英語で『最高』という意味のアメリカ発ファッションブランド、『Supreme(シュプリーム)』。
スケーターカルチャーの中心的な役割を果たし、さらには、アーティストやフォトグラファーなどからも高い支持を得ている。
近年日本でも人気を誇っているが、人気度が上がると共にレア感が上がり、実際ブランドについての情報は少ない。
愛用者でも意外と詳しくないこのブランドを紹介しよう。
始まりはスケーターに向けた真のスケートショップ

ニューヨークにかつてあった伝説のセレクトショップ『Union NYC』のオーナーJames Jebbia(ジェームス・ジェビア)は、カリフォルニア発のブランド『Stussy(ステューシー)』の創設者Shawn Stussy(ショーン・ステューシー)と出会い、共にニューヨークにStussyのニューヨーク支店『Stussy NYC』をオープンさせた。
しかし、ジェームスは増え始めたスケートショップのやり方に疑問を抱くようになり、スケートシーンは排他的なところが魅力的だと思っていた彼は、スケーターだけのための真のスケートショップをと考るようになった。
そして1994年、ジェームスがマンハッタンのラファイエット通りに彼のオリジナリティに溢れる真のスケートショップをオープンさせた。
このスケートショップが『Supreme』の誕生につながる。
彼が自らデザインを手がけた、地元のスケーターが気軽に入れるような広々とした店内には組み立てたスケートボードを店内で試し乗りできるよう中央に空スペースも設けている。
スケートショップをオープンさせたのがブランドの始まりではあったが、現在はニューヨークを代表するストリートブランドとしてアパレル、アクセサリー、シューズ、スケートボードなど幅広く生産、販売している。
ストリートシーンを席巻する『Supreme』
ブランド設立直後、ケイト・モスをモデルに起用した『カルバン・クライン』の広告に『Supreme』ロゴのスティッカーを貼るという大胆なプロモーションで一気に知名度を上げたことは有名な話だ。
2007年には『NCAA(全米大学体育協会)』、2009年には『NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)』などのデザインを真似た。
他にも有名高級ブランドのデザインのパロディーアイテムをリリースして告訴されるなど何かと話題を呼んできた。
今では、ケイトがシュプリームのロゴTシャツを着るという、過去の因縁を彷彿させるコラボレーションも発表されている。

かつてはTシャツのみにプリントにされていた赤地に白抜きのボックスロゴは今ではブランドの象徴となり、どのアイテムにも印されている。
また、色のバリエーションも増え、異なる雰囲気が楽しめるように。
ロゴが大きくプリントされたシンプルなアイテム以外には、顔がプリントされたアイテムやメッセージ性の強いアイテムも人気。
古着のファッションアイテムでも『Supreme』はプレミア価値が付き 、若者の間でカリスマ的ブランドとして認められていることがわかる。
新作が発売される日にはお店に長蛇の列ができることも多い。また、ネット通販でもすぐに売り切れるほど人気だ。

ロゴの秘密。『Supreme』を代表するロゴデザイン、『ボックスロゴ』
フランス人哲学者ルネ・デカルトの名言「I think therefore I am(我思う、故に我あり)」をインスピレーションにした、アメリカ人女性アーティストバーバラ・クルーガーの「I shop thereore I am(我買う、故に我あり)」というパロディアートが元ネタだという説がある。
彼女の作品とブランドのロゴは共に『Futura』というフォントを使用していて、近年ネット検索によるダウンロードも絶えない。
また『ボックスロゴ』シリーズのは年代ごとに少しデザインが変えられていて、生産拠点も異なるそうだ。
「made in usa」となっている2000年以前に製造されたフーディーやクルーネックなどは偽物と間違われることが多いが、実際1994年〜1999年までは製造拠点がアメリカであった。
それ以降現在に至るまではカナダで製造が行われている。

日本での圧倒的な人気と様々なコラボレーション
ブランド設立当初、日本ではニューヨークから買い付けられたアイテムのインポートショップでの販売しか見受けられなかった。
しかしその後、『有限会社ワングラム』が正式代理店となり、日本での本格的な販売が開始。
90年代当時巷で人気を誇っていた裏原宿系ストリートブランド『A BATHING APE』やスケーターブランド『HECTIC』の元ディレクターに着てもらったりと、PR活動やブランディングが勢力的に行われ、着実に人気を高めていった。
また、ストリートファッションのトレンドを発信していた男性誌にて絶頂の人気を誇っていた窪塚洋介をモデルに起用したSupremeの特集をほぼ毎号掲載することで、日本で不動の地位を確立した。
近年ではモデル水原希子や木村拓哉など年代性別問わず芸能人からのラブコールを受けている。
そして、毎シーズン話題を呼び続けているのが、ストリートの枠を超えたブランドやアーティストとのコラボレーションだ。
もともとスケートシーンという排他的で独自性が強いカルチャーを取り上げたスケーターブランドであるSupremeの、モードやラグジュアリー、スポーツといった、様々なジャンルとのコラボは、世の中にに凄まじい化学反応をおこしている。