【21Questions】Novel Coreに聞いた21の質問「素直な感情を共有しつつ、良い作品を作っていきたい」

10月16日に配信されたシングル「SOBER ROCK」で、メジャーデビューを果たしたNovel Core。彼が所属するのは、SKY-HIが立ち上げたマネジメント兼レーベル「BMSG」。
今回はNovel Coreに21問の質問を遂行。HIPHOPとの出会い、楽曲制作の中で抱いたコンプレックス、そしてメジャーデビューを控えた今の心境など。Novel Coreが自身を称する“悪ガキ代表”という肩書とは裏腹に、繊細な感性を持った彼の思考に迫っていきたい。

Q1:まずはメジャーデビューおめでとうございます!これからNovel Coreさんの新しい一幕が始まるわけですが、その中で変えたくないスタイルはありますか?

全部ですかね……。ありがたいことにBMSGが、僕が僕であるための場所を作るよと言ってくださっているので、僕が変に変わる必要もないかなと。今後僕の中でこういう風に変わっていきたいという気持ちが芽生えてくる可能性もあるんですが、根本的な部分は変わらないと思います。パフォーマンスのクオリティを上げていきながら、今僕が思っていることを10年後はもっと分かりやすく、且つポップに伝えられるようになっていたい。それを目標に今はとりあえず頑張っていきたいです!

Q2:以前ブログで、1stアルバム「WCMTW」は自分自身のコンプレックスに向き合った作品と綴られていましたが、「WCMTW」リリース後からメジャーデビューにあたり心情の変化はありましたか?

そうですね、1stアルバムの「WCMTW」は初めての自主制作で自身への挑戦でもあり、ファンの皆さんに愛していただける作品になりました。自分が裏方の仕組みまで丸ごと経験した分、音楽を作る上でスタッフさんがどれだけの力を入れて1つの作品を作ってくださっているか、裏を見なくても伝わるような作品をこれから世に出していきたいなと思っています。

Q3:「WCMTW」にはSKY-HIさんやZeebraさんなど、名だたる方が客演され、豪華な仕上がりになっていますよね。今振り返ると更にストーリー性を感じます。「BOSS“feat. Zeebra”」での師弟関係も、まるでカニエ・ウェストとトラヴィス・スコットじゃないですか?

うわ〜ありがとうございます!アルバムはここ3年間に溜め込んでいた想いが全部繋がって、気づいたら豪華な一つの作品に仕上がっていましたね。自分でも正直びっくりしているんですけど、何かに向かって突き進んでいると結果に繋がるんだなと改めて思いますね。

Q4:6月に新曲「Show You LOVE」もリリースされましたが、1stシングル「Metafiction」から振り返っても、以前の力強くてストレートな歌い方から、五感やメロディに寄り添った歌い方への変化もかなり印象的でした。

確かに、歌い方はかなり変化していますよね。僕は普段海外の曲ばかり聴くのですが、英語が分からなくても音の気持ち良さとか、曲の意味がなんとなく伝わってくる時があるんです。それと同じように日本語がわからない海外の方も僕の曲を聴いて、何となくでもいいから意味を理解できるような曲を作ってみようと着手したのが「Show You LOVE」でした。だから歌い方が変わったのは、感情をできるだけ歌に反映出来るよう意識したのもあるかもしれません。

Q5:BMSGに所属して、見えてきた可能性はありますか?

僕自身一番信頼している先輩だと言い切れるのが、事務所のボスであるSKY-HIさんなんです。プライベートなことも相談できるSKY-HIさんにお話をいただき、ホッとしたんですよね。BMSG自体がアーティストファーストの事務所で、アーティストのメンタルにも寄り添うというコンセプトを掲げているので、僕も弱った時は素直な感情を共有しつつ、良い作品を作っていきたいです。

Q6:Novel Coreさんは普段からBLM(ブラック・ライヴズ・マター)やクラスターフェスなど、世間で起きた出来事について感じたことをTwitterやブログに呟いていらっしゃいますよね。若者の発信のハードルを下げるという意味でも、支持すべき行動であると思います。

正直良い意見も悪い意見もあるセンシティブな話題に触れるのは怖いですね。でも僕と同年代の人が社会の声に耳をすまして気になったところを、たとえ100%理解できなくても理解しようとしたり、議論しようとする姿勢を止めちゃダメだと思ったので、自分ができる範囲での発言や情報の共有ができたらなと。BLMに関しては僕ら世代が根本的な意識改革を行ったら、10年後の未来が変わってくる。できるだけ議論の流れを消火しないように、じっくりと時間をかけて向き合っていきたいと思っています。

Q7:ケンドリック・ラマーさんやロジック、J・コールさんにマインドの面で影響を受けたとおっしゃっていましたが、海外の発信方法を意識されているのでしょうか。

ケンドリック・ラマーの発信方法はかなり意識していますね。僕が彼に惹かれたのは、本人が「俺についてこい」と言っているわけじゃないのに、彼の持っているオーラやパワーに人々がついていってること。それこそ僕もGRAND MASTERに入った時、Zebbraさんから「王様を目指すんじゃなくて、先生になることを目指せ」って言われたこことがあって。たしかに権力や知識で人をひれ伏せさせるって簡単だけど、その人の持つ説得力で勝手に誰かついてくるのってめちゃくちゃ難しいことですよね。その言葉は人生のコンセプトでもあります。

Q8:音楽以外に個人として発信する上で、気をつけていることはありますか?ブログを拝見すると、言葉の選び方含め、情報の発信が丁寧な印象を受けるのですが……。

それは僕の性格ですね(笑)。めっちゃビビリで怖がりなんですよ。もし自分の発言が違った意味で伝わったらどうしようって不安で、無意識だけど相手の立場に立つようになりました。不用意に人を傷つけてしまった時の落胆が大きくて、普段から言葉の使い方はかなり意識しちゃいます。

Q9:根本的な質問にはなりますが、Novel CoreさんがHIPHOPに目覚めたきっかけを教えてください。学生時代の指揮者の経験が背景にあったとか。

そうですね、僕がHIPHOPに目覚めたきっかけはかなり特殊だと思います(笑)。合唱部の指揮者をしている時「そんな棒みたいな指揮するんだったらしなくていい。指揮者次第で音楽の表情も、みんなの歌い方も変わってくるんだから意識しろ」って先生にボロクソに言われたことがあるんです。恥ずかしかった反面、音楽ってそういうものなんだなって目から鱗で。将来はウィーンで指揮したいなと思いながらクラシックミュージックにのめり込んでいきました。でも頭もそんな良くなくてましてや音楽大学に行けるレベルではなかった。だから無理じゃね?って呆気なく挫折したんです。その後ふわふわしている時にYouTubeにアップされていたHIPHOPのインストに目が止まって、聴いていたらドラムの打ち方が今まで聴いてきた音楽と全く違ったんですよ。メッセージも強くて面白い、こういうの俺もやりたい!って衝撃を受けたんです。

Q10:Novel Coreさんのインスピレーション源なるものは何でしょうか?

映画や音楽ですかね。僕は映画が趣味で、例えば映画の中のディスコでかかっていた音楽をShazamで調べて、この年代だとこういうテンションなんだって知るのが特に好きなんです。そこから同じジャンルに飛び火して、Spotifyとかのプレイリストで他の曲も聴いてみたりしますね。

Q11:因みに、今まで影響を受けた映画を教えてください!

SOBER ROCKのエッセンスは、『スクール・オブ・ロック』ですね。最近はああいう青春系の全部ぶっ壊しちゃおうぜ!みたいなノリを意識して、音楽を作っている傾向があります。やっぱり周りに何を言われても好き勝手やろうとするノリは15〜16歳の頃に比べると薄まってきたので、青春映画のバイブスを再び取り入れている感じです。

Q12:最近ハマっていることはありますか?

僕音楽をここまで続けていることが不思議なくらい飽き性なんですよ。パッとハマって、パッと飽きちゃうんですよね。ただ、これまでは海外ドラマや映画ばかり見ていたんですけど、最近はアマゾンプライムを契約して、後追いでバラエティ番組をチェックするようになりました。特に千鳥さんの『相席食堂』が好きで、今は映画と同じくらいの頻度でバラエティ番組も見ていますね。

ーー以前からNovel Coreは文章を書くことが好きだとおっしゃっていましたよね。

文章を書くのはたしかに好きです!2〜3年前まではたくさん自分でもたくさん本を読んでいたんですけど、あまり読まなくなっちゃったんです。今でも好きなのは好きなんですけどね。それよりも映画とか音楽とか、抽象的なものにシフトしていきました。

Q13:どんなジャンルでも構いません。Novel Coreのこだわりを教えてください

“靴下は右から履く”ですかね(笑)。左から履いた日は良くないことが起きるんですよ。先日CLUB CITTA′で無観客ワンマンをやらせてもらったんですけど、その日緊張していて靴下を左から履いたんです。そしたら会場ついて衣装を忘れたことに気づいて……やっぱり右からなんだなって改めて思いました。それ以外は逆にこだわっていないかもしれないです!

Q14:Novel Coreさんのファッションポイントは何ですか?

服は大好きで色んなブランドで買うんですけど、海外の流行っているファッションを取り入れる時は原宿にある「ヌビアン」って名前のセレクトショップで買い物します。それ以外だとDIESELや、HIPANDA、FR2が大好きで、常にチェックしていますね。

Q15:Novel Coreさんは、FAKYさんや竹内唯人さんだったり、色んなジャンルで活躍する同世代の方とコラボされていますが、共演する中でどのような刺激を受けていますか?

それこそFAKYとのコラボは刺激だらけでしたね。僕はグループで活動することの大変さや、グループでこその醍醐味を経験して来なかったので。でもそこに飛び込んで数ヶ月一緒にライブをやっていると、グループとして意識すべきことや楽しさが見えてくるんです。他にも自分と形態が違う方とコラボする時は、ライブの仕方や楽曲の作り方はもちろん、スタッフさんとの関わり方やパフォーマンスの仕上げ方にも注目して、受けた刺激をできるだけ吸収するようにしていますね。

“FAKY / half-moon feat. Novel Core” MV

Q16:今後コラボしたいアーティストの方はいますか?

いっぱいいますね〜。その中でも特にコラボしたいのが自分と同年代のYOSHIくん。音楽やファッションもそうだけど、人柄も大好きなんですよ、日本にああいう方は中々いないじゃないですか。だからすごく仲良くなりたいですし、近い将来一緒にコラボできたらなと思います。あとは昔からずっと好きなTEEさん!

Q17:日本のチャートだとヒップホップが上位に入りきれていない状況がある中で、今の音楽シーンやヒップヒップホップシーンに必要なことは何だと思いますか?

ジャンルに関してはもっと寛容になってもいいのかなと思います。僕自身もHIPHOPを中心にポップスやR&Bをやったり、レゲエやロックの要素を入れて普段からミックスした音楽を作っているので、わざわざ形容しなくても1つの音楽として良いと言える環境を作れたら、海外みたいにボーダレスに音楽を楽しめるんじゃないかなと。それぞれのジャンルに精神性はあってもいいけど、他のジャンルを差別しすぎると狭い範囲でしかそのジャンルが育たなくなっちゃうんです。それにジャンルが違っても根っこは近かったりするんですよね。特にヒップホップはロックとかレゲエに影響を受けているし、もっとミックスジャンルの音楽が増えてそれを認められる社会の輪が広がっていけばいいなと思います。

Q18:どうすればミックスジャンルの概念が広がるのでしょうか。

難しいですね……。でも、ちょっとずつ変わってきているとは思います。J-HIPHOPのプレイリストを見ても、ゴリゴリのHIPHOPばかりでは無いんですよね。ロックテイストのものだったり、R&Bの要素が入っていたり。1年前よりは少しずつミックスジャンル化が進んでいるのかなと思います。だから特に僕たちが何かするというより、良い曲を作っていればそのうち時代も変わってくるんじゃないかな……。

Q19:コロナ禍でオフラインのイベント開催が困難な中、様々な音楽の表現が広がりつつあります。Novel Coreさんが思う、理想的な表現やコミュニケーションの形はありますか?

やっぱりライブへの思い入れが強くなっちゃいますね。SKY-HIさんもおっしゃっているように、オンラインのライブが生のライブに取って代わることはないんですよ。どうしても普通に配信ライブやると、ただ生のライブを放送しているだけになってしまう。だから、技術的にはわからないですけど、音とか匂いや空気感が全部伝わる4Dのライブを開催するアーティストが出てきたら面白いなと思うし、自分もそういうのに挑戦出来たらなと思いますね。

Q20:今後の目標や展望を教えてください!

正直コロナ禍の世界が今後どうなっていくのか次第なところもありますが、自分の中では“3年”が大事なキーワードです。3年のうちに武道館に立つという目標は頑なに決めてますね。むしろ昔から応援してくださっているファンの皆さんや、一緒に音楽を作ってくれるスタッフさんのためにも行かなきゃいけないと思っています。

Q21:最後に、ファンにみなさんに伝えたいことをどうぞ!

みんなは右と左、どっちから靴下履くのかとか聞いておきたい気もするけど……(笑)。それは冗談として、最近世の中にネガティブな空気が漂っていて、インスタのDMにもよくファンの方から「毎日が辛いです」「死にたいです」みたいなメッセージが届くんです。他にもそういう子たちがたくさんいると思うんですけど、今後僕が作っていく音楽を楽しみにとりあえず毎日を生き延びてほしい。新曲の「SOBER ROCK」もすごくポジティブなエネルギーが溢れている曲になったので、是非たくさん聴いていただいて、みんな前向きな気持ちになって貰えたら良いなと思います。

ーー“SOBER”と“ROCK”。タイトルも面白いですよね。

そうですね!そこにも注目してほしいです。”SOBER”と”ROCK”という真逆な言葉をくっつけて、良い感じに悪ガキ感が出たなと(笑)。これからも悪ガキ代表としてやって行くので、記事には僕が机に足を乗せて話を聞いていたって書いてください(笑)!

Photographer:Maho Korogi
Interview:Ayaka Yoshimura
Edit&Text:苫とり子(tomatorico)

【Novel Core】

“BAZOOKA!!! 第12回高校生RAP選手権” での優勝、Zeebra主宰のレーベル “GRAND MASTER” との契約、SKY-HIのミックステープ “FREE TOKYO” への参加など、着実に結果を残し続け、その名を全国へと広げてきた弱冠19歳。

​2020年1月、ABEMAの大人気恋愛リアリティーショー”月とオオカミちゃんには騙されない” への出演がきっかけとなり、ティーンを中心に絶大な支持を獲得。同年4月にリリースされた1st Album “WCMTW” はiTunesをはじめとする多数のチャートで首位を独占、大きな話題となった。

2020年10月、SKY-HIが立ち上げたマネジメント / レーベル”BMSG” に第一弾アーティストとして移籍、BMSGとavexが共同で設立する音楽レーベル”B-ME” からメジャーデビューを果たす。

音楽のみならず、様々なシーンでの活躍に大きな期待が集まる最注目のアーティスト。