【世界で活躍する日本人#3】『 串野 真也 』の魅せる靴

世界に飛び出し、厳しい環境の中で自身のクリエイションに情熱を注ぐ日本人クリエイターを紹介する企画『世界で活躍する日本人』

今回は京都にアトリエを構え、日本のみならず、ニューヨーク・ロンドン・パリなどでシューズデザイナーとして活動する串野 真也さんにお話を伺った。

http://www.kawaiilabotokyo.com/2014/09/killer-heels-at-brooklyn-museum.html

 

串野 真也(くしのまさや)

 広島県の因島出身、高校卒業後は京都芸術デザイン専門学校に進学する。その後イタリアへ留学。ミラノでファッションデザインマスターコースを履修した。靴のデザイン画で、「JILA LEATHER GOODS AWARD 2007」グランプリを獲得。それを機に、自身のレーベル『Masaya Kushino』を設立した。Lady Gaga(レディーガガ)も彼の靴を履いたことで、より注目を集める。昨年京都にアトリエを構え、日本のみならず、ニューヨーク・ロンドン・パリなど世界で活躍中。

ーー何が串野さんを靴のデザイナーに導いたのか?

ファッションの中でも靴は特殊で、人が身に付けなくても形が変わらない点が彫刻的で興味深く、人の重心を支える為に制約が多い点に魅力と可能性を感じました。

ーー京都芸術デザイン専門学校卒業後、イタリア留学を決めた理由は?

高校生の時から、パリコレクションで発表するデザイナーになるのが夢だったので、海外に留学しました。

イタリアを選んだ留学は、学生の時に海外研修に行った際、とてと楽しかったのと、当時ミラノコレクションが面白く感じたからです。

ーーイタリア留学で衝撃を受けたことは?

日本で勉強した事が通用せず、自分が何も出来ないと知った事です。

ーー憧れの人や目標にしている方は?

昔は、 Alexander McQUEEN(アレキサンダー・マックイーン)やJohn Galliano(ジョン・ガリアーノ)に憧れていました。

今は、尊敬出来る友人達から色んな事を学んでいます。

ーーデザイナーになってから一番嬉しかったことは?

新しい靴が完成する度に、嬉しくなります。

ーー日本/ 海外(世界)とのデザインの評価に関して違いを感じたことは?

日本は独特の文化が発達しているので、他の国から見たデザインの評価は異なる点が多いと思います。

特に、フォーマルなシーンが少ないため、モードを得意とするブランドは日本では少ないですね。

ーー日本を出て、自分自身が成長した/ 変わったと思うことは?

異国の文化に触れた事により、表現の幅が広がったと思っています。

また、海外に出た事で、日本の文化の面白さを再認識出来ました。

ーーアトリエを京都にした理由は?

古くから続く文化が多く残っており、学ぶ事がたくさんあります。

また、独特な時間の流れがあり、自分に合っているためです。

その他にも、魅力的な要素がたくさんあり過ぎて、言い尽くせません。

ーーオーダーメイド販売で、一般販売をしていない訳とは?

商業として多くの人に履いてもらう事を目的とした靴を作ってないためです。 

しかし、今年から、量産する靴のブランドをスタートします。

出典:http://www.jeremyriad.com/blog/design/pop-couture/reborn-shoes-of-masaya-kushino/

ーー『履くための靴、“履かない靴“』を他のメディアで取り上げられていましたが、なぜ皆に売れる靴でなく、ユニークなデザインに凝った “違った”靴をつくろうと思ったのか?

自分にはそれしか出来なかったからです。

作りたい靴を考えた結果、履きやすい靴ではなかっただけです。

ーー動物、花や植物など、デザインのアイデアはどこから生まれてくるのか?

因島という、島で産まれ育ったのが影響していると思います。日常に自然が多くあり、常に触れていました。

また、昆虫や動物、自然のフォルムの事を、自分でファイルデザインだと呼んでいるのですが、常に進化していて、今その一瞬に最終形態になって最新形態になります。

これは、すべての環境が影響していて、人知を越え、コントロール出来ない事なのです。

だからこそ美しいし、魅力的。 私達が、夕陽を見た時に美しいと感じるのに、理由が無いのと同じ事だと思います。

また、美術品や骨董品などからも、インスピレーションを受ける事があります。

 

出典:http://masayakushino.jp/creation/lung-ta.html

ーーLady Gagaが串野さんの靴を彼女のアルバム「ARTPOP」で履いた経緯とは?

スタイリストの方からコンタクトがありました。

ーー靴のデザインから完成までに掛かる平均期間は?

作品によって違うのですが、3〜6カ月くらいかかる事が多いです。

また、今は5年ほど掛けて作る靴の製作も進めています。

ーーメンズのシューズやスーツ/バッグのデザインまでしていますが、将来お店を出す予定は?

昨年、京都にアトリエを構えたので、その一階をショールームにする予定です。

ーー世界で活躍するため必要なもの/ことはありますか?

挑戦する事、自分を信じる事、そして行動力が大切だと思います。

ーー将来デザイナーを目指す方たちへメッセージを……

物で溢れている世の中なので、デザインする事は大変な仕事だと思います。

しっかりと自分の意志を持ちながら、柔軟な考えも備え、自分らしさを見つけて下さい。

ーー今後の目標は?

100年、200年後、未来の人達のインスピレーションになる作品を残したいです。

そして、新しくスタートするブランドとしては、もっと身近な人達が幸せになるような靴も作りたいと思っています。

http://masayakushino.jp/

 

「挑戦する事、自分を信じる事、そして行動力」

 

 彼が世界で注目を集めた理由の1つは、動物や生き物の真の美しさを様々な素材を使い、”魅惑”のライン/スタイルとして表現したことだと思う。
 
じっくり見れば見るほど細部の美しさに見惚れて、どうやって創られたのか、プロセスまで想像させてくれる。

世界には、さまざまな国、人、美しさが存在するように、価値観も違い、可能性も限界を感じさせない。
 
自分が大好きな事、出来る事に、常に挑戦していれば、いつか世界のどこかで評価されるかもしれない。

世界に出て実感する芸術の幅広さ/素晴らしさ、世界に出て解る日本の良さ。

ざまざまな経験を経て創り出される『Masaya Kushino』の作品。

 

『魅せる靴』

彼は自身のVOGUE blogで、「日常的に履く事を目的にした靴ではなく、彫刻的な要素を主軸とした作品をメインに制作しています」と紹介している。
 
私が彼の作品に出会ったのは、2014年ブルックリンミュージアムで開かれた、『Killer Heels』

ファッション業界の友達に、「私が尊敬する、日本人デザイナーの展示会」だと紹介を受けた。
 
彼女は、「『Masaya Kushino』のシューラインをニューヨークで出して欲しい。

ニューヨークには、常にユニークで斬新なデザインを求めて、その美のために、多額を投資する人が大勢いる。」
と大絶賛していた。

展示会では、PRADA(プラダ)やChristian Louboutin(クリスチャン・ルブタン)など世界のラグジュアリーブランドと同じ舞台で、

NYの取材(ウォール・ストリート・ジャーナル)でも、彼のハイブリット(異なる素材を融合した作品)を高く評価され、Heel lovers達が、彼の作品の前で、目を輝かせていた。
 
見惚れてしまった、きめの細かい"魅惑”の芸術が、日本人の作品と知ってとても誇りに思う。

私がNYで出会った、『靴の芸術』は死ぬまで思い出に残る、手には届かない『魅せる靴』だった。

日本では、2016年『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』の15周年コラボ商品として、『やり過ぎ』をテーマとして、ゴールドのヒールを販売。

超豪華なこのヒールの値段は、200万円。彼の遊び心が『やり過ぎ』なほど出ている作品である。

 

今回ロンドンの展示会で大変お忙しい中、丁寧に優しくインタビューを受けてくれた串野さんに、感謝で一杯だ。彼の活躍が今後、ファッション業界をより盛り上げ、一人でも多くの才能が、彼を参考に世界に挑戦して欲しい。現在『YKK London Showroom』にて彼の展示会が2月18日まで開催中。ロンドンにいる方はぜひ。

 

source:http://www.wsj.com/video/killer-heels-get-a-museum-exhibition/2FA7BC25-6D7B-495A-807F-E4406A006E2B.html
https://www.instagram.com/explore/tags/masayakushino/
http://masayakushino.jp/
http://www.fashionsnap.com/news/2016-11-16/15th-usj-200shoes/
https://www.youtube.com/watch?v=xhB1LYu37Ow