世界中の数多くあるビジネスの中でも、ファッション産業は、まだまだ“人種差別”が残っている。

だからこそ、近年より多くのファッション・デザイナー達が、ランウェーを”社会的な主張”として使っている。

2017年は益々、多文化で年齢も人種も性別、体型も関係ないショーこそ評価が高い。

『The fashion spot』というアメリカのメディアで、ランウェイの多様化の面白いデータを見つけた。

http://www.thefashionspot.com/runway-news/717823-diversity-report-spring-2017-runways/

これは、ニューヨーク/ロンドン/ミラノ/パリから、2017年春のコレクションの299のショー(8832人のモデル)を調査したものである。

約75%が白人そして25.4%が有色人種(黒人/アジア人/中東/ラテン系)であった。

http://www.thefashionspot.com/runway-news/717823-diversity-report-spring-2017-runways/

有色人種を一番起用したシティーは、ニューヨークの30.3%。

2016秋コレクションより少し下がったものの、3割が有色人種。

私もニューヨークで2つのショーを見に行ったが、逆に白人が思ったより少ないという印象を受けた。

そしてパリが24.1%。ロンドン23.5%。最後がミラノで、20.9%だった。

上の棒グラフは、ニューヨークのショーでどのくらい有色人種がショーにキャスティングされていたか。

2015年から2017年にかけて10%も増えている。

近年『多様化』が進んでいるのが良くわかる。

http://www.thefashionspot.com/runway-news/717823-diversity-report-spring-2017-runways/

こちらは、左が最も有色人種のモデルを起用したブランドで、右は逆に少なかったランキング。

1位は『Yeezy (イージー)』。 キム・カーダシアンの旦那でカニエ・ウェストが手掛けるブランド。

97%有色人種で多様性に富んでいたと高く評価されていた。

『Yeezy (イージー)』 https://www.departures.com/fashion/fashion-predictions-2017/14

それに対して、多様性が見られなかった部門の1位は、日本のファッション・デザイナー『Junnya Watanabe』のショーだった。

彼は、3シーズン連続『whitewashed lineups(白人だらけのショー)』だったと言うから、残念である。

もう一つ、あまりリスペクトされなかったのは、『The Row』というフルハウスで有名になったオルセン姉妹が手掛けるブランド。

http://habituallychic.luxury/2016/05/the-row-in-new-york/

多様性がメディアで高く評価される

<トランスジェンダー・モデル>

『Marc Jacobs’s(マーク・ジェイコブズ)』は、キャストの約半分が黒人だった上、多くのトランスジェンダー・モデルの活躍で、より注目を浴びた。<プラス・サイズ・モデル>

『plus-size(ふくよかなモデル)』では、あのAshley Grahamが初のランウェイをMichael Korsのショーでニューヨーク・ファッションウェークのデビューを果たした。

http://celebmafia.com/ashley-graham-michael-kors-fashion-show-new-york-215-2017-693133/

彼女は色々な雑誌や広告に登場しているため、驚いたかもしれないが、実はニューヨークでデザイナーのショーに出るのは、これが初めてだという。

<50歳以上のモデル>

2017年春のニューヨーク・コレクションでは、13人の50歳以上のモデルが、ランウェイを飾った。

前回の11人から少し増え、モデル業界に年齢は関係ないと、変化を見せている。

 https://www.nytimes.com/2016/09/07/t-magazine/fashion/naomi-campbell-vfiles-interview.html?_r=0

スーパーモデル / ファッション・アイコンである ナオミ・キャンベル

彼女は、1988年黒人モデルとして初めてパリ版『ヴォーグ』の表紙を飾った。

2009年の雑誌『グラマー』のインタビューでは、以下のように述べた。

「あのね、アメリカの大統領は黒人かも知れない。
しかし、黒人の女性として私はまだこのビジネスの例外である。
私は常に等しく扱われることが難しいと感じる。」

この際メディアからは、ファッション産業はまだ「人種差別主義」だと、注目を集めた。

彼女は1980年代と現代のモデルの環境の違いについて以下のように語っている。

モデルとして活躍を始めた80年代は、モデルはもっとデザイナーに近くて深い関係だった。
あの頃は、デザイナーがモデル一人一人に合うサイズやデザインに調製したり、デザイナーと過ごす時間は長く、一緒に成長していた。

けど今は、業界も大きくなって競争率も高くなった。
だかたこそ、キャスティング・ディレクター/デザイナーの要望に応えられるかが、ポイントとなる。
会う際は必ず、清潔にメイクも薄く、ただシンプルが大切。
後は、デザイナーがあなた自身の美しさに何を足せばいいかを考えるから。

ナオミ・キャンベルは現在も人気が高く、「モデル界に差別が無くなるまで黙ることはない」と主張した。

http://www.teenvogue.com/gallery/nyfw-diversity-models-runway-inclusivity-spring-2017

『多様性』が生み出すビジネス

年齢/性別/人種/障害そして体のサイズという人の違いを、“個性”として、より多くの人が考えるようになった。

違いや個性があるこそ“美しい”と言う私たちの”美”への価値観も少しずつ変わってきているようだ。

最近では、ランウェイのショーも『多様性』があることが、多くの消費者から支持され、リスペクトさせるようになった。

これは売り上げにも繋がっているという。

今回アメリカで、トランプが大統領になり、長女であるイバンカのファッションブランドがボイコットされたり、ファーストレディーの衣装提供を拒否したなどで、デザイナーの評価がメディアで変動した。

消費者は購入する際、ブランド自身のデザインや質に加え、そのブランド/デザイナーの価値観/世界観なども、視野に入れるようになってきている。

ファッション産業は、今後より『多様性』が求められている。

http://www.thefashionspot.com/runway-news/717823-diversity-report-spring-2017-runways/

http://www.thefashionspot.com/runway-news/714027-ashish-spring-2017-runway/#/slide/7
http://www.thefashionspot.com/runway-news/710433-iamallwoman-interview/
https://www.nytimes.com/2016/09/07/t-magazine/fashion/naomi-campbell-vfiles-interview.html?_r=0