新型コロナウイルスの感染拡大により、ECサイトの強化に注力するブランドやセレクトショップは増加傾向にある。近年SNSの普及もありInstagramやYouTubeへの進出も見られるアパレル業界だが、当然多くのブランドが乗り出しているので飽和状態になっている。そこで、課題となってくるのが周囲との差別化を図ることだ。自社サイトの強みを作り、付加価値によるコンシューマーの購入意欲を刺激する必要がある。

では、これからECサイトを始める上でどの点に留意するとコンシューマーのニーズに応えることができるのだろうか。今回は、今後必要とされるECサイトについて一消費者である立場も踏まえて見解を述べていきたいと思う。

アパレルECサイトの現状

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各分野においてEC化が進む中、いうまでもないがアパレルECも例外なく市場規模の拡大が見られる。2019年度の物販系アパレルECの市場規模は1兆9,000億円にもなり、前年度と比較すると7,74%も伸びている(2018年度 : 1兆7,728億円)今後の市場動向を踏まえ周囲と差別化を図るなら、EC化の検討は早めに決断することが鍵になってきそうだ。

また、EC化率も増加傾向にあることから、アパレルECの市場規模は年々増していくことが容易に分かる。若者のSNSへの傾倒や新型コロナウイルスの感染拡大により、今後さらにECサイトに力を入れる必要があるだろう。

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飽和状態が懸念されるアパレルEC市場で、一貫して取り組む必要があるのはオムニチャネルシステムの構築だ。オムニチャネルとはリアル店舗とECサイトの情報管理を統一することで、あらゆる角度から顧客と接点を図る販売戦略のことだ。新規客の定着とリピートを狙い顧客を増やしていく仕組みだが、いかにコンシューマーが負荷なく買い物ができるかが肝心なポイントになる。円滑な買い物はユーザーにとってポジティブな印象を与えるため、新規客の定着とリピート購買に繋がるのだ。

オムニチャネルは最近よく耳にする言葉だが、今後のアパレルにおいて実店舗とECサイト等の連携は最重要事項と言える。ショップの役割は服を売るだけに限らず、あらゆる手段でコンシューマーに情報を伝える包括的な視点がポイントとなってくる。

ユーザーは「楽におしゃれを楽しみたい」

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簡易化が進む現代では、ユーザーのニーズも変化しており、店舗で購入することを億劫に思うのも珍しくはない。その動向にいちはやく気づいたブランドは、リアル店舗をショールーム化し、ブランドの世界観を伝える場に変貌させている。もしそこで購入したいアイテムがあれば、ショップカードを渡しECサイトへの誘導を促す仕組みだ。ショッパーを持つことさえ手間に感じるユーザーにとっては、これほど画期的なシステムはないだろう。現ユーザーの視点を考慮した簡易化がものを言う時代になってきている。

新規ECサイトがフォーカスしたいポイント

今後ECサイトに参加していくには明確な戦略的意図が必要だ。SNSを利用した情報発信はもちろん、YouTubeでの丁寧な商品紹介やオンライン接客も視野に入れて販路を開拓していくことが重要になる。また、自社サイトを選択することで得られる付加価値を証明し、ユーザー一人一人に向けてメリットを示すことで顧客の獲得を図らなければならない。そのためには、今まで正攻法に思われていたマニュアルを踏襲するだけでは泣きをみることになる。

新型コロナウイルスの影響で社会情勢が大きく変わる中で、アパレル市場も歩みを止めている場合ではない。外出の制限によりリアル店舗での売り上げが下がる時勢で、向上心や探究心まで失ってしまっては意味がない。今だからこそできる間接的な接客に力を注ぎ、臆することなく新しいことに挑戦することで、画一化されつつあるアパレル業界に一石を投じる必要がある。