タイの国民的シンガーSTAMPインタビュー | chelmicoとのコラボを経て掴む日本での展望

タイ・バンコク出身のシンガーソングライターSTAMP。Spotify Thailand トップチャート1位の常連で、自身のYouTubeチャンネルは、総再生回数1億3000万回を突破する、国民的アーティストがHIPHOPユニットchelmicoとのコラボ曲「HIDE YOU feat.chelmico」を先日リリースした。
恋をテーマにそのもどかしさや葛藤を描いた本楽曲は、全編日本語で展開。安定感のあるSTAMPとメロウなchelmicoの掛け合いが心地良くPOPSに馴染む。
今回は「HIDE YOU feat.chelmico」の構想から日本・タイの音楽シーンのギャップまで、ざっくばらんにお話頂いた。穏和な彼から垣間見える精鋭なクリエイティブは、今こそチェックしておきたい。

ーーchelmicoさんとのコラボ曲「HIDE YOU feat.chelmico」のリリースおめでとうございます!まず最初に、今回のコラボに至った経緯を教えてください!

もともと、楽曲のメロディはすでに完成していたのですが、この曲に女性ラッパーの声を入れたいと思っていました。そんな中、ツアーで日本を訪れた時にたまたまテレビをつけていたらchelmicoさんが出演されていたんです。

配信はこちら

ーーchelmicoさんの歌声を初めて聴いた時の印象はいかがでしたか?

確かその時テレビに映っていたのはライブ映像だったと思うのですが、お2人ともエネルギーやパワーに溢れたパフォーマンスを披露されていたのが印象的でした。

ーー今回の楽曲はSTAMPさんが作ったメロディに合わせて、chelmicoさんが歌詞を書き下ろして完成に至ったとのことですが、chelmicoさんの歌詞に描かれたメッセージをSTAMPさんなりにどう解釈されましたか?

まず今回の曲は、「誰かを好きすぎるあまり、他人の目から隠したい気持ち」をテーマに書いた曲なんですね。そして、RachelさんとMamikoさんがそれぞれ担当するラップパートには、そんな気持ちに対するリアクションの差が現れています。Mamikoさんのパートでは重すぎる愛を拒否。一方、Rachelさんのパートでは受け入れているのです。

ーー楽曲もどこか懐かしさを感じるポップスで、聴き馴染みの良さが印象的でした。以前、STAMPさんは楽曲作りに関して、その時に自分が興味を持ったことを楽曲として昇華させていくスタンスだとおっしゃっていましたが、今回の楽曲はどのようなモチベーションで作られたのでしょうか。

先ほどこの曲は「誰かを好きすぎるあまりに他人の目から隠したい気持ち」がテーマだと言いましたが、実は友人の体験談をきっかけにこのテーマに至ったんです。自分で曲を作っていた当時、タイでBNK48が人気を集めていて、友人にもそれぞれ推しのメンバーがいました。もちろん人気のあるメンバーを推している友人もいたのですが、中にはまだ選抜の上位には入れない子を推している人もいて。その子が売れ始めた時に、友人の中で「他の人に推しを知ってほしくない」というヤキモチのような気持ちが芽生えたと聞いて、それをそのままこの曲のテーマにしたんです(笑)。

ーーなるほど!たしか曲中にも「僕だけが君のこと知ってる人でいたいよ」というフレーズがありましたよね。

まさに友人の気持ちを表したフレーズです。アイドルに対してだけではなく、例えば学校でも、密かに思っていた目立たない女の子が、どんどん綺麗になってクラスの人気者になったら、きっと「僕は最初から好きだったのに!」という虚しさが生まれる。そんな普遍的な気持ちを楽曲のメッセージにしたんです。

ーー今回の楽曲は日本語歌詞で歌われていますが、STAMPさんは普段母国語であるタイ語だったり、全編英語の歌詞を歌われていますよね。ご自身が様々な言語をアウトプットする中で、それぞれの言葉の棲み分けなどはありますか?

棲み分けというよりも自分がメロディを作った時に、これだったら英語の詩が合うな、日本語の詩が合うなというスタンスでその時の言語を決めています。ただ、もちろんタイ語が一番感情を入れやすいというのはありますね。

ーー因みに、最近気になっている言語ははありますか?

最近フランスの曲を聴いている影響で、いつかフランス語の曲を歌えたらいいなと思っています。でも語学の勉強はかなり大変なので…、一旦は3ヶ国語で日本語の勉強も頑張ります(笑)。

ーーSTAMPさんは以前SKY-HIさんと、そして今回はchelmicoさんとのコラボ曲をリリース。日本で人気のある多種多様なラッパーの方々とコラボされていますが、STAMPさんから見て日本のヒップホップシーンにどのような印象をお持ちでしょうか。

日本のラップやヒップホップは、かなり明るいイメージがあります。chelmicoさんの曲もそうですが、日本のヒップホップは聴きやすく世界で唯一のものだと思います。

ーー個人的に、今タイのヒップホップもすごく盛り上がっていると耳にするのですが…。

そうですね。最近のタイのヒップホップはバラエティが豊かで、様々なアーティストが売り出されている傾向があります。個人的にはMILLIという女性ラッパーと、YOUNGOHMというラッパーがオススメです。今最も人気が出始めているのがこの2人だと思います。

ーーなるほど。早速聴いてみますね!因みに、タイの音楽シーンのイメージとして、ライブハウスよりバーで音楽を楽しむカルチャーがあるのかなと。日本人がタイに遊びに行った際、現地の音楽に触れられるスポットがあれば教えてください。

タイでは、特定の場所に行くより、気になるアーティストのスケジュールを調べて追っかけてライブを見に行くのが良いかなと思います。ただ、知らないアーティストのライブを楽しむのであれば、バーに行って音楽を楽しむのもオススメですね。

ーー逆に、STAMPさんは日本の音楽シーンを感じる場所には行かれましたか?

ツアーで日本を訪れた際には、主に好きなアーティストのスケジュールを確認してライブハウスに行きました。代官山のライブハウスは印象に残っています!

ーー今回の楽曲もライブで聴けることを楽しみにしています!因みに、今後日本のアーティストでコラボをしてみたい方はいらっしゃいますか?

BiSHのアイナ・ジ・エンドさんです。元々BiSHが好きで聴いていたのですが、特にアイナ・ジ・エンドさんの歌声が特徴的で惹かれました。僕は自分の音楽と女性の声の親和性が高いと思っていて、アイナさんの声が入れば今までとは全く違った楽曲に仕上がりそうだなと。すごく興味深いですね!

ーー日本語だけでなく、日本のアーティストがタイ語の楽曲でSTAMPさんとコラボするのも楽しみです。

今回の楽曲でもchelmicoさんに少しだけ、タイ語で歌ってもらったフレーズがあるので、注目してみてください!また、空耳でタイ語に聴こえるような日本語歌詞の楽曲も作ってみたいですね。例えば日本語で「狭くて」という言葉が、タイ語では面白く聴こえるんですよ。

ーータイ語ではどういう意味なのでしょう?

「狭くて」は、タイ語で「寄りかかってきたら蹴るぞ」という意味です(笑)。

ーー全く違う意味ですね(笑)。他にも日本でやりたいことや展望はありますか?

日本でライブをやりたいです。なかなかコロナ禍で日本に行けない状況が続いているので、ずっと日本でライブをすることを夢に見ています。

ーーライブやYouTubeにアップされているカバーシリーズも楽しみにしています!

ありがとうございます!BiSHさんの楽曲「オーケストラ」のカバーもを公開しているので、是非チェックしてみてください!

【リリース情報】

「HIDE YOU feat.chelmico」
リリース日:2月17日(水)
配信はこちら:https://avex.lnk.to/HIDEYOUPR

【STAMP】

タイ・バンコク出身のシンガーソングライター。Spotify Thailand トップチャート1位の常連で、自身のYouTubeチャンネルは、総再生回数1億3000万回を突破。

3万人規模の音楽フェス「Cat Expo」のヘッドライナー出場を果たし、世界的大手企業のCMにも多数出演するなど、タイでは国民的な存在。自らのレーベル「123records」を主宰し、自身の活動に留まらず、音楽プロデューサーとしても活躍。現在、タイ版K-POPガールズアイドルオーディション番組「4EVE Girl Group Star」にも、コーチとして参加中。

大の親日家を公言しており、独学で日本語を学習。日本の地上波テレビ(スッキリ!)に出演した際には、日本語でトークを行い、SUMMER SONIC2019にも初出演。
2020年夏からは、2ヶ月に一回程のペースで日本人アーティストとのコラボシングルをリリース。本格的に日本での活動をスタートさせた。タイと日本の架け橋となる、唯一無二の存在。

第一弾日本語シングル「ジェイルハウス feat. SKY-HI」2020.9.18 Release

第二弾日本語シングル「It takes two」2020.11.27 Release

Twitter:https://twitter.com/StampApiwat
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCX8CoPcorL-apWj2JfKPwfA
Spotify:https://open.spotify.com/artist/4e3QCzBNkr0t3GGqo86Ofl?si=B62JdhwWR8KLyye3myicxQ