韓国のバンド、と聞いてパッと思い浮かぶ人は少ないだろう。実際、日本に比べて韓国はバンド編成のアーティストが少なく、HIPHOPやK-POPアイドルが音楽業界の主流となっているのが現状だ。

韓国にバンドが少ない理由は大きく二つある。一つ目は、韓国人にはお金を払ってライブを見に行くという習慣が根付いていない。好きなアイドルを見に行く、応援するために会場に足を運ぶ人は多いものの、バンドの楽曲を生で聴くことにあまり価値を感じておらず、YouTubeで楽曲を聞けば、それで満足という人が多いのだ。

二つ目は、韓国にはバンドがライブ活動を行うのに適した会場が少ないことだ。日本が各地方都市に1万人以上規模の大型アリーナが点在していてアーティストが全国ツアーを行うことが容易であることに対し、韓国は大型会場がオリンピックやワールドカップの跡地などに限られる。また、その会場自体も数が少なく、K-POPアイドルがライブを行うことも多いため、競争率が非常に高い。そのため、韓国のバンドアーティストは韓国内でライブ活動を行うことが厳しいのだ。

ここまで、韓国のバンドシーン事情について説明してきたが、韓国のバンドは日本のバンドとは音楽性が大きく異なる。ここからは、ライターの独断でネクストブレイクが期待される韓国のバンドを5つ紹介していく。

梨泰院クラスの劇中歌も担当した国民的ロックバンドGukkasten(グッカステン)

Gukkasten(グッカステン) は、2007年に活動を開始した韓国ロックバンド。リーダー兼ボーカリストで作詞作曲を担当するハ・ヒョヌの圧倒的な歌声と、ストレンジなバンドサウンドで国民的ロックバウンドにまで上り詰めた。

韓国ではすでに1万人規模のアリーナを完売させるほどの実力を持つ彼らだが、日本での知名度はまだまだ低い。しかし、梨泰院クラスの高揚感あふれる劇中歌「石塊」をうたい上げたハ・ヒョヌはそのパワフルな歌声で日本で新規のファンを獲得しつつある。2016年にも恵比寿リキッドルームで9mm parabellum balletと競演していた彼らだが、ドラマの人気をきっかけにさらに日本でのステップアップが見込まれる。

 

ラップとロックを融合させた新しいスタイルで世界中にファンを持つN.flying

N.flyingは2013年に日本でインディーズ活動を開始した後、2015年に韓国でメジャーデビューを果たしたロックバンド。ラップとロックを融合させた新しい音楽スタイルには、日本含め世界中にファンが存在する。

N.flyingの日本版公式YouTubeチャンネル「N.flying JAPAN」は14万人もの登録者数を誇り、日本で流行した楽曲のカバーも積極的に行っている。特に、YOASOBIの「夜に駆ける」のカバー動画は72万回、LiSAの「紅蓮華」のカバー動画は291万回と高い再生回数を記録した。

また、ドラム担当のキム・ジェヒョンは2021年放送の日本テレビのドラマ、「君と世界が終わる日に」にも出演が決定しており、メディアへの露出が増えると見込まれる。すでに日本で多くのファンを獲得している彼らだが、これからさらにブレイクしていくのは間違いないだろう。

 

独特なサウンドと爽やかなビジュアルで注目を集める新星バンド、LUCY(ルーシー)

LUCY(ルーシー)は、2019年に韓国大手局JTBCで放映されていたスター発掘番組「スーパーバンド」内で結成された4人組バンド。番組内では準優勝という華々しい成績を飾り、そのまま翌年2020年にメジャーデビューを果たした。

特筆すべきは、リーダーのシン・イェチャン奏でるバイオリンの音色を交えたバンドサウンドだろう。彼は、スーパーバンドに出演する以前からストリート演奏で有名な「カヌンドンバンド」のメンバーとして活動しており、彼の参加した動画がYouTube上で700万回以上も再生されるなど高い評価を受けていた。それ以外のバンドメンバーも様々な分野で活躍を見せていた期待の新星ぞろいで、音楽業界では「天才が集結した」と言われている。バンドの形をとりながら、K-POPの要素も取り入れているのが彼らの特徴で、今までにない新たなバンドサウンドでネクストブレイクが期待される。

 

 

韓国ではK-POPの影に隠れてしまってなかなか表に出てこないバンドミュージックだが、今まさに韓国にはバンド旋風が巻き起こっているといえる。正統派のロックサウンドから、K-POPやラップを取り入れた新しいサウンドまで、多くのムーブメントが起こっている今、どのバンドが日本でネクストブレイクするか目が離せない。