POSTED ON 2017年2月6日 1 MINUTE READ BY SIXTYMAGAZINE TEAM
世界に飛び出し、厳しい環境の中で自身のクリエイションに情熱を注ぐ日本人クリエイターを紹介する企画『世界で活躍する日本人』
今回は、ニューヨーク・ミラノ・東京と国内外のさまざまな都市で活動するファッションモデル『炭矢尚輝』さんに話を伺った。
炭矢尚輝( naoki sumiya)
ファッションモデル。Fenton所属。
1988年生まれ、福岡県出身。大学在学中にスカウトがきっかけとなりファッションモデルの道へ。シンガポールにおけるファッションショー出演、雑誌の表紙モデルを経て海外へと活躍の場を広げる。現在はニューヨーク・ミラノ・東京の事務所に所属し、各国で精力的に活動を続けている。
ーーファッションモデルになろうと思ったきっかけを教えてください。
モデルをはじめたきっかけはスカウトです。路上とかのスカウトではなくて、当時働いていたアパレルショップである方に声をかけていただいたのがきっかけですね。
その時僕はまだ大学生で、これから何を仕事にしていこうか全くわからなかったんです。そんな時に声をかけていただいたことで「ちょっとやってみようかな!」というところからモデルのお仕事がはじまりました。
モデルとしてのキャリアは5年ほどになります。声をかけていただいて仕事を少しずつはじめたのが大学在学中で、ちゃんとモデルとして活動しはじめたのは大学卒業後になります。
ーーいつから海外で活動を開始したのですか?
海外でモデルのお仕事をはじめたのは、このお仕事をはじめて3年目くらいだったと思います。
きっかけはモデルの先輩に海外でモデルの仕事をやってみないかと誘っていただいたことですね。当時僕は東京の事務所が決まっていなくて、いろいろと試行錯誤していた時期だったんです。
個人で自分の写真を撮影したりしていたんですけど、その時によく海外で仕事をされている先輩に「海外で仕事をしてみないか?」と誘ってもらい、その流れのままに海外へと飛び出していったんです。
初めて海外で仕事をしたのがシンガポールでした。
シンガポールでは事務所探しからはじめたんですがすんなり事務所が見つかったんです。
数ヶ月後のシンガポールのファッションウィークでファッションショーに出演し、雑誌の表紙のお仕事なんかもさせていただいたんですよ。
その時に自分は海外の仕事の方がなんだか合っているなって感じたんですね。そこから本格的に海外で仕事をするようになりました。
出典:http://www.fentonmodels.com
ーー日本と海外のモデル業界の違いはありますか?
仕事の違いというのはほとんどありません。
モデルの仕事というのは事務所に所属して事務所が獲得してきたオーディションを受けて、それに合格したらその仕事に出演できるというものなんです。
事務所の動き方だったり仕事の仕組みというのは日本でも海外でも同じですね。
ただちょっと違うなと感じるのは、海外では仕事を得るために受けるオーディションにかかる時間がとても短いです。
それに比べて日本、特に東京は広告系の仕事を扱っている事務所さんが多く、オーディションの中にちょっとした芝居なんかをしなければいけないことがあったりして、オーディションにかかる時間が長いんですよ。
でも海外においては自分のブック(フォトブック)を見せて、事務所の人の携帯電話で数枚モデルの写真撮影をしてそれだけで終わりなんです。笑
オーディションにかかる時間は本当に短いんですよ。
ーー海外で仕事をする上で、日本人として苦労した経験はありましたか?
日本人だから苦労した経験というのは、僕は特にはないです。
というのも、海外からしてみたら中国人でも韓国人でも日本人でも同じアジア人なんです。
だから日本人という点で何か特別苦労したということはないですね。
ただ、しいて挙げるとしたら言葉の壁くらいです、僕は英語が全く話せないんですよ。
でも撮影前のテストで相手が求めていることをちゃんと理解して、その現場の衣装や雰囲気をみて相手の要望に応えられるように動いているので言葉の壁も上手くクリアできていると思います。
ーーモデルをはじめる前とその後ではイメージが違ったことはありますか?
ありますね。僕もそうだったのですが一般の方からすると、モデルといえば雑誌で自分がメインに写っているお仕事をすることが多いというイメージを持たれるかと思います。
でも実際はCMや広告にサブ的ポジションとして出演することが多いんです。
CMの中の登場人物の一人だったり、芸能人の方の後ろに写っている一人っていう役柄ですね。
しかもCMに登場するといっても画面に1秒写ってるか写っていないかなんてレベルだったりするんです。
なのでモデルの仕事をはじめた時にイメージが違うこともありました。
ーー各拠点(NY・ミラノ・東京)の違いは何かありますか?また場所によって表現の方法を変えていますか?
「国によって撮影される写真の雰囲気は全然違います。
僕の中の印象だと東京とニューヨークは似ていて騒々しい感じや雑多な感じ。
ヨーロッパは全体的に色づかいが鮮やかで綺麗な感じ、街や景色自体も美しい場所が多いですからね。
各国によって雰囲気は違いますけど、僕自身は自分の表現の仕方を国によって変えたりはしないです。
モデルとしての「僕らしさ」は一定に保つようにしているんですよ。
そういった部分を好んでくれる各国の事務所に所属しているので、特に自分を変えたりはしていません。
ーーモデルとして活動する中での幸せな瞬間を教えてください
「仕事をしている時がモデルとして活動する中で幸せな瞬間ですね。
ファッションショーも雑誌の撮影もすごく楽しいし、モデルとして仕事ができていることが僕としては幸せです。
やはり世界中からモデルが各都市に集まって仕事を獲得しに来ているので、必然的にハードルも上がります。
そういったたくさんのライバルたちがいる中で自分が仕事ができているというのが幸せなことだと思います。
ーー今後、日本に帰国して東京をメインに活動しようとは思いますか?
「今は日本(東京)に戻って、日本だけで仕事をしようとは考えていないです。
僕自身、東京の雰囲気がなんだか合ってないような気がするんです。
それは仕事云々ではなく私生活の部分なんですけどね。笑
なんだか東京だと人とコミュニケーションが少ないような気がして、そういった部分では海外とかの方が僕には合っていると思うんです。
ーー今後の目標について教えてください
2017年はニューヨークを拠点にして活動をしていこうと考えています。
そのためのアーティストビザを取らないといけないんですが、自分の性格が面倒臭がりなんで書類の準備とかを後回しにして、撮影ばっかりしちゃってたんです。笑
なのでまずはその準備を終わらせて渡米するのが第一の目標ですね。
ーー最後に一言伝えたいことはありますか
「これは読者さん向けではなくてモデルさん向けになってはしまうんですが、僕個人としては日本人のモデルさんにもっと海外で会いたいです。
海外で活動している人もいるけど、まだそれほど多くはないと思います。
実際に海外で活動してみて僕自身が感じているのは、東京だけじゃなくて海外にも活躍の場はあるし、海外には楽しい仕事がたくさんあります。
言葉の壁を心配する人もいますけど、実際に外に出てみると言葉はそれほど問題ではないというのが僕の考えです。
心配ばかりせずにまずは海外へと出てみなよって伝えたいですね。
華やかに見えるファッションモデルの世界。
しかし実際は事務所に所属するだけで仕事が回ってくることは難しく、自分で仕事を獲得しなければ仕事がないという厳しい世界でもある。
今回、パリ市内での撮影に同行してのインタビュー実施だったが、インタビュー中は終始にこやかとした表情で質問に答えてくださった炭矢氏が、撮影になると途端に表情が変わった。
「仕事のONとOFF」という表現はまさにこのことだろう。
彼のスイッチがOFFからONへと変わった瞬間に彼の表情から艶が増したような気がした。海外のサバイバルを生き抜いてきた彼が身につけたものが、まさに表現された瞬間だったのかもしれない。
2017年、炭矢氏はニューヨークへ拠点を移す。
アメリカという国の中でも、飛び抜けて大胆で自由な街こそがニューヨーク。
そんな場所でさらなる刺激を受けた炭矢氏はどうなるのか。
彼の今後の表現がとても楽しみである。
炭矢氏の歩みは、まだまだ止まることがなさそうだ。