先日、ANREALAGE(アンリアレイジ)という日本のファッションブランドのオンライン上で開催されたコレクションのオープニングムービーに、元欅坂46のセンターを務めていた平手友梨奈が起用されたことが話題となった。世界が注目するブランドとあって、ファッションに馴染みのない人々にもその報せは届いたことと思う。

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Yohji Yamamotoのアーティスト起用の真意

このニュースに代表されるように、最近ではファッションとは別のベクトルでやってきたアーティストたちを、ランウェイモデルとして日本のブランドが起用する動きが活発になってきているように思う。そのもっとも代表的な例こそYohji Yamamotoだろう。

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MIYAVIやEXILE/ 三代目J Soul BrothersのパフォーマーであるNAOKIらをランウェイモデルとして起用することは、特に日本人にとってはファッションに興味のない大衆の気を引くという意味合いにおいても効果のあることであり、たびたびサプライズ演出などと称されたりする。

しかしYohji Yamamotoというブランドに関して言うと、そう言った商業的な要素は取るに足らないもののように思う。山本耀司は自身の服を通して、着る人の人生や人間像を映し出すところがある、という風に語っている。ファッションとは別のベクトルで表舞台へとたどり着いた人々をモデルとして起用することによって、服にさらなる価値を付加しようとしているのではないだろうか。

新興アーティストたちのファッションアイコン的起用

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2021年春夏のRakuten Fashion Weekのキービジュアルにモデルとして起用されるラッパー・釈迦坊主。

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LANDLORD NEWYORK(ランドロードニューヨーク)という2015年に誕生したブランドのランウェイを歩くラッパー・Tohji。

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FACETASM(ファセッタズム)のルックに起用されるZOMBIE-CHANGのメイリン。

上記のように一部の界隈ではカルト的人気を誇っていながら、まだまだマスには浸透していないアーティストたちをブランド側がモデルとして起用する真意も、Yohji Yamamotoのそれと大差ないように思う。

要するに、アーティストたちが実践してきた、辿ってきた今日までによって出来上がった語らずとも浮かび上がってくる人間像があり、そのイメージとブランド観の合致を纏った時にその衣服はさらなる輝きを放つのだ。

正直商業的なアーティスト起用と、精神的なものによる起用の正確な住み分けはできない。その真価が問われるのは全く知らないモデルが纏った、全く知らないブランドのルックがとてもカッコよく見えた時だ。そこにはファッションの限りない可能性と、それを着たアーティストの計り知れない徳の高い人間性が隠れているのだと思う。