【世界で活躍する日本人#5】ファッションデザイナーとヘアメイクスタイリスト、同郷の二人】

世界に飛び出し、厳しい環境の中で自身のクリエイションに情熱を注ぐ日本人クリエイターを紹介する企画『世界で活躍する日本人』

今回ご紹介するのは、同郷で、同じ専門学校出身・・・

そして海外へ行っても同じ国でクリエイションをしているファッションデザイナーの『小西翔』さんと、ヘアメイクスタイリストの『京嶋純代』さんだ。

実は、二人の歩んできた環境は全て偶然なのだ。

第三者から見て、互いにどんな思いを抱いてクリエイションしているのだろうか。

今回は、そんな二人の昔から今までのストーリーと、それぞれのクリエイションへの思いを伺った。


(小西さん衣装デザイン・制作、京嶋さんヘアメイクの共同作品)

ーーいつからその場所で活動を開始したのですか?

小西さん「2015年夏からNY、2016年夏からパリです。」

京嶋さん「2016年6月からパリです。」

ーー何故日本ではなく、その場所で活動する事を決めたのですか?

小西さん「趣味だった海外旅行を機に訪れたモロッコで、直感的に国境を超えた人付き合いがしたいと思った事がキッカケです。」

京嶋さん「中学生の時からパリコレクションでヘアメイクをする事が夢で、その夢を叶え世界で活躍出来るヘアメイクになる為にパリで活動をする事を決めました。」
 


 

京嶋 純代(きょうしま すみよ)
1992年 高知県生まれ
2015年 東京モード学園ヘアメイクアーティスト学科卒業
2015-2016年 渡仏 Christian Chauveau卒業
2016年〜パリでアシスタントをメインとしながら、雑誌やshowなどでフリーランスヘアメイクとしても活動。モードやクリエイティブだけではなくボランティアなどの活動にも意欲的に参加。
ヘアメイクの様々な可能性を追求している。

受賞歴
ミルボンフォトレボリューショングランプリ受賞、ユーカリジャパンデザイナーズアワード入賞、受賞多数

ーー日本とその場所の違いはなんですか?(ファッション面に限らず、多方面において) 

小西さん「日本と違うところは自分的にほとんどの事全て。逆に共通点を見つけた時に気付くくらい。
日本を出てみて日本について新しく気付く事も多々ありますね。特に一番の違いだなと感じたのは、全く知らない人と目を見て挨拶する所。ニューヨークでもパリでも必ず挨拶やウインクをするし、ありがとうと相手を思いやる気持ちをみんなが表現しているので、何気ない日々でも気持ちが穏やかになります。自分が海外で明るく毎日を過ごせるのは、これが理由だと思います。」

京嶋さん「勉強、仕事など日々の生活の仕方は一緒でも、やり方や考え方は全く違うとパリで学校に通い今仕事をしていて凄く実感をしています。フランスのいい所は、皆、仕事をする時は仕事をするけど、休む時は休むという”メリハリ”が凄く上手な所です。ダラダラ仕事をするのではなく、短期集中型。日本のいい所は、皆の仕事に対しての姿勢が本当に真面目な所です。時間の正確さや製品の精密さ、お客様への対応の仕方は日本が一番ではないかなと思います。ファッションやヘアメイクはパリは基本的にナチュラルな人が多くて、想像していたよりお洒落な人が少ないイメージがあります。それぞれ個性がはっきりしているから周りを気にしていないのかな?」

ーーその場所にいて、日本人として経験した苦労はありましたか?

小西さん「日本人として苦労したことは本当に無く、日本人である事に誇りと感謝です!」

京嶋さん「語学力で苦労する事は来た当初も今も勿論あります。でも、日本人だから苦労したと思った事は今までありません。むしろ楽しい事の方が多すぎます!」


(撮影後の小西さん(左)と京嶋さん(右))

ーー今後、日本に帰国して活動しようとは思いますか?

小西さん「日本帰国は今の所考えていません。人との巡り合わせで人生歩めてこれているのでこれから先の出会いによっては帰国して活動させていただく事も前向きではあります!」

京嶋さん「いずれは日本に帰国して活動しようと思っていますが、時期などはまだ未定です。
しばらくは海外で経験を積んでいきたいと考えています。」

ーー二人は同郷で、高知県から東京へ出て同じ学校へ通ったと伺いましたが一緒に通おうとして入学したのですか?

小西さん「自分が2012年4月に入学し、純代(京嶋さん)が次の年に入学しました。ですが、実はお互いまったくその事を知らずに翌年の成人式にて再会、その時に純代がモード学園への進学を決めている旨を聞きお互い衝撃を受けた・・・という流れです。お互い一匹オオカミ気質なので、そもそも一緒にでてくる感じではないですね(笑)」

京嶋さん「小西が答えた通りお互い知らずのモード学園入学でした。小西が東京に行っている事は知っていたんですが、モード学園でファッションを勉強しているとは知らずに、成人式の時はただただびっくりした思い出があります。」

 


 

小西 翔(こにし しょう)
1991年:高知県生まれ
2015年: 東京モード学園高度専門士コース卒業
2015 – 2016年: 渡米 NYにてフリーランスデザイナーとして、また数個のファッションブランド、コスチュームデザイナーの元でアシスタントとして経験を積む
2017年: Paris College of Art オートクチュール&ハイテクノロジー大学院コース 在学中。ファッションデザインを通し、表現の可能性を追求。カスタムオーダーを中心に衣装制作や、アートとしてギャラリーに作品提供を行なっている。

受賞歴
金澤ファッションコンペティションレディース部門大賞、  LINEAPELLE ITALY 受賞、他受賞多数

HP http://sho-konishi.com

ーーお互い同郷、同じ学校出身ということで、ライバル心のようなものはありますか?お互いの、お互いに思う当時の気持ち、今の気持ちを教えてください。

小西さん「ライバル心というより応援する気持ちが他の誰によりもありました。ジャンルの違う人に対するライバル心はあまり抱いた事がなくて、一緒に何かできるんじゃないかと相手の成長をとても楽しみにしていました。※校費留学のくだりを除いて・・・・。(笑)今は、ただただ単純に純代の技術の進歩に感心します。自分もプロとして対等に仕事ができるように頑張ろうと作品を見るたびに刺激をもらいます!」

京嶋さん「在学中、小西はライバルというか私の中では良き友達で、理解者で、ライバルでしたね。いつも何か作品撮りをする時にああでもないこうでもないと話をしながら良いものを創りあげていくのも凄く楽しかったです。なにより小西のこだわりや発想力、行動力には尊敬するし、刺激を貰っていて。その気持ちは今も変わらないです。昔も今も、ただひたすら安いお酒を飲んでくだらない話をしたり将来こうしたいねーとか話している事がとても楽しくてモチベーションが上がります!」

 

※校費留学制度について
モード学園はフランス、イギリス、イタリア、アメリカの一流専門学校や大学への校費留学制度を設けています。留学に必要な入学手続や費用(渡航費および学費1年分)は学園が負担します。国際感覚を体得し、専門分野をグローバルな視野で価値判断できるクリエイターの育成を目的としています。(※校費留学制度についてモード学園はフランス、イギリス、イタリア、アメリカの一流専門学校や大学への校費留学制度を設けています。留学に必要な入学手続や費用(渡航費および学費1年分)は学園が負担します。国際感覚を体得し、専門分野をグローバルな視野で価値判断できるクリエイターの育成を目的としています。(出典:https://www.mode.ac.jp/tokyo/mind/networkより)

ーー将来的にどんなクリエイターになりたいですか?

小西さん「もの凄くシンプルに言うと、何かを創る事に一生かけてときめいていたい。無邪気になれる対象がファッションだったら幸せだなと思います。」

京嶋さん「愛情に溢れたクリエイターになりたいです。ヘアメイクで一流の仕事をしていきたいとゆうのも目標なんですが、今ボランティアに凄く興味があって自分の技術で誰かが凄く幸せになってくれたり、誰かの人生のターニングポイントになれるようなヘアメイクが出来たら本当に幸せだな、と思っています。」

学生時代の小西さんと京嶋さんの共同作品

 

切磋琢磨し、成長し続ける二人。

今回、作品撮りした写真やお話を伺う事で、二人は学生時代からプロ意識を持って作品製作に取り組んでいたのだという事、また、それぞれ強い意志とクリエイションに対しての真剣さを持ち、各職種で活躍しているという事が十分に見受けられた。

海外で活躍するクリエイターの中には、たった一人で思い悩んだり行き詰まったりしてしまうクリエイターもいる中で、この二人の様に、昔から慣れ親しんだ仲間と同じファション業界で同じ志を持ち、

今でも近くでクリエイションを共有し、夢を語り合える環境はなかなかないし、互いに助け合える運命的な仲間に出会えた事はとても素敵な事である。

これ以上に切磋琢磨という言葉が似合う二人はいないだろうとさえ感じる。

クリエイションは、生みの苦しみとはよく言ったもので”己との戦い”であるのかもしれないが、この様に理解者が近くにいて、自身の考えを簡単にアウトプットする事ができる環境が互いをより成長させ、より創造力を高める事につながるのではないだろうか。