渡辺直美がプロデュースするPUNYUS（プニュズ）が登場してから約３年、ファッション雑誌la farfa（ラ・ファーファ）の認知も広がり、ぽっちゃり向け女性専用のオンラインショッピングサイトも出てきた。
そんな日本の流れよりも、先を行っているのがやはり欧米である。
ここ数年、ぽっちゃり向け衣類はファッション小売業界において非常に重要な位置を占めている、と「eBay UK」のファッションセールス部長のLorna Dunne（ローナ・ドーン）が報告しているので、その実情を少し探ってみよう。
英国人女性の平均サイズは「16」
「英国人の衣料：2017年度版ニッチ衣料」というレポートによると、UKのプラスサイズ市場での支出額が2012年以来およそ£800万も上昇しており、そのうち20%にあたる割合が今年だけで女性衣料に消費されていると予想される。
Rebel Wilson x Angels（レベル・ウィルソン×エンジェルズ）のように新しいブランドの誕生、Mango（マンゴ）やBoohoo（ブーフー）のような既存ブランドが多様なラインナップを生み出してきていることがこの事実を裏付けるだろう。
そしてUKの平均的な女性は16サイズの洋服を着ているという事実は、ファッション業界がどんな女性にも自信をもたせて美しく見せるための手助けを試み出していることも決定づけるだろう。
私たちは誰でもそれぞれのサイズ、そして体型に合った衣類を着ることが重要なのだから。
eBay UKで始まったぽっちゃりファッションの取り組み
しかしながら、ここ最近までプラスサイズ市場というのは不十分な状況だったとも言える。
eBayが独自に概況を調査したところ、UKの25%にあたる女性がぽっちゃり向けサイズに該当するにもかかわらず、プラスサイズの衣料はたった12%しか売れていないことがわかった。
この状況を打破するために、そしてプラスサイズの女性客が正しく自分に見合ったサイズが見つかるように、eBay UKでは2016年にぽっちゃりな人向け用のカテゴリーを作成した。
登場から1年経ち、eBay UKでは「プラスサイズ ファッション」という検索ワードで毎月約５万アクセスを誇っているという。
現在、さまざまな小売業者がこの市場の需要を満たすよう動きを見せているため少しずつ競争状態にはなっているが、より多くのファッション小売業者が実り多い参入を果たせるよう、一番重要なTipsをここで特別公開しよう。
①実際に同じサイズのモデルを起用せよ
あたりまえのことすぎるが、多くの小売業者がこの単純な事実を軽視していると思う。
消費者というのははモデルが着ている様子を自分に置き換えて想像するもの。
ウェブサイト、カタログ、マーケティング用の資料などにモデルを使っているのなら、今すぐ正しい市場にアピールできていることを確かめてみては。
もしぽっちゃり向けファッションアイテムを売るのに非現実的な細いモデルを使っているのなら、同じアイテムがぽっちゃりした消費者にも同じように着れることを確信させるのに苦労しているだろう。
そんな中、Simply Be（シンプリー・ビー）は、顧客にぴったりのモデルを起用し、彼女たちと同じような身体のかたちにあてはまった時の着用写真を見せていてまさにいい好例だ。
さらに言うなら、モデルのサイズ詳細を載せることもお忘れなく。
②オンラインショッピングのチャンスを生かす
今年初旬に発表された調査によると、UKの消費者たちは他のどの国よりもオンラインショッピングに時間を費やしている。
とりわけプラスサイズファッションにおいては、オンラインがいくらか重要な役割を果たしている。
「英国人の衣料」という報告書では、実際に45%がオンラインで購入しているという事実を元に、プラスサイズの女性消費者にとってオンラインは最も重要な販売チャネルだということを明らかにした。
ぽっちゃり女性が実際の店舗で買い物するのは、在庫のなさや選択肢が少ないなどいささか不便なことがあるのだ。
③繁忙期に向けて十分な戦略を立てる
プラスサイズ市場においては、大イベントといった需要が集中するタイミングがいかに重要かということがわかってきている。
クリスマス、ハロウィン、バカンスシーズンなどを想像してみてほしい。
その時期になると顧客はおしゃれで自分に似合ったアイテムをより血眼になって探すことがわかっているのだから、例えばクリスマスならどんなサイズのドレスも在庫として抱えているべきだ。
プラスサイズ市場は始まったばかり。
つまり、新規参入者にも可能性が十分にあるし、既存ブランドも金のなる木に突入すべく、新しい対応が必然となってくる部分だ。
ぜひ、プラスサイズ市場が活況となる前に、行動を。
