【ASIAN FACE】kiki vivi lily にインタビュー「自分が聴きたい曲しか作らない」1 min read

Reading Time: 2 minutes

スウィートで魅惑的な歌声とメロディーセンスで感度の高いリスナーを魅了するシンガーソングライターkiki vivi lilyにインタビュー。時と色に揺蕩い、ストーリーを享受する彼女の、その感性に迫る。ブラックミュージックからHIPHOP、ジャンルを超え、今と物語を繋ぐ創出の起点とは?

 

-まず最初に、kiki vivi lilyさんは3歳からピアノを始めたとの事ですが、音楽に興味をもったきっかけはそのタイミングで?

ピアノ教室もそうですし、当時からおもちゃのマイクを持って机のうえに立ち、親戚のまえで歌を歌っていたとか…。音楽だけでなく、歌うこと自体が好きだったみたいです。

-物心がついたころから、音楽に触れていたのですね。

そうですね。そこから中学生になって初めて、譜面のとおりに弾くクラシックではない、歌にあわせて弾く伴奏というものを知りました。そこで初めて伴奏を弾きながら歌うことを始めたことになります。

-幼少期はピアノを通した音楽との関わりが大きかったようですが、高校生でバンドをスタートされましたよね。バンドに切り替わるきっかけはあったのでしょうか?

『月間歌謡曲』という雑誌があったのですが、その雑誌に当時流行していた曲の歌詞とコード譜が載っていたので、それを見ながら弾き語りするようになったことがターニングポイントでした。中学生の時にその弾き語りを始めてから歌うことが楽しいと思うようになって、高校時代のバンド活動に繋がったんだと思います。

 

-実際プレイヤーとして作品を生むにいたるまで、音楽の聴き方や趣味趣向に変化はありましたか?

だいぶ変わりましたね。幼少期は単純に流行っていた歌謡曲やJ-POPを聴いていたのですが、軽音楽部に入ってからロックを聴き始めました。ロックと並行して聴いたユーミンやクラムボンなどの音楽たちが、結果として私の原動力になりましたね。そこから洋楽に出会い、ソウルやオールドスクール・ヒップホップなどにハマって行きました。

-そこで一度、ヒップホップに触れられたのですね!というのも、唾奇さんとの客演やPitch Odd Mansionへの参加などヒップホップとの関わりも多い中、それ以前にヒップホップに触れていたのかどうか、疑問に感じていたんです。そもそもご自身の楽曲とヒップホップの融合に、あまり抵抗がなかったということですか?

そうですね。自分の中にあった土台にヒップホップが混ざった結果、そういうものとして自然に捉えられていたのだと思います。

-『ひめごと』や『The Libertines』など、以前の楽曲のなかで眠っていたストックを再発掘してリリースされるとの事ですが、過去曲を聴いて、“いま出せる/まだ出せない”という判断軸や、改めて良いと思える楽曲に共通するものはありますか?

やはり共通するものは、それがギターで弾いてもピアノで弾いても、どんなアレンジをしてどんな形になっても、良いと思えるもの。芯のある曲は、ずっと大切にしたいって記憶に残りますよね。

-芯とは、例えば歌詞や曲の背景にあるストーリーなど?

自分の中では歌詞だと思います。昔の曲でもう一度出そうと思える曲は、どれも歌詞に思い入れがありますね。

-逆に、当時に出さずに温存する曲は如何でしょう?

その時、自分の求める音を作れなかったらかな。自分の技量もそうだし、仲間もそうですが、自分が完璧だと思える状態では無いのなら、世に出さないという感じですね。今は一緒に制作することも増え、自分の求めていた形で、より良いものとして出せる曲が増えて嬉しいです。仲間との出会いのおかげですね。

 

-基本的に制作の流れは作詞からスタートされるのでしょうか?個人的には、まずストーリーを構築されるという印象がありまして。

詞と曲を同時に作る時が多いですね。なんとなく最初からサビまでのワンフレーズを作って、後半の歌詞はトラックを作り上げてから書く感じ。最初の核を同時にまとめて行きます。

-「わたし」という一人称も「きみ」「あなた」というもうひとりの人物も、「わたし」から見たストーリーや何かしらの体験を当てはめて行くのかな?と、個人的な仮説を持っていたので、一緒に作られているというのは意外でした。

そうなんです。だから、最初から明確に“この視点でこういうストーリーを、こういうテイストで書く”ということはあまり考えていなくって。メロディにハマる言葉からヒントを得て、という感じなんです。

-そもそも、曲中の一人称はkiki vivi lilyさんの体験も含まれる?

全て妄想なんです(笑)。

-妄想のインスピレーション源はあるのでしょうか?

やっぱり、ユーミンだと思います。彼女の歌詞はその曲によって、いろいろな人になるじゃないですか。でも、誰もその人を彼女自身だと思って聴かない。そういうスタイルに憧れてて、私も聴く人がその時々で色々な主人公になれる曲にしたいと思っています。

 

-因みに「三段タワーのアイス」や「青いハイヒール」など、ときめきの固有名詞が個人的に素敵だなと。kiki vivi lilyさんが日常でときめく瞬間はありますか?

切ない瞬間や匂いですかね。匂いはずっと残るものだと思うので、この香りがしたらその瞬間がフラッシュバックするみたいな。そういった瞬間を直接に言い表すのではなく、なにかを象徴する別のもので表現したいと思っています。

-私生活でも音楽でも、どのようなジャンルでも良いのですが、kiki vivi lilyさんのこれだけは譲れないこだわりはありますか?

“自分が聴きたい曲しか作らない”というのはあります。自分が一番自分の曲のファンでありたいですよね。

-その中で、ご自身の楽曲で最も繰り返し聴いた曲は?

最近では『ココロオドル』をずっと聴いています。アップテンポなので自分自身もすごく元気になります。単純に元気になれるのは良いですよね。

-個人的に、kiki vivi lilyさんを表すワードは“色”であると思うのですが、自身を表すならば何色だと思いますか?

まだ定まっていないのですが…、緑色になりたいと思っています。今の自分は、オレンジや黄色っぽい感じで…。これから人間的にも音楽的にも、もう少し深みを出したいんです。それを象徴する色が緑色かな?

-今の色が、オレンジや黄色であるのは何故?

kiki vivi lilyとして、みんなが前向きになれる、ポジティブになれるものを作ってきたけれど、次の段階に行きたいというか。もう一歩、みんなの心に踏み込めるような音楽を作りたいんです。

-人の明るい面だけでなく、その裏側や背景も表現して行くと。色の変化をお伺いしましたが、その中で、変わりたくない軸みたいなものはありますか?

そうですね、現実を歌うことも大事なのですが、ユーミンが私を色んな世界へ連れていってくれるように、現実でどんなに辛いことがあっても、“kiki vivi lilyを聴くと違う世界へ行ける”と思ってもらえるような音楽を作り続けたいです。

 

-共感性の高い楽曲は勿論沢山ありますが、ストーリーに入り込めたり、連れて行ってもらえたり、それがオンタイムで聴けることは凄く嬉しいですよね。それこそユーミンを聴いて、曲と共に当時へタイムスリップをすることは出来ますが。リアルタイムであることがポイントかも知れません。

音楽とはそういうものですよね。いろんなところに連れて行ってくれる楽曲のひとつに、kiki vivi lilyがあれば嬉しいですよね。

-個人的には深緑色の楽曲も楽しみにしています。月並みですが最後に、読者の皆様に伝えたいことを教えてください。

わたしこそ月並みになりますが…。どんなことを言われても、自分の信じる道を進めば必ず答えは見えてきます。私も、みんな就職などをしている中、5~6年もの間、小さなライブハウスで歌い続けてきて。当時は自分だけ何をしてるんだろうって、思うときもありました。でも、続けていくうちに周りの見る目も変わるし、突き抜けられることが自信に繋がるので、信じたことを続けて欲しいです。

時代的に辛い事もあるけど、kiki vivi lily の音楽で少しでも皆さんの日常を照らすことができるよう、これからも音楽を作り続けたいと思います。

 

Photographer:Cho Ongo
Interview&Text:Yoshimura Ayaka

【リリース情報】

kiki vivi lily 『Good Luck Charm』

Release Date:2020.12.11 (Fri.)
Tracklist:
1. Radio (Intro)
2. ひめごと
3. ココロオドル with nobodyknows+
4. The Libertines
5. Touring (Prod. by Kan Sano)

6. See you in Montauk

【kiki vivi lily(キキヴィヴィリリー)】

福岡県出身。
スウィートで魅惑的な歌声とブラックミュージックを下地にした類稀なるメロディーセンスで、ポップス〜ヒップホップを横断する注目のシンガーソングライター。
唾奇×Sweet Williamとのコラボレーションでもその名を轟かせ、2019年6月に1stフルアルバム「vivid」を発表、プロデュースに冨田恵一やSweet William、レコーディングにはWONKが参加して制作され、1stアルバムながら、音楽専門誌「MUSIC MAGAZINE」のレビューでは10点満点を獲得するほか、各サブスクリプションサービスで多数のプレイリストに選曲、Spotifyでは人気プレイリスト「Women’s Voice」のカバーアートとして採用されるなど話題を呼び、玄人のみならず幅広い音楽愛好家を魅了。

2020年12月に1年半ぶりとなるデジタル限定ミニアルバム「Good Luck Charm」をリリース。

公式サイト:https://columbia.jp/artist-info/kikivivilily/prof.html
Twitter:https://twitter.com/ki_vi_ly
Instagram:https://www.instagram.com/kiki_vivi_lily/