東京から飛行機で2時間半ほど向こう側、1千万人都市の韓国・ソウルでは若者たちの間で「本屋」ブームが巻き起こっている。特に、ここ最近では「独立書店」と呼ばれる個人で始める書店が週に1軒は誕生しているのだ。こうした独立書店は独自の強みをそれぞれ持っていて、詩集だけを売ったり、猫の本だけを売ったりと多種多様なスタイルで店を構えている。しかも、開業するのは1980年代生まれの若い世代。柔軟な思考で、新しいアイデアが生まれ続けている。今回は、ソウルの新しい本屋を3つ紹介していく。

 

学生街にたたずむセレクト書店のフロントランナー「THANKS BOOKS」

http://dotplace.jp/archives/18868

ソウルを代表する独立書店として、真っ先に名前が挙がるのがこの「THANKS BOOKS」。学生街弘大(ホンデ)にあるこの書店は、平日の昼間でも若者たちが次々と訪れる人気スポットだ。THANKS BOOKS公式サイトで「ホンデが好きな人と一緒に成長する」と宣言されていて、店内には本以外に地域の作家が造った雑貨や家具も多く並べられている。

デザイナーが本職のTHANKS BOOKS代表、イ・ギソプ氏は、本だけを売る書店ではなく、カフェや雑貨の販売も兼ねた、「本が主人公の文化空間としての書店」をつくるべく2011年に同書店をオープンした。THANKS BOOKSは、ベストセラーではなくスタッフが読みたい本が置かれる「セレクト書店」なので、今まで出会えなかった本に出合うチャンスも多くあるだろう。

http://www.thanksbooks.com/site/thanksbooks/index.php/photo/

THANKS BOOKS

ソウル特別市麻浦区西橋洞367-13 ザ・ギャラリー1F

営業時間12:00-21:30 

TEL 02-325-0321


 

新鋭若手詩人が営む詩集書店、「wit n cynical」

若者が多く集う街、新村(シンチョン)に詩集だけを売る店がついに誕生した。ビルの3階、カフェやレコード店も併設された広く明るい空間の一角にあるこの店には、韓国のものを中心として詩集が所せましと並んでいる。韓国は今、未曽有の「詩」ブームで、特に若者の間で詩が日常的に好まれている。SNSにお気に入りの詩の一節をアップしたり、自身の価値観を詩集を持ち歩くことで暗に表明したりなど、今や若者と詩は切っても切り離せない関係といっても過言ではない。

https://www.facebook.com/witncynical/

日本の書店にも少しずつ並び始めた、韓国の詩。近くて遠い、韓国の若者のリアルな感情がそこには反映されているのかもしれない。


wit n cynical

ソウル特別市西大門区大峴洞27-33 3階Cafe Pastel内

定休日 秋夕・正月

TEL 070-7542-8972


ミステリーに囲まれる本屋、「MYSTERY UNION」

http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20180603000299

先ほど紹介した詩集書店wit n cynicalとほぼ同じタイミングで新村(シンチョン)に誕生した、ミステリー専門書店「MYSTERY UNION」。裸電球がぽつんと灯った入口を抜けると、ずらっと約1500冊ものミステリーに囲まれることができる。店内の本棚と壁はすべて木製で、重厚な雰囲気が漂う。

https://ayanohibi.exblog.jp/iv/detail/?s=27166651&i=201803%2F28%2F60%2Fe0064860_21160759.jpeg

 

様々な国のミステリーが置かれているMYSTERY UNIONには、日本の作家のミステリーも置かれていて、韓国語に翻訳された東野圭吾の作品がよく売れるそう。国の垣根を超えたミステリーの香りに包まれてみるのもアリかもしれない。

https://ayanohibi.exblog.jp/iv/detail/?s=27166651&i=201803%2F28%2F60%2Fe0064860_21160759.jpeg

MYSTERY UNION

ソウル特別市西大門区大峴洞137-2

定休日 月・火

TEL 02-6080-7040


暗いニュースの続く韓国。本屋ブームをはじめ、独特の閉塞感に包まれる韓国の若者たちのエナジーはどこに向かっていくのだろうか?アジアのカルチャーを牽引する新しい波が生まれ始めているのかもしれない。