古着をチャリティー団体に寄付することが多くの人々は貧しい人々の支援になると信じている。

しかし、古着市場の仕組みにより打撃を受ける後進国の人々の現実もあることがわかった。

寄付された古着はどこへ

世界中の何百万人もの人々が毎年古着をチャリティー団体寄付し、貧しい人々へ届けられるかチャリティーショップで販売されると期待しているが実態は大きく異なる。

http://gigazine.net/news/20150319-donated-old-clothes/ By epSos .de

確かにチャリティー団体は寄付された衣類の一部から利益を得るが、その多くはインドや東アフリカなどの市場で転売されているのだ。

アパレル製造業に打撃

欧米諸国からの安価な古着の大量流入は、低所得国でのアパレス製造業に深刻な悪影響を及ぼしている。

国内アパレル製造業を保護するため、ケニア、ルワンダ、南スーダン、タンザニア、ブルンジ、ウガンダなど東アジア共同体(EAC)の国々は、2019年までにすべての中古衣料品の輸入を禁止する計画を立てている。

国連商品貿易統計データベースデータ(2011年)によると、OECD諸国からの中古衣類輸出額は2009年には19億ドルとなっており、また最近の国連統計によると推定80%のアフリカ人が中古の衣服を着用している。

アメリカは最近、中古衣類の輸入を禁止する要請を東アフリカ共同体から受けたのだが、アメリカ衣料産業に打撃を与えるとして貿易制裁や関税引き下げを可能にする貿易協定(AGOA)の見直しなどを伝え反発した。

繊維リサイクル協会によると、慈善団体に寄付された衣類の20%しか実際に売られず、多くは分解性の衣類でないににもかかわらず埋立てされている。

古着ばかりを着るインドやアフリカの人々

売れる衣類は仕分けされ、繊維商人に売却され、寄付された中古衣類は輸出される。

輸出された古着のTシャツやショートパンツはインドやナイロビで、わずか1.50ドルで販売され、国内で製造された新しい衣類を買わなくなるのだ。

一方、後進国では古着の輸入事業で生計を立てている者も多く、繊維リサイクル協会によるとインドの中古市場では毎年3000人の人々の雇用が生まれているから、古着市場を安易に切り捨てることも難しい現実がある。

海外開発研究所シニアリサーチオフィサーのリンダ・カラブレセ氏は、「仲介業者は、自組織や社会プロジェクトのために何百万ドルもの資金を得ているが、第三世界の国々の本当に貧しい人々を助けるためになっていない。特に中古衣類ビジネスはあまり規制されず、不透明だ」と語る。

「貧しい人々が古着を着てその古着がだけになったら、何百万もの衣類が、豊かな国から遠く離れた第3世界の埋立地で廃棄される。 先進諸国が中古品を第三世界の敷地に投棄する責任はどこにあるのか?」とカラブレセ氏は続けた。

古着を寄付することが引き起こす皮肉な現実がある。