【インタビュー】MANONが創出するニュートラルなアートワーク達「理解できない感じが逆に可愛い」

福岡出身のラッパー、MANONが11月20日に新曲「18」をリリースした。MV、ジャケットともにセルフプロデュースをし、新たな取り組みに挑戦した本作は、“オトナ”への階段を登るMANON自身の等身大な葛藤が描かれている。InstagramやTikTokはじめ、SNSでも自身のアートワークを発表し、次世代のカルチャーアイコンとしても注目されるMANONのアートへのこだわりに迫る。

ーーMANONさんはコラージュ作品を頻繁にSNSに挙げられていますが、画像の編集や加工を始めたのはいつ頃ですか?

コラージュ時代は中学生の頃からやってました。ただ熱がある時とない時の差が激しくて(笑)。それこそ中学の時はめっちゃコラージュしてたんですけど、ちょっと面倒臭いなと思ってしばらくしなくなったんですよ。だけど、高校生のある時期に友達が自分の写真をコラージュしてくれたことをきっかけに、改めて魅力に気づきました。

ーーコラージュに興味を持ったきっかけや憧れていた方はいらっしゃいますか?

中学生の頃はきゃりーぱみゅぱみゅさんの曲が好きでよく聴いていたんですけど、曲もそうですけど何よりジャケットが可愛いじゃないですか。それで私もきゃりーさんのジャケットみたいな可愛いものを作りたい!って気持ちで始めたんだと思います。

ーーコラージュや画像の加工をする上で、何かこだわりがあれば教えてください!

例えば可愛いイメージの写真を撮った時は、リボンや猫など、自分が可愛いと思う素材を組み合わせている感じです。だから特にこだわりはなくて、一枚の写真を撮った時に湧いてくるインスピレーションを反映しているというか。それぞれの作品にコンセプトがあって、すべてに共通している“決まり”みたいなものはないですね。

https://www.instagram.com/p/BnynuyehIOg/

 

ーーちなみに今回の新曲「18」のジャケットは光の反射や透明感が印象的ですが、これも曲のイメージが反映されているのでしょうか?

「18」にはメロディや歌詞にも自分の葛藤やモヤモヤとした気持ちが現れているので、フィルムカメラで撮影しました。フィルムのノイズ感が曲のモヤモヤとしたイメージに合うかなと思って。

ーー最近のアートワークには昔の中国や台湾の画像を使われたり、ノイズが入ったムービーやグリーンバックの映像など、アナログ感のある作品が印象的ですよね。

そうですね。個人的にも最近は宇宙人にみえるような加工が好きで、TikTokでも近未来感のある加工が流行ってるんですよ。言葉では上手く表せないんですけど、昔の人が想像して作った未完成のSF世界というか。ちょっと2000年代の作品っぽいですよね。

「18」ジャケット

 

ーーちなみに今まで作った物の中で、これは力作だ!と思う作品はありますか?

最近作ったのだと、これですね。これは海外の方が投稿されている画像を見て真似したんです。昔のギャル雑誌のようなポージングや背景をイメージして作ったんですけど、意味が理解できない感じが逆に可愛いなと思って。

 

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ーー普段はどのようなツールを使って加工されているのでしょうか?

主にアプリを使っています!私は「PicsArt」というアプリを使ってます。切り抜きも簡単にできるし、有料版にアップグレードすれば背景も消したりできるので、すごく便利です!

ーーそういった知識はどこで習得されたのでしょう?

完全に独学ですね(笑)。

ーー独学でその加工技術……すごい!“好きこそ物の上手なれ”ですね。独学でアウトプットしたものが、Tシャツや音楽でのアートワークに繋がったと。

でも周りにも、独学でコラージュしてる子はたくさんいますよ!学校とかに通っているわけじゃないけど、趣味でやってるって子は意外と多いですね。そういう子たちから影響を受けることもあります。Tシャツのコラージュも盛りだくさんですよね。あえて半目の写真を持ってきたり、遊び心も加えてみました。

https://www.instagram.com/p/CDoh2R-JYVn/

 

ーーMANONさん自身、アートワークだけじゃなく音楽の面でも日常や周囲の方からインスピレーションを受けている面が大きいのですね。

そうですね!もちろん周りの影響も大きいですし、最近はやっぱり家にいることが多いので、SNSを通じて影響を受ける事も多いです。他のアーティストさんの曲を聴いたり、生活する上で思いついたことがあれば、メモするようにしています。リリックを書くときは、そのメモからピックアップすることも多いですね。

ーー新曲「18」の歌詞にもメモからピックアップしたフレーズはありますか?

考えてなかった……(笑)。メモには思ったことを雑多に書いているので、難しいですね。ただ“ジェットソン”の部分はアニメ『宇宙家族ジェットソン』の主人公“ジェットソン”から取ってきました。そもそも、そのアニメに辿り着いたきっかけが『ウィーツィ・バット』という小説だったんです。本の中に“ジェットソン”って言葉が出てきて、ネットで意味を調べたらアニメを見つけて。そんな風にメモには意味がわからない言葉もたくさん書いてあります。

ーーこれはMANONさんに聞かないと分からないですね!

たしかに(笑)!あとは、この楽曲を作っている時にデブ・ネヴァーの曲を聴いていたんですけど、彼女はよく“Phony”ってフレーズを使うんです。直訳すると「偽物」。“Fake”じゃなくて敢えて“Phony”ってフレーズを使っているのがかっこいいなと思って、歌詞にも盛り込みました。

ーー今回は歌詞だけではなくアートワークもセルフプロデュースされていますが、そのきっかけは?

上京したことで環境も変わって、色々と動きやすくなったことも一つの理由です。それに今年は家で過ごす時間も増えたから、ジャケットやMVも自分で作ってみようと思いました。

ーー東京に出てきたことがアートワークの面にも影響したと。それは東京の街や色んな人に出会ったことがきっかけでしょうか。

それが大きいと思います。東京には刺激的な場所もあるし、これまで出会う機会がなかった方々にも出会ったので。コラージュへの熱も福岡にいた時より上がっている気がします。

ーー今まではアートディレクションの方とも連携が必要だったと思うんですが、今回は全部一人でやってみていかがでしたかか?

インタビューや取材で“なぜこのジャケットにしたのか”、“どういうコンセプトで考えたのか”を聞かれるようになったことが一番大きな違いですかね。今までは他の方に作っていただいたので、そういった質問を受ける機会はなかったんです。だけど今回は自分の考えを言葉で表現しなきゃいけない。毎回答える度に、ああ本当に自分がやったんだなって実感してます。

ーーMVもMANONさんがディレクションを担当されたんですよね。どのような構成を練られていましたか?

ずっと抱いていたイメージは、ジャケットにも通じるノイズ感ですね。VHSで映像を撮って、よりノイズ感を表現できたかなと思います!

 

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ーー“ノイズ感”は「18」のアートワークのテーマでもあるんですね。因みに、今後作ってみたいアートワークなどはありますか?

今は引き続き、SF感のある淡い画像や動画を作っていきたいと思っています。白くてフワとした光を画像に入れたい。でも“ゆめかわいい”とはまた違うんですよね。

ーー『mid90s ミッドナインティーズ』のラストシーンもMANONさんの作品イメージに通ずる映像観がありましたが、これまで観た既存の作品で印象深かったものはありますか?

私も『mid90s ミッドナインティーズ』は観たんですけど、ラストシーンにはやっぱりリバイバルを感じました。なのでもしかしたら、自分が表現したいものが90年代〜2000年代の映画にあるかもしれないって思います。これからそういった作品を観て、通ずるものを見つけて行くのも楽しそうですよね。

ーーこれまでは楽曲を起点にアートワークを考えてらっしゃったと思いますが、今後はアートワークを起点とした楽曲も増えそうですね。

それはあるかもしれないです!今回作ろうとしている「18」のMVにもチャーリーXCX『forever』みたいな曲がハマりそうだなって思ったんですよね。今後はSF感のある映像に合う、テクノっぽい楽曲を作ってみても面白いかも。

ーー映像や音楽など過去の作品からも、MANONさんの今に繋がりそうですね。最後にファンの方に伝えたいメッセージをお願いします!

新曲「18」は初めて自分でリリックを書いた、18歳の今の自分をありのままに描いた楽曲になっています。MVやジャケットもセルフプロデュースした作品なのでぜひみなさん聴いてほしいです!

【リリース情報】

「18(エイティーン)」 2020年 11月20日(金)リリース

配信:https://manon.lnk.to/eighteen

Lyrics by MANON
Music by KM
Mastered by Naoya Tokunou
Producer : KM

【MANON】

次世代のカルチャー・アイコンとして期待を集める、福岡出身の18歳。 モデルとして活躍する傍ら、2017 年よりアーティスト活動を開始。 2018 年のデビューアルバム『TEENAGE DIARY』には、Kero Kero Bonito や Ryan Hemsworth といった海外アクトも参加し、 世界照準の J-POP を提示してみせた。 アルバム以降は、Normcore Boys、Sleet Mage、LEX など同世代の気鋭アーティストとのコラボレーションを展開。さらなる飛躍に向けて助走中。

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