【〇〇と私 #4】東海オンエア ゆめまるとHIPHOP 〜Chiryu-Yonkers / C.O.S.A〜

自転車、車、お酒、スニーカー…。それぞれの趣味趣向が現れる格好品と共に、アーティストの素顔と日常を覗き見する連載企画。
第4回目は東海オンエアからゆめまるが登場。地元と岡崎、YouTube、ファッション…、彼の今と創造に繋がる“HIPHOPとC.O.S.A”への熱い想いをお伺いした。

 

-今回、ゆめまるさんの日常に欠かせない〇〇に、HIPHOP〜『Chiryu-Yonkers / C.O.S.A』~ をお選びいただきました。まず、その理由を教えてください。

C.O.S.A.は愛知県の知立市出身で、僕の地元・安城市の隣なんです。で、僕の兄ちゃんとC.O.S.A.が高校の同級生みたいな接点もあって。20歳くらいに初めて『Chiryu-Yonkers』を聞いてから27歳になった今、地元を大事にして、地元の曲を書く、C.O.S.A.の言葉の重みを改めて感じるんです。僕の7年間と勿論毎日に無くてはならないアルバムですね。

-では具体的に『Chiryu-Yonkers』の魅力は何でしょう?

これ、自分の体験としても衝撃受けたアルバムで。20歳くらいの時に地元のバーで飲んでたら、ストリートの格好してる俺にサラリーマンが「お前なんちゅう格好してんだよ」ってふっかけて来たんです。内心「クソだ」と思ってるけど何も言えない、そんな時にラスト曲『Word for C-City』が流れたんです。「捨てちまえ、クソな雑誌、クソなウェブサイト、クソなツイートにクソなシェア……」って。それが“バチっ”とハマったんですよ。

-なるほど。

やっぱり体験があったからこそ、より魅力を感じるというか…。当時の初期衝動は今も胸の中にあって、改めて「あ、これ間違ってなかったんだ」って答え合わせできる。きっと、当時も今も求めている言葉なんだと思います。

 

-8年間を経て、理解が深まったんですね。

そうですね。あと、彼の境遇みたいなのにも共感します。C.O.S.A.の親は警察官で、『知立Babylon Child』でそれを歌ってるんですけど、ラッパーは親が警察官だと言いにくい。でも、C.O.S.A.は自分の中で落とし所つけて、今はそれを認めてるんです。これは渡辺志保さんとのインタビューで話していて、凄く印象的でした。

で、僕のお父さんも警察官なんですよ。YouTuberである自分も、親父が警察官で固い家庭に育った、そのギャップみたなのを感じてた。「親が警察官ならしっかりした職業に就け」みたいな風潮がある中で、共感する部分があったんですよね。

 

-『ここ岡崎市』もC.O.S.A.さんと渡辺志保さんのインタビューから影響を受けたとおしゃってましたよね。

そうすね。友人でもありラッパーでもある黒猿と「あのインタビュー見た?」の会話から2時間くらいで作りました。岡崎市は地元ではないけど、活動して住んでる場所であって、やっぱり思い入れはかなり強いので、大切にしていきたいですね。

-同じ愛知県しかり、生まれ育った土地をレペゼンするC.O.S.A.さんの姿勢にも共感されたと思うのですが。そもそも、ゆめまるさんにとって地元で活動し続けることの魅力とは?

そうですね…。若い時は「東京行きたい」とか思ってたんですけど、歳重ねていくうちに、地元の魅力に気づけたんですよね。特に、コミュニティーがゆっくり形成されるのは魅力的だと思います。散らばった人たちがたまたま飲み屋で会って、芋づる方式で繋がっていく。時間をかけて関係を構築できるから、かなり濃く、大切な人との関係を育むことが出来るんだと思います。

 

-“共通の好き”を持った人たちのコミュニティーが形成されることも然り、東海オンエアさんの存在も、1つのカルチャーの場所として岡崎が知れ渡ったフックだと思います。

多分、あると思いますね。TikTokやYouTubeがやり易くなったのは勿論、それ以上に東海オンエアいるから真似してみようとか、岡崎の子が自分でPV作ってみましたとか、そういう方が増えたと思います。街でカメラを回す人が純粋に増えましたね。やっぱり、少しずつかもしれないけど、そこに繋がっているかなと思います。

-クリエイティブって“都会のもの”として捉えられがちですが、地方にもしっかり根付いていけるんですよね。因みに、ゆめまるさんとHIPHOPの出会いはどうでしたか?

小学校5年生くらいの時に、兄ちゃんのMDを貰って、それに入ってたのがZEEBRAの『Street Dreams』。そこがHIPHOPを認識して聞いたきっかけです。

-『Chiryu-Yonkers』はサブスク解禁されていないので、CDが唯一の音源になりますよね。ゆめまるさんにとってアナログの良さとは?

人の言葉を借りるんですけど…。オカモトレイジ君がインタビューで「曲をちゃんと聴くのはCDやアナログ、それを確認するためにサブスクがある」みたいなことを言ってて。確かに、サブスクで聴いても、曲名とか頭に全然残らないんですよ。アナログは買う、CDかける、聴く、その動作があるから自分に残るんですよね。

 

-因みに、ゆめまるさんがHIOHOPを聞かれるシチュエーションは?

基本的に時間があれば聞きますね。車でも家でもずっと流しています。なので、時間で選ぶことが多くて。月曜だったらLIBROの『雨降りの月曜』、金曜ならRYUZOの『HATE MY LIFE』を定番で聞いています。

-『Chiryu-Yonkers』はどうでしょう?

『Chiryu-Yonkers』はC.O.S.A.の気持ちが濃く入っている曲だと思うので、自分が元気じゃないと聞けないんです…。休日の昼くらいに聞き始めて、11曲目が終わる頃はもう日が暮れて、みたいなシチュエーションが理想的ですね。

 

-本日はカニエ・ウェストの大統領選出馬の記念Tシャツもご持参いただきましたが、海外のHIPHOPも聞かれますか?

聞かなきゃって思うんですけど、有名どころしか聞いてないんですよね。それこそカニエとか、レジェンドの2PACとか…。英語が分からないので、自分は歌詞を理解したいタイプなんだと思います。

 

-冒頭で『ここ岡崎市』の話題が出ましたが、今後、楽曲制作への思惑は?

遊びでならやりたいですね。「黒猿、やってこうよ」ってくらいで、遊び感覚で楽しみたいですね。「公園で録ろ〜」ってくらいの。

東海オンエアチャンネル個人チャンネル(ゆめまる美術館)アパレル(Bark at the Moon)、それぞれの棲み分けやインスピレーション源は何でしょう?

ごちゃまぜじゃないですかね?人間って地元にいる時と仕事場にいる時って違うじゃないですか。そんな感じですね。東海オンエアは地元の友だちと遊んでる感覚で、HIPHOPとかはクラブに行くときのかしこまった自分みたいな。でも、それは自然なことで、別の自分だとは思ってないんですよ。

 

-なるほど。

でも、東海オンエアのネタを考えてる時に生まれるものもありますね。もう考える量、脳内の9割が東海オンエアなので(笑)。9割を考えてる中で、たまにパッと路線が外れるじゃないですか。そこで外れたものが、アパレルに活きているのかな。

-アパレルのインスピレーションは自然と湧くものが多いのでしょうか?意識してインプットをすることも?

それでいうと、昔の雑誌を読みますね。『blast』とかをメルカリで買って読んで「この形いいな、こういうのサンプリングしたい」みたいな…。HIPHOPのサンプリング文化みたいなのは、アパレルにも繋がっているんですよね。

-最後に、ゆめまるさんにとって、HIPHOPとは何でしょう?

“刺激剤”みたいなものだと思います。HIPHOPはアンダーグラウンドなカルチャーだから、日常で生きてるだけじゃ見ることの出来ない、ストーリーや人に出会える。チルなのも、ドリルなのも、色んな人やカルチャーがHOPHOPの中にいる。きっと、無かったら毎日がつまらなくなると思います。

 

Photographer:Maruyama Momoko
Interview&Text:Yoshimura Ayaka

【ゆめまる】

愛知県岡崎市を拠点に活動する6人組動画クリエイター「東海オンエア」のメンバー。個性溢れるネタ動画を中心にさまざまなジャンルの動画を投稿し、人気を集める。また2020年に自身のアパレルブランド「Bark at the Moon」も立ち上げるなど活動の幅を広げている。

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