「私たちは各々個性を持っていて、似せることに必死じゃない」 双子モデル・小田寛子と貴子それぞれの生き方

 

モード誌やブランドルックで今、ひと際存在感を放つ2人がいる。双子で活躍中のモデルの小田寛子と小田貴子。そんな2人に仕事に対する考え方から、少し意外なプライベートまで、飾らない等身大の姿に今回迫る。

 

―まず初めに、お2人のプロフィールと生い立ちを教えて下さい。

(寛子)姉の寛子です。今、25歳でMAIDENというジュエリーショップで働きながら、声が掛かれば、貴子とモデルの仕事をしています。

(貴子)私たちは、新潟県の田舎街で元旦に生まれました。高校まで田舎で育ったので、東京に対する憧れがすごくあって、高校卒業後に「東京に行かせて」と親にお願いして、18歳の時に出てきましたね。

そこから、最初はサロンモデルで声を掛けられるようになって、気が付いたらFashionsnap.comやDROP TOKYOのスナップを撮ってもらうように。そこから、人と違う格好をしようとファッションに興味を持ち始めて、今では雑誌にも呼んでもらえるようになりました。

元々、短大に通っていたんですけど、周りと同じように就活したりする姿が想像できなくて、古着屋やセレクトショップで働いていました。そんな経緯を経て、今はモデルしたり、好きなことをしています。

 

―そんな中、モデルの仕事を本格的に始めたのはいつ頃だったのでしょう?

(貴子)モデルをやっていると実感し始めたのは、22歳くらい。遅いと思います(笑) 2人でメインでやらせてもらったGINZAの着回し企画は、“ここまで来たか”と嬉しかったです。

(寛子)その後は、友達の撮影でNumero TOKYOやVOGUE JAPANなど色々やらせてもらいました。

 

―では、モデルとして活躍する以前は何かやりたいことがありましたか?

(寛子)“これになりたい”っていうのは多分なかったです。適当に学校行って、遊んで。絶対的な野心もないし。けど、東京来たらスナップ撮られちゃって。

(貴子)178cmくらいある身長は、元々コンプレックスにしか感じていませんでした。だから、モデルの素質があるとは思ってなかったし。好きなファッションも人と比べたら全然だし、当時悩んでいたかも。

 

―そのコンプレックスだった高身長を、今はどう捉えていますか?

(寛子・貴子)好きですね。

(貴子)もっと高くても良いと思うくらい。この身長でもヒール履きますし。モデルとしての撮影が、私たちの良さを打ち出してくれたからこそコンプレックスが強みに変わった。思春期の頃は、「何でこんな身長に生んだの」って親に反発したけど、この身長じゃないと今の私たちはない。凄く感謝しています。

(寛子)本当に親に感謝。あとは、周りの影響もあると思います。東京に出てきて、周りはみんな服好きな子が多いし、そこでも自分に自信がつきました。

 

STUDIOUS 2017AW

 

―プライベートも仕事も、いつも一緒にいることが多いと思いますが、似ているなって思うところはありますか?

(寛子)自由を求めているところじゃない?

(貴子)確かに! 安定を求めていない。人生は不安定でいいって思っているところは似ているかなって思います。あとは別に違っていて、個々に自分を持っている。

この取材を受けるにあたって、他の双子を見ていたんですけど、似せていくことに必死の双子も多いと思う。媒体も求めるから、似たような髪型、似たようなファッションをして。私たちも、傍から見て、普通に双子に見られることももちろんあるんだけど、兄妹だったり恋人に見られることも多い。似せていくことに必死じゃないから、面白い見え方ができるんだと思います。

 

―では逆に、お互いに直して欲しいところは?

(寛子)お腹空くとお互い不機嫌になるよね。

(貴子)だから、お腹が空いているときは極力合わないようにしています。 あとは、酔っぱらっているとき(笑)

(寛子)酔っぱらっているときは、大体私がケンカを吹っかけて殴り合いになります。酔っぱらって、誰も止める人がいなくて、当たれるのも貴子しかいなくて、もうやるしかないって(笑)

(貴子)でも、引きずりたくないので、どっちかが謝ってすぐ仲直りします。寛子しかいないから。それに25年も一緒にいると、今更ここ直して欲しいみたいなところはないですね。学んできたんだと思います。これやったら怒るだろうなって。

 

―ずっと一緒に居た2人ですよね。もしどちらかが先に結婚したらどうします?

(貴子)めっちゃ祝福します! でも寂しいと思う。

(寛子)どうなんですかね。でも、親友代表がやるような結婚式の挨拶は、他の友達じゃなくて貴子が良いって、昔から言っています。

(貴子)双子だけど親友なんです。誰よりも、過去の恋愛遍歴を見てきたから、結婚したら凄い嬉しいと思う。

(寛子)多分結婚しても、ずっと一緒に居ると思います。

 

her. magazine

 

―プライベートでは、何をして過ごしていることが多いですか?

(貴子)フラフラするのと、スナックじゃない? 代々木上原の『眞木』っていうお店によく行っていて、最近は寛子オススメのお店がお気に入りです。

(寛子)1回行くとハマると思います。めちゃめちゃ飲んで、凄くカオスな感じ。今年中にイベントでスナック開催もしたいなって思っているんですよね。あとは、昼間なら買い物かな。古着が軸なんですけど、色んなところに行きます。良いなって思ったら高くても買うし、可愛ければ500円とかでも買う。ここっていうのは決めてないです。

(貴子)私は喫茶店にもいきますね。ジャズが爆音で流れる下北沢の『いーはとーぼ』は、窓側の席から私たちがずっと暮らしていた街並みが見えるので、好きですね。

 

―そんな古着が軸の中でも、確立された自分のファッションスタイルはありますか?

(寛子)つなぎが凄く好きです。見ると買わずにはいられない。ヒールを履くとパーティ系にもイケるし。皆、ワンピースはよく着ると思うんですけど、何でつなぎを着ないんだろうって思うくらい。あとは赤リップですね。

(貴子)私は、皆が選ばないようなクセの強いもの。“これ誰が買うの?”みたいなアイテムが好きです。あとは、70年代が好きなので、それは意識しますね。メンズライクなスタイルが多くて、女子トイレに入ることを躊躇するときもあるくらいです(笑)

 

―貴子さんは髪を切ってさらにメンズライクになりましたよね。お2人のヘアスタイルへのこだわりを教えて下さい。

(貴子)実はシーズンごとに自分のテーマを決めていて。この秋は、“モッズの女”。ロンドンっぽい感じをイメージ。春夏は“NYに住む人”だったんですけど、パーマが流行っちゃって人と同じが嫌なので、バッサリ切りました。

(寛子)私はもう、コレですね。パツンとしたボブが一番自分に合っている。ウルフやパーマにしたこともあったんですけど、自分には今の髪型が1番似合っていると分かりました。

(貴子)私が、寛子の髪型にすると多分に合わないんです。骨格とかも実は違うので。面白いですよね。

 

BODYSONG. 2016 AW

 

―いろんな経歴を経て、今があると思います。今後のお仕事や目標を教えてもらえますか?

(寛子)モデルの仕事は、“もういいかな”って。結構出させてもらったし、軸にしてガツガツやろうとは思っていなくて、声が掛かったらやろうかなみたいな感じです。

(貴子)私は、モデルとしての仕事を通して、もっと色んな人に出会えるなら、出会いたい。2人で呼ばれることも多いですけど、私はもっといきたいなと思っています。だから、日本じゃなくて海外でもやってみたい。有名なものでなくても良いので、アート寄りなものとか面白い仕事がしたいです。

(寛子)あと今後2人で何かやりたいねって言っているよね。

(貴子)私たちは、人に従わずに自由に生きたいから、多分上のいる環境では働けないんです。だから、“自分たちで店を作った方が早くない?”って。

(寛子)11月にパリに行って、つなぎだけを売っているsabinaというお店があるんですけど、このブランドの人と話したいなって。あと、もし本当に自分たちでお店をやるのであれば、古着も入れたいし、セレクトも欲しい。

(貴子)私はNYに行くんですよ。2人の行きたい場所、選ぶものは違うんですけど、お互いの良いところをごちゃまぜにした、楽しいことがやりたいですよね。

(寛子)あと周りの25歳の女友達となんかやりたいなっていう話はしています。アパレルとか美容師、編集をしているイケている友達が集まっているので。皆、服バカです(笑)

(貴子)25歳で節目だし、今年1発やりたいんです。おばあちゃんになった時の、良い思い出にもなるだろうし(笑)

 

―では最後に、お2人にとって“モデル”とは?

(寛子)自分は、眉毛をこうして、リップは濃いのをって思っているけど、良い意味で客観視できる。こんな顔をするんだとか、こんなものも似合うんだとか、自分の違う面を見られるのが、モデルをしていて好きなところです。

(貴子)モデルを始める以前は、メラメラと本気になるものがなかった。だから、初めて上を目指そうって思わせてくれたものです。ずっと東コレに出たいと思っていて、1人でオーディションにも行って。出演が決まって、実際にランウェイを歩いた日の帰り道は泣きましたもん。また、歩かせてもらえると嬉しいなと思います。

 

 

実際にお話を聞かせてもらうと、こうも違う個性を持っているのかと、写真だけでは伝わらない新たな魅力が見えてくる。それぞれ別の道を歩み、2人の強みを合わせた時、私たちにどんな世界を見せてくれるのであろうか。今後も小田寛子と貴子から目が離せない。

 

VOGUE JAPAN

 

小田寛子(おだひろこ)

新潟県出身の25歳。東京上京を期に街中で声を掛けられるようになり、モデルとしてファッションの世界に。現在、ネイルサロンDISCOの手掛けるジュエリーショップMAIDENで働きながら、GINZAやVOGUE JAPANなどのモード誌で、貴子と共にモデルとしても活躍中。

Instagram@ohhiro

 

小田貴子(おだたかこ)

姉の寛子と共に生まれ育ち、雑誌やランウェイショーのモデルとして幅広く活躍している。東京コレクションはもちろんのこと、昨年11月に伊勢丹新宿店で行われたDOLCE&GABBANAのショーのミレニアルズ101人にも選抜された。

Instagram@takako_oda