あと17日で2021年を迎える。普段は渋谷周辺でSNAPを撮影しているのだが(写真は今年の初め、原宿の団地で見つけた)、開発による街の少しずつで大胆な変化に、自分の今の立ち位置を再認識する。”もうこんな所まで来てしまったのだなぁ”。NHK前に出来たガキ使のセットのようなプレハブ、テナントのいないパルコ裏のガラス張りのビル、渋谷駅西口の大蛇のような太い歩道橋、実写化の文庫本が並ぶ回転の早い本屋、背の高いIKEA。勿論変わらないものも沢山ある。焼き栗の路面店の朝の匂い、卵パックの様に人が陳列する交差点横の喫煙所、渋谷センター街上の絶妙なオブジェ、TSUTAYA前で誰かを待ちわびる人。

橘玲の「80’s-ある80年代の物語-」を読む。バブル期絶頂、読み手の需要があまたある時代。メディアにとって(勿論その他にとっても)、素敵な時代だなと勝手に羨ましく思う。2020年は2020年を終えた後、どの様な形で人々の内に残り、振り返られるのだろう。日本漢字能力検定協会が京都の清水寺で発表した今年の漢字が「密」となり、依然新型コロナウイルスの猛威が続く中、自分が何を観て、読んで、聴いて、感じたのか振り返る必要があるだろう、とても丁寧に。というのも、Filmarksを遡ると、「パラサイト 半地下の家族」の日本上映は今年の1月〜だったらしくて(軽い衝撃)…。

今年は、「愛の不時着」「スタートアップ:夢の扉」等韓国ドラマを久しぶりに鑑賞、映画はパラサイト経由で韓国映画はじめ、小津安二郎作品、アダムドライバー作品を見漁ったよう(先週観たタイ映画「トッツィーズ&フェイクスター」も面白かった)。漫画JOJO刃牙を今更読み始め、“己”の精神への根拠のない自身が芽生える(JOJOは今6部なので更に極めなければならない)。Apple Musicの“リプレイ:2020年”を見ると、今年は踊ってばかりの国「私は月には行かないだろう」(2020年1月22日リリース)をひたすら聴いていたらしい。BTSの「Dynamite」(2020年8月21日リリース)はめちゃくちゃ練習したので、スロースタートでも3位にランクインしていた!江國香織と辻仁成の「愛と情熱の間」など派生して他作品も読み、少しメンヘラな気持ちになるなど、吸収したものに影響をそれぞれ受け、中々コミカルな2020年だったのかもしれない。悪くない。

これを読む精鋭読者は2020年、何を吸収し感じたのだろう。60MAGAZINEがそれぞれの好きをより深められたのなら幸いだ。導入化粧水は、その後のスキンケアを角質層まで浸透させるらしいが、メディアが発信するコンテンツも同じ様な役割であって欲しいと思う。アルバムを聴いて、読んで、またアルバムを聴く。その工程が五臓六腑に染み渡り、それぞれの日常にそれぞれの好きがより浸透したら良い。2020年の好きが橘玲の「80’s-ある80年代の物語-」の様に、何年後かにプレイバックするのを待ちわびて。