でショールームをする予定ですね。今小さいプロジェクトがタイでも行われる事が決まっているので、楽しみが多いですね。

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NANA : 最後に、BOOMといえば、音楽好きでも有名ですよね!何か自分がよく聞いている音楽などありますか?

BOOM : 仰る通り音楽は私のルーツです!(笑)タイで流行っている音楽はバラードばかりですよ。Broken Heartばかりです(笑)あとは「タイK POP」ですね!K-POPから影響をうけたものをタイ人が昇華している感じです。新しい音楽で面白いですよ!私は基本的にアップビートであれば何でも聞いています!プレイリストを作るのがめんどくさいので知り合いのDJからもらったプレイリストをオフィスで爆音で流しています。80-90年代のダンスミュージックも好きです!

NANA : 仕事しながら爆音で聞くんですね笑

BOOM : 音がうるさすぎてスタッフが帰っちゃったことがありましたけどね!それくらい自分にとっては音楽がルーツになっていますね!

NANA : (笑) PONYSTONEのカルチャー愛がよく伝わります(笑)長いインタビューになってしまいましたが、ご対応いただきありがとうございました!

BOOM : ありがとうございました!来月は国外移動もできるようになるはずなので、是非あいましょう!

【PONY STONE/ポニーストーン】

タイはバンコク発、デニムの新しい可能性に挑戦するブランド。 スタイリストとして活動していたPONYSTONEが自分が着たい服がどこにも無いのに気づき、 デザインを始めたのがきっかけでスタート。S/S2016コレクションより日本初上陸となり、今までどこにも見たことないような手の込んだ斬新にデザインしたデニムアイテムが魅力。