【ASIAN FACE】go!go!vanillas 牧達弥にインタビュー「自分流になって、新しいジャンルが生まれる」

今春、メジャー5thアルバム『PANDORA』をリリースしたgo!go!vanillas。社会の混沌から、バニラズ流ギミックと共に光りを見出す本作。今回は、ボーカルの牧達弥にインタビューを実施した。偏愛に包まれた根源と、柔軟にストイックに表現を追求する彼の起動源をお伺いした。

–まず最初に、音楽自体に興味を持ったきっかけは何でしたか?

母親が音楽好きで、車の中でいつも音楽が流れていたんです。その時によく聴いていたのが小田和正さんと、ビートルズ。子供ながらに口ずさんだり、何となくメロディーを覚えていたり。それが音楽との出会いですね。

–大分にいた当時、幼少期の夢はありましたか?

白バイに乗る警察官になりたい!みたいなこと言ってましたね。多分、高1くらいまで言ってたんじゃないかな。警察密着24時を見て、白バイかっこいいなって。

–そこから、バンドを始めるに至った経緯には何かきっかけがあったのでしょうか?バンドを組まれたのは上京後とお伺いしているのですが、大分では何か活動されていたのか気になりまして。

高2くらいにギターを買って練習してたんですけど、練習量の多いバスケ部だったのでさわれず…。部活を引退してから、じゃあ友達と一緒にやろうかって。根本的に音楽が好きだったので、自然な流れだったと思います。

–個人的に牧さんのインタビューや楽曲を見て共感するのが、何もない田舎から東京に来たときの衝撃なんです。バンドカルチャー然り、自然と吸収する場所が無かったなと。

自分が探しに行かないと触れられないですよね。僕も東京に来て、より多く、深くのカルチャーを知って衝撃でしたもん。

–地元大分と東京のカルチャーや音楽のギャップは、どの様に捉えていらっしゃいますか?

何ですかね…、全てが上位互換なのかな。バンドカルチャーでいうと大分って物凄くジャンルが偏ってるんです。殆どがパンクバンドだったので、当時の僕のイメージはパンク=ライブハウス。東京にはシティーポップやエレクトロ、メロコア、ハードコア、もう本当にすべてのジャンルが詰まってた。その幅の広さには衝撃を受けましたね。

–上京して1番最初に衝撃を受けたものは?

レコードショップですかね。東京に出てきた理由でもあるのですが、大分のレコードショップってモノがやっぱり少ないんですよ。もっと音楽を掘っていった時に、それが大分だとどうしても無くて。だったら一番カルチャーの先端である東京に行くのが一番早いじゃんっていう。

なのでディスクユニオンとか、ココナッツディスクとか本当に楽しかったです。そこで日本のフォークソング・70年代の音楽に出会って、また衝撃を受けて。今のJ-POPとかでは絶対に歌わないような、自衛隊に入ろうとかを歌える自由さみたいなものにすごく感銘を受けましたね。もともと洋楽大好きだったんで、洋楽からの70年代の曲風の系譜とか、トレンドの流れも合致したんです。

–本当に個人的な意見、というか感想なのですが、『馬の骨』はメロディがフォークっぽい優しさもありながら、歌詞がそれこそ60,70年代の情緒があるというか。さっきのお話を聞いて、あ、そういう牧さんの蓄積があったんだと腑に落ちました。

そうですね。当時のAORのアーティストはすごい好きで、自分の1つのルーツとして滲み出てくるものがあるんだと思います。『馬の骨』も、わりと中期のビートルズのサウンドメイキングに寄せているんですけど、そこに乗るメロディラインを70年代のJ-POPに影響を受けている。歌詞もはっぴいえんどの鈴木茂さんの世界観みたいなのを考えました。

–それでもやはり、バニラズがいるというか。別にこれはフォークだとか、これはちょっと情緒がある70年代の歌詞風だとか明確にあるわけでなく、なんとなく残り香を感じる印象があります。

やっぱり意識せずに出てきているから、バランスが良いのかな。自分の憧れるプレイヤーがいても、どこかで自分流になっていくから、そこから新しい音楽やジャンルが生まれるんですよね。僕もやっぱり最初はビートルズとかフォークソングとかを聴いて、それっぽく作っていたのですが、やっぱり僕の色みたいなのが出来てくる。それがあって今なので、多分どういう風にやっても「あ、バニラズだね。」みたいな感じになるのかなと思います。

–その色がちゃんと自然に出始めたのって、何か具体的なきっかけやターニングポイントがあったのでしょうか?それとも自然にグラデーションのように表れてきたのでしょうか?

うーん…、自然にかなあ。でもメジャーデビューのタイミングは、意図的にバニラズを出そうと意識していましたね。それ以降はもっと違うところにフォーカスしたので、音楽の聴かせ方や作り方自体が結構変わったんです。その過程の中で、バニラズ色の出方も変わったんだと思います。

–なるほど、逆に『倫敦』は皆さんの背景を明確に示されましたが、割り切った色の出し方も気持ちが良いですよね。

気持ちいいですよね。広い意味で使っていた“ロンドン”を、よりパーソナルな部分で表現したかったんです。そういった所で、もっとファンと分かち合うというか。これを聴けば説明書の様に「牧はこういうのが好きなんだ」って分かち合える。

–YouTubeのコメントや楽曲に対する反応を見て、バニラズのファンの方々はしっかり曲を解釈/考察される印象です。好きなアーティストの好きなものをめちゃくちゃ明確にした楽曲が出るのは、そういうファンの方々にとってもすごく嬉しいのかなって。

そうですね。そう思っていただいたら嬉しいですよね。

–2018年に台湾のフェスにも参加されていますが。大分、東京から一つ外に出たときに、台湾、アジアでの音楽の所感はどの様なものを感じましたか?

韓国とか、台湾とか、良いバンド沢山いるんですよ。僕の中ではディープなジャンルでやってるバンドが多いイメージがあるので、どんな反応なんだろうと思ってたんですけど、受け入れて貰えたので嬉しかったですね。

–聴き手にも柔軟さがあるというか。

そうですね。本当にライブやロックが好きなんだろうなっていう印象はありました。

–ちなみに今注目しているアーティストはいらっしゃいますか?

HYUKOHは韓国のバンドで留まらないというか、すごくワールドワイドな音の使い方もするし、バンドって枠にも囚われていないし、すごいなぁって思いますね。後は、offonoffとCosmo Pykeのコラボ曲が最高でした。

–どんなジャンルでも大丈夫です。牧さんのこだわりを教えてください。

こだわり…こだわりあるのかな。うーん。こだわりというか、すごく飽き性なんですよ。同じことずっと繰り返すと、怖くなっちゃうんですよ。

–怖くなる…?

はい。同じような生活をずっと続けて、予測できる未来があると、すごい不安になるんです。自分の曲作りもそうで、使ったことがない楽器とか、敢えて全然聴かないものを掘ってみる。そこから発見もあるし、変化もある。自分に刺激を与えることを、意識して行動しています。

–ちなみにそこから派生して、最近始めた変化やハマっていることはありますか?

キックボクシングですかね。30歳超えて体力も落ちてるけど、ちょっとずつ回復しているのが分かるし、嬉しいですよね。筋肉もちゃんとパンプアップするし。あ、意外といけんじゃん、まだ。みたいな。それが楽しいですね。

–DPTシリーズのグッズもご自身で作られていらっしゃいますが、ファッションに関して、細部にまで気を遣っていらっしゃるイメージがあります。

1番はそのブランドのデザイナーさんのポリシーやコンセプト、人となりを見たいんです。バックボーンがあるファッションが好きなので、僕も物販で出すときは、テーマや意味を考えて作ってますね。

–なるほど。物販やグッズに意味合いを持たせて作られる方って、少ない印象です。

あまりいないと思います。僕もやっぱりアートが好きだから、日常で良いなって思うグラフィックがあったら、実際に作家さんとお話しして、この人良いなと思ったら、一緒にやってみる。結構自分で行動した上での流れが多いので、グッズや物販にもオリジナルやこだわりが篭った意味合いが出てくるんだと思います。

–メンバーの皆さんに普段言えないけど…伝えたいことありますか?

うーん。もっと適当でいいんじゃない?って思いますね。基本的にみんなピュアで真面目だから、もっと自分の意見で良いというか…。ラフに余白を作って、楽になってもらいたいなって。そして、俺が知らないところから刺激をくださいって思っています。

–最後に、ファンの皆さんに伝えたいことありましたらお願いします。

去年から今に続く足止めというか、昔のようにはいかないご時世で。それをマイナスととるかプラスととるかは自分次第で。それでも今の状況に意味を見いだして、それを餌にして、何でも良いから生み出すって言うことをやると良いのかなって思います。ファンのみんなも仕事とか、日常生活とか本当に大変だろうけど、その中で見出して0から1を生み出したときの快感をもっと多くの人に感じて欲しいです。

Photographer:Maho Korogi
Interview&Text:Ayaka Yoshimura

【ライブ情報】

「PANDORA TOUR 2021 〜CHAOS & HEARTS〜」(1日2公演)
1st:目は口ほどに物を言う編 / 2nd:口は災いの元編

4月10日(土) 大分 DRUM Be-0
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
4月11日(日) 長崎 DRUM Be-7
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
4月17日(土) 松山 WstudioRED
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
4月18日(日) 高知 CARAVAN SARY
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
4月24日(土) 周南 RISING HALL
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
4月25日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
4月29日(祝木) 浜松 窓枠
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
5月5日(祝水) 秋田 CLUB SWINDLE
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
5月6日(木) 郡山 Hip Shot Japan
[1st] OPEN:17:00 / START:17:30〜18:30
[2nd]OPEN:19:30 / START:20:00〜21:00
5月14日(金) 富山 MAIRO
[1st] OPEN:17:00 / START:17:30〜18:30
[2nd]OPEN:19:30 / START:20:00〜21:00
5月15日(土) 新潟 LOTS
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
5月22日(土) 高松 festhalle
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00
5月23日(日) BLUE LIVE 広島
[1st] OPEN:16:00 / START:16:30〜17:30
[2nd]OPEN:18:30 / START:19:00〜20:00

「PANDORA TOUR 2021 〜Mr.&Mrs. HOPE〜」

6月4日(金) Zepp Fukuoka
OPEN:18:00 / START:19:00
6月5日(土) Zepp Fukuoka
OPEN:16:00 / START:17:00
6月11日(金) Zepp Osaka Bayside
OPEN:18:00 / START:19:00
6月12日(土) Zepp Osaka Bayside
OPEN:16:00 / START:17:00
6月18日(金) Zepp Nagoya
OPEN:18:00 / START:19:00
6月19日(土) Zepp Nagoya
OPEN:16:00 / START:17:00
6月25日(金) 仙台 GIGS
OPEN:18:00 / START:19:00
6月27日(日) Zepp Sapporo
OPEN:17:00 / START:18:00
7月2日(金) Zepp Haneda
OPEN:18:00 / START:19:00
7月3日(土) Zepp Haneda
OPEN:16:00 / START:17:00

「PANDORA TOUR 2021」特設ページhttps://gogovanillas.com/feature/pandoratour

【リリース情報】

2021年3月24日リリース NEW ALBUM 「PANDORA」

特装”PANDORA”パック :
完全限定生産盤(CD+DVD) VIZL-1864 ¥4,300 + 税
通常盤(CD)  VICL-65477 ¥2,800 + 税 ※通常ブックレット

2021年6月30日リリース Blu-ray/DVD 「1st LIVE FILM -AMAZING BUDOKAN 2020-」

◇オフィシャルファンクラブgo!go!CLUB及びVictor Online Store限定の完全受注生産商品「1st LIVE FILM -AMAZING BUDOKAN 2020-【豪華限定セット】」

(Blu-ray+2CD+PHOTO BOOK+DATA FILE+STICKER SHEET) 完全受注生産商品【豪華限定セット】
税込¥9,020(税抜¥8,200) NZS-841 (go!go! CLUB)/ NZS-843 (Victor Online Store)

(2DVD+2CD+PHOTO BOOK+DATA FILE+STICKER SHEET) 完全受注生産商品【豪華限定セット】
税込¥7,920(税抜¥7,200) NZS-842 (go!go! CLUB)/ NZS-844 (Victor Online Store)

◇通常盤
(Blu-ray) 通常盤
税込¥5,500(税抜¥5,000) VIXL-342

(2DVD) 通常盤
税込¥4,400(税抜¥4,000) VIBL-1024〜1025

【go!go!vanillas】

牧 達弥(vo/g)、柳沢 進太郎(g)、長谷川プリティ敬祐(ba)、ジェットセイヤ(dr)の4人からなる新世代ロックンロール・バンド。さまざまなジャンルを呑み込んだオリジナリティ豊かな楽曲で聴く人を魅了し、ライヴでは強烈なグルーヴを生み出す。
音楽ルーツへのリスペクトにとどまらず、常に変化・革新をし続けている。

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