【21Questions】Elle Teresaに聞いた21の質問。「2年の時を経て、時代がエルに追いついてる」

沼津から独自の感性を発信するラッパー/アーティストElle Teresaの勢いが止まらない。自身に柔軟に揺蕩い、令和のミューズとして“Elle Teresa”の名を確立する彼女。そのラフで煌びやかな表情とは裏腹に、信念に忠実なアーティスト像に刮目したい。この21問と言葉たちが、いつかの“私たち”を鼓舞する金言となるはず。

 

Q1:そもそも音楽自体に興味を持ったきっかけは?

物心ついた時から音楽があったから、ここで興味持った!ってタイミングは無かったかも…。自然とそばにあった感じ。ずっと、TLCとかローリンヒルが好きでしたね。

Q2:幼少期はどんなお子さんでしたか?

今のまんまです(笑)。今のエルがそのまま小さくなったって感じで、やりたい放題でした(笑)。

Q3:因みに、当時の将来の夢は?

ダンスやってたから、ダンサーになりたいとは言ってたんですけど、ある時からもうダンサーじゃんって思っちゃって。ダンス好きだけど「ここから仕事にして、食べていけるのか?」って中学生くらいに思ったんです。で、ラップ始めて…。

 

Q4:当時からメジャーデビューを経て、制作のモチベーションなどに変化はありましたか?

あまり変わってないですね。「メジャーだからこうしよう」とか特に無くて。自然に好きなものを作ったら、みんなが好きな曲もそうじゃない曲も出来るし。だからあまりリスナーやバズを考えて作ってないかな。それをやっちゃうと逆に曲が作れなくなっちゃいそうで…。

-なるほど

ヒット出そうと思っても、ヒットするか分からないじゃ無いですか。「売れる!」って思っても、実際売れるか分からないし。

Q5:他のインタビューでも、“売れる曲を意図的に作って突然売れた”感覚が無かったのが、逆に良かったと仰っていましたよね。

そうなんです!でも売れたいし、ヒットしたい(笑)。ちゃんとやってれば、そういう日が来ると思うから、頑張ろうと思います。

最新曲『baD bitch』も媚びず、リリックもストレートですよね!

そうそうそう(笑)。でもあれは2年前くらいに作ってて、だから今とは少し違う感覚なんです。でも、そういう変化や当時の自分も好きだから、すごく気に入ってます。

Q6:今後リリースする曲でも、以前制作したものがあったり?

そうですそうです!最近の曲も、2年前に作ったものとか沢山あります。

-当時、めちゃくちゃ制作して、曲を貯められてた?

今もめっちゃ作ってますね。だから、ずっとストックが増えていく感じ。その中から選んで、良いやつをタイミングで出して、みたいな。昔は曲も少なかったから、今と比べたらクオリティーが低いのもどんどん出してたけど、今は“下手だけどそれが良いから出そう”とか、そういう余白が出来ました。引き出しが多いから、自分と一旦話し合えるというか。

 

Q7:日常で意識してること、インスピレーション源は何でしょう?

基本あまり1人の時間は無いけど、車に乗ってる時間は自分に集中できるので、色々考えられるかな?運転中と寝てる時間が唯一携帯も触らないから、1人で集中できるんです。エル、1人で運転する時間が好きなんですよ。その時に無になって考えるから、アイデアが浮かぶかも。

-確かに、分かる気がします。私も自転車によく乗るんですけど、乗ってる間だけ携帯も触らないから、音楽も自然と入ってくるんですよね!

ですよね!エルも普段そんなに音楽を聴いてないと思うんですよ。というか、流し聞きみたいな感じで。曲だけをスッと聴けるのは、車に乗ってる時だけかもしれない。でも、基本的に自分の曲しか聴かないんです(笑)。だって、めっちゃ良いから…。週に何曲も作るんで、自分の中ではほぼ毎日リリースされてる感覚なんですよ(笑)。

Q8:因みに、自身の楽曲の中で一番リピートしたものは?

うわ〜なんだろう…?録ったら次の日に50回くらい聴きます(笑)。一気にめっちゃ聴いて、「めっちゃ良いわ」ってなって、飽きたら次の曲作るみたいな感じ。

-なるほど、自分の中でサブスク回してるみたいな…。

そうそうそう!でも、それくらい色んな曲を作ってて、自分の中では結構前に進んでるけど、リリースは2年後とか。だから、“2年の時を経て、時代がエルに追いついてる”みたいな感じなんですよね(笑)。

 

Q9:エルさんの曲には“ビッチ”のワードがよく出ますが、世間的にネガティブに捉えられがちな“ビッチ”も、すごくポジティブに可愛く聞こえるんです。エルさんにとってビッチとは、どのような概念なのでしょうか?

ほんとに、息を吐くように言ってる(笑)。普段の会話で「あのビッチさ〜」とか言う訳じゃないけど、何だろう…。何にでも合うし、響きがいいから結構使っちゃうかな?深い意味はなくって、響きがいいから好き。

Q10:「考えがすぐ変わっていく」とおっしゃっていましたが、“これがきっかけで変化した”決定打みたいな出来事はありましたか?

2年前くらいに彼氏ができて、その人が大阪の人だったんです。エルは地元でみんなと曲作ってるのに、その仲間に何も言わず、すぐ大阪に飛んじゃったんですよ。結局半年後くらいに別れてみんなのとこに戻った事があって。やっぱり何も言わずに出て行った人のことを、歓迎する訳ないじゃないですか。その時にマインドが変わったというか、みんながいて、音楽やってることが当たり前じゃないんだなって思うようになりました。あ、ちゃんとしないと、こうなるんだって。凄く反省したし、周囲のありがたみを感じましたね。

-なるほど。

“みんなでやってる”ってことに、ちゃんとフォーカスして無かったんですよね。当たり前だと思ってたし、でもそうじゃなかった。そのタイミングは、今までで一番心境の変化が大きくあったかもしれない…。

Q11:幼少期から変わらないとおっしゃっていましたが、そのタイミングで変化や成長を感じた?

そうですね。でも、また戻ってるかもしれない(笑)。そう、自分の良いところでも、悪いところでもあるんですけど、エルは自分が思った時にすぐ行動しちゃうんです。大阪行ったのもそうだし…。みんなからしたら「何やってんの?」って感じだけど、リリックや曲に活きてる部分もある。でも、もう大人だからしっかりしないといけないし、当たり前の感覚が無かったなって。きっと、周りから人がいなくなるタイミングって誰しもがあると思うんです、エルはそこだったんだと思います。

 

Q12:“言いたいことを言えちゃう代弁者”のエルさんですが、これまで、言いたいことを言えなかったことはありますか?

無いかな…?言いたいこと言えない人とは仕事してないし、言えないような後ろめたいこともことも無いし…。エル、正直なんですよ、だから生きやすい。多分、正直じゃない人の方が生きにくいと思うんです。

-メジャーデビューで環境が変わっても、エルさんのその軸は変わらなかったと。

そうですね…!でも、あんまり考えたことなかったかも、面白い…。ちょっとこれから考えてみます(笑)。

Q13:思いついたら教えてください(笑)。では、どんなジャンルでも大丈夫です。これだけは譲れない“こだわり”は?

添加物を食べないこと。ストイックじゃないけど、なるべく添加物が入ってないものを食べるようにしています。栄養学の本も読むんですけど、健康って大事だし、結構気を使ってるかも…。あとは、まつ毛とネイルと唇。エルのファンはみんな気になってると思う!それくらいチャームポイントだし、めちゃくちゃこだわってます!

-因みに、普段は何を食べられていますか?てっきり、ずっとピンクのグミとか食べているのかと…。

そうですよね(笑)!エルもピンクのグミのキャラでいたい(笑)。だから大きな声で言いたくは無いんだけど…、自炊していますね。沼津にはオーガニックのレストランとか無いから、家で作るしかないんです。料理作るの好きなんですよ、意外でしょ(笑)?

Q14:ファッションポイントはどうでしょう?歌詞にもハイブランドの名前が出てきますが…。

ハイブランドは、前より買わなくなったかな…?でも、好きですね。コーデのポイントは、足を出して上半身を隠すスタイルにすること。首が詰まってるトップスとかを選んで買います!

 

Q15:「沼津からカルチャー自体を広めたい」とおっしゃっていましたが、具体的に沼津にはどういうカルチャーが?

エルは自分の世界でしか生きてないから、沼津って色んな人がいると思うけど、あまり関わりが無いんです。でも大阪だったらこう、川崎ならこう、みたいな土地のイメージが沼津には無いから、新しく作りやすいんですよね。サウスカロライナやニューヨークみたいに、サウンドが土地ごとで違うのを沼津で作っていきたい。そのためにはエルが頑張んなきゃ。

-沼津の理想系は?

アトランタかな。あそこって、結構田舎なんですよ。娯楽もあまり無いから、アトランタのアーティストは、朝から夜まで色んなとこでセッションをずっとしてるんです。エルも毎日スタジオ行ってるし、沼津もアトランタみたいな制作スタイルになれるはず。カルチャーって、作ろうと思っても作れるものではないから、地道にやっていかなきゃなって思います。

Q16:因みに、エルさんを知らない方に聞いてほしい楽曲はありますか?

『KAWAII BUBBLY LOVELY II』かな。これ凄く気に入ってて、POPなものからラテンっぽいもの、トラップミュージックもあるし、幅広いアルバムなので聴いて欲しいです!

-『on my Side』 のメロウな楽曲も、共感を呼ぶのかなと!

あれ、良いですよね!自分でMVも編集したので、すっごく気に入ってます。“エルの日常を覗き見しちゃった”みたいな感じを楽しんでもらえると思います。だから、エルのことまだ知らない人は、『on my Side』みたいな聴きやすい曲から入ってもらえるといいかな?ハードなやつも結構あるから、ギャップも楽しんでほしいです。そうなったら嬉しいなぁ…。

Q17:エルさんを支持するファンも増え、ステージも上がっていく中で、変わりたくない軸はありますか?

地元はずっと軸にしたいかな。海外で活躍したいから、ロスとか住もうかなって思ったこともあったけど、沼津でやってるから意味があると思うんです。毎日スタジオで同じメンバーと曲を作って、遊ばずに年取って、「今やってることに意味あるのかな?」って思うこともあるんですよ。でも、絶対に意味があるんです。それを信じて、これからも変わらず地元から活動していきたいですね。

Q18:なるほど。男女で分けるわけではないですが、女性でその場所に根を張り続ける方は特に珍しい気がします。“フィメールラッパー”とかそう言う枕詞の前に、沼津やこれまで地道に構築したカルチャーがエルさんの代名詞になったら素敵ですよね!

ありがとうございます!そうですね…、そこはもう変わらず頑張りたいです。たまに「センスあるね」って言う人もいるけど、努力した分、実力はついて来ると思うんです。最初はみんな何も無いから。だからストイックにやらないと、この世界絶対に無理だと思うんで。
やったらやった分帰ってくるし、自分が一番それを分かっているから…。

 

Q19:『Kawaii Doll (feat. RHYME)』で「私の周りは イケてる ミュージシャン 暴れるロックスター」と言うフレーズがありますが、エルさんにとって、イケてるミュージシャンとは?

うわ!そんなこと書いてたんだ…恥ずかしい(笑)!誰だろう…?海外とかでも、今はいないかな?というか、最近そこにアンテナを張ってないかも。前はめちゃくちゃアンテナ貼って、最新曲とかチェックしてたけど、今は誰がイケてるとか気にして無いかな?

Q20:ファンの反応はどう受け止めますか?

前、歯並びが悪かったのをめっちゃ書かれてて。「めっちゃ分かる」って思って、治しました。普通に「可愛い」って言ってくれるファンの方もいるけど、客観的にどう思われてるのか知りたい時もあるじゃないですか。自分が気にしてたことでもあったから「うわめっちゃわかる、エルも歯並び悪いと思ってた!」って受け止めていましたね。

-なるほど、フラットに見られてるんですね。「うわ〜こう書かれてる」とか、落ち込まないのは凄いです…。

だって、歯並びとか治せるじゃないですか!世の中って、少しずつでも改善できることがほとんどだと思うんですよ。だからエルは、自分が更に良くなるって捉えてるかも…。自分がちょっと良くなる一コマみたいな感じです。

Q21:最後に、今後の目標を教えてください。

ロレックスを買う!具体的な近々の予定です(笑)。10ポイントダイヤのロレックスを買おうかな。自分が稼いだお金でロレックスを買うことは、ずっとロマンですね。リリックでロレックスってずっと言ってるし、『おおきいロレックス』って曲もあるし。その次は、ネックレスと車買いたいかな(笑)。

-最高です!

バンバン良いものや好きなものをGETして、アーティストとしての成功をみんなに見せて夢を与えたいですね。ロレックス、もう来週買っちゃうかもしれない(笑)。

 

Photographer:Korogi Maho
Interview&Text:Yoshimura Ayaka

【Elle Teresa(エルテレサ)】

Hip-Hopで新たな“カワイイ”を体現するポップアイコン“Elle Teresa”

1997年静岡県沼津市生まれ。アーティストのYuskey Carterに見出され、ラッパーとしての活動をスタート。
2016年4月にリリースした1stミックステープ『Ignorant Tape』が大きな反響を呼び、ストリート・ファッション誌『WOOFIN’』の<2016’s Freshman>に選出。続く2017年2月に発表した2ndミックステープ『PINK TRAP』においてトラップにフォーカスしたスタイルを確立し、ストリート・ヒットを記録。
収録曲「Baby Tell Me Now」のMVがUSの老舗動画サイト「World Star Hip Hop」にピックアップされるなど、海外からも高い評価を受け、2018年3月にデビュー・アルバム『KAWAII BUBBLY LOVELY』をリリース。先行シングル「ZOMBITCH」では、アトランタ在住の新鋭フィメールMC、Bali Babyをフィーチャリングするなど、トラップ最前線を捉えたコアな内容でシーンに衝撃を与えた。そして2019年7月、全16曲入りの2ndアルバム『KAWAII BUBBLY LOVERY II』を発表。前作のダーティなテンションに加え、レゲエやメロウな歌モノなど、より多彩なエル・テレサ ワールドが堪能できる内容となっている。
ステージやMVで披露される日本人離れしたスタイルやキュートなルックスが話題となりカルチャー誌やファッション誌にも数多くとりあげられを体現するポップアイコンとしても注目を集める。

2021年7月7日にavex traxよりメジャーデビュー曲「Bby girlll」(ベイビーガール)でメジャーデビュー。

Web Site:https://avex.jp/elleteresa/
Instagram:https://www.instagram.com/elleteresa_/?hl=ja
Twitter:https://twitter.com/elleteresa
TikTok:https://vt.tiktok.com/ZSJQ9AoPd/

【リリース情報】

最新曲「baD bitch」
https://avex.lnk.to/baDbitchPR

「Bby girlll」MV
https://youtu.be/j7TzQ_9QC5U

「on my Side」MV
https://youtu.be/ecNdwS2Nqwk